新説・鶴姫伝! 日いづる国の守り神 PART4 ~双角のシンデレラ~

あさくらやたろう-BELL☆PLANET

文字の大きさ
63 / 110
第四章その6 ~いざ勝負!~ VS闇の神人編

私1人じゃ勝てないから…!

しおりを挟む
 一方その頃。

 当然と言えば当然であるが、志布志しぶし隊も躍動していた。

「いよっし、ここも設置完了っ!」

 囮となる機器を配置すると、壮太は機体を振り返らせ、手早く次のポイントへ走る。

「俺達九州男児だからな、ここはバシっと決めるぜっ!」

「ちょっと壮太、九州女子もいるんですけど?」

 湯香里は画面上でツッコミを入れてきたが、そこでたまらず声を上げた。

「けどこの雲の海、なんか温泉の湯気みたい。ああたまんない、早くみんなで入りたいなあ……!」

 九州を奪還して以来、湯香里は再び温泉に入れる日を、今か今かと心待ちにしていた。最近では何を見ても思い出すようで、もはや末期症状である。

「湯香里は随分気が早いが……ま、想像すると楽しそうではあるな」

 メガネの位置を直しながら、画面上であきらも言った。クールな彼にしては口角が上がっているが、彼も最近機嫌がいいのだ。

 画面には他の隊員達の姿も映った。

「そーデス、早く日本を全部取り戻して、みんなで温泉入るデース!」

 キャシーが叫ぶと、ヘンダーソンも後を続けた。

「そりゃ楽しみだ。キャシー、ジャパニーズ温泉作法は知ってるか?」

「知ってマスよ、腰に手を当ててフルーツ牛乳飲むデスよね?」

 そこで日本人形のように愛らしい少女・八千穂が口を挟んだ。

「そ、それって、マンゴー牛乳じゃ駄目ですかね?」

「いいんじゃねえの、楽しけりゃ何でもさ!」

 壮太は自然と笑っていた。

 あの鎧姿のお姫様と協力し、大事な九州こきょうを取り戻せたし、隊員達も生き残った。復興を心待ちにしながら、こうして毎日、皆で楽しくじゃれ合っている。

 つい先日まで九州南端に追い詰められ、死の覚悟さえしていたのに……本当に魔法みたいな変わりようだ。

 だから薩摩隼人さつまはやとの名にかけて、この恩は絶対に返すのだ。

 魔王だろうが闇の神人だろうが、何が何でもぶっ倒してやる。

「絶対勝とうぜ。こんなんでへこたれてたら、俺らここにいないんだからな!」

 壮太の言葉に、隊の皆が一斉に答えた。



「……みんなほんとに元気だね」

 皆の映像を眺めながら、コマは感慨深そうに呟いた。

「すごいもんだよ。でっかい魔王が近づいて、闇の神人とも向き合ってるのに……ちょっと見ない間に、どんどん魂が強くなってる」

「そりゃそうよ、みんなとっても勇敢だもの。今更こんな事で負けたりしないわ」

 鶴は頷くが、そこで思いつき、わざとコマにふざけてみる。

「……でもコマ、一番すごいのはこの私よ?」

「……ああ、話を盛るのは直らないんだね」

 コマがツッコミを入れ、鶴もコマもたまりかねて笑った。

 そうこうするうちに、敵の邪気はじりじりと範囲を広げていた。

 雲海に潜む味方の重機も、そして新型の航空戦艦?も、今は後退するばかりだ。

 このまま下がり続けても、相手との距離が離れる一方。もう行動すべきだろう。

「十分注意を下に引き付けられたね。そろそろ頃合いだ、準備はいい?」

 コマは改めて鶴に言った。

「勝負はほんとに一瞬さ。あいつに見つからずに、一太刀浴びせればこちらの勝ち。その前に気付かれたらおしまいだよ」

「平気。私もパワーアップして出来る事が増えたし、みんなが助けてくれるから」

 鶴はそこで霊力を使い、仲間達に呼びかけた。

 虚空に映し出された小牧隊と志布志隊の面々は、じっと鶴を見つめている。

「作戦前にも言ったけど……みんな、来てくれてほんとにありがとう」

 鶴は一同を見渡し、心からの礼を言った。

「正直私も、黒鷹も凄くピンチだったの。あの闇の神人は、たくさんの聖者が集まってるから、私1人じゃ勝てないわ。だからみんなの力がいる。でも凄く危ないし、生きて帰れないかもしれない……」

 鶴はそこで言葉を切り……けれど真っ直ぐ皆を見つめた。

「それでも言うわ、力を貸して。ここで負けたら全部終わりなの。あいつを倒して、その後魔王をやっつけて、みんなで幸せになりたいの。だからお願い……!」

「任せとけよお姫様、俺らみんな同じ気持ちだからよ!」

 壮太はすぐに言ってくれた。他の皆も口々に同意してくれる。

「ありがとう。こんな心強い味方がいて、鶴ちゃんとっても幸せだわ」

「僕も幸せだよ。日本を守る狛犬に生まれて、こんな嬉しい事はないよ」

 コマも感極まったのか、映像に向けて前足を振っている。

「きっと、きっとみんなが幸せに暮らせる国になるよ。だから、最後まで頑張ろう……!」

「その意気よコマ! それじゃ、いよいよ決着だわ。合図を送るから、報せが来たら、みんなお願い!」

『応っ!!!』

 鶴の言葉に、一同は力強く答えた。

 相手は無敵の闇の神人、それでもこちらには仲間達がいる。

 何としてでもこの戦い、勝利を導いてみせるのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

処理中です...