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第四章その6 ~いざ勝負!~ VS闇の神人編
こういう告白がいちばん効く
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「マッキー、そこ下がって! そろそろ近づいて来るわ。車はそこに置いて行ってね」
機体の画面に映る少女は、そう賑やかに語りかけてくる。
時代錯誤の鎧姿で、額には白いハチマキ。以前会った時からあまり経っていないのに、随分と髪が伸び、後ろでポニーテールのように結んでいる。
少し大人びたというか、かなり綺麗になった感があるものの、喋り方や態度は以前のまんまだ。
「了解。小牧隊、装甲車を放置します。あんた達、散歩はここまで、切り離すよ!」
小牧は答え、隊員達にも指示を出した。
近距離電波操縦で連れて来た装甲車をその場に残し、急ぎ山肌を駆け下っていく。
隊員の玄太とこころも同様に、今まで連れていた装甲車の操作を切り、小牧の後を追ってきた。
玄太の機体はやや小柄で素早く、こころの機体は普通のそれよりかなり大きい。
山間部では機動に支障のあるこころ機だったが、そこはうまく玄太がサポートしていた。
巨大なこころ機が走りやすいルートを見定め、どうしても邪魔な倒木などは破壊する。
「ふーん、エスコート上手いじゃん玄太」
微笑ましく思う小牧だったが、そこで彼方を注視した。残してきた装甲車に、凄まじい勢いで黒い矢のようなものが迫って来たのだ。
雲を突き抜け、うねりながらかっ飛んできたそれが着弾すると、頑強な装甲車は一瞬で朽ち果て、ボロボロと崩れ落ちていく……のみならず、余った威力が周囲の木々を腐らせ、一帯を死の世界に変えていった。
あれに当たれば、どんな機体だろうが一撃でおしまいだろう。
「魔王の僕……闇に堕ちた元聖者か。とんでもないバケモンだね」
自分達が第3船団に戻っている間も、あのお姫様は戦い続けてきた。
僅かな間に九州全土を取り戻し、北陸でも大活躍して。そして今度はこちらに来て、魔王やそのしもべと必死に戦っている。
本当に、なんて凄い子なんだろう……!
一見お茶らけてばかりだけど、あの子と出会ってから、絶望に沈んでいた人生に一気に光がさしたのだ。
「それにしても、やっぱりいいなあ。富士山が近いと元気が出るね♪」
画面に映るこころが、そう言って笑顔を見せた。作戦中とは思えぬ緊張感の無さだったが、これがこの子のいいところだ。
ちょっと……いやかなり体が大きく、そろそろ2メートルを超えそうなのだが、優しくて思いやりのある自慢の仲間だ。
「早く日本を取り戻して、もいちど富士山登りたいな。静岡と言ったら富士山だもんねえ」
「いやいやこころ、何しれっと独占してんだよ。富士は半分山梨だろうが」
「え~、山無しなのに変だよ~」
「字が違うって言ってんだろっ」
しっかり者の玄太は、いつもこころにツッコミを入れている。
なんだか懐かしい気持ちになって、小牧は2人に声をかけた。
「あんた達、前にもおんなじ事でケンカしたよね?」
小牧の問いに、こころはやはりニコニコして答えた。
「ケンカなんかしてないよ。私、玄太の事大好きだもん♪」
「だから何が………………えっ!?」
玄太は適当に聞き流そうとしたが、時間差でその言葉の意味に気づいたようだ。
「えっ? ええっ? お、お前、それって……ええっ!?」
普段しっかり者の玄太は、よく熟れた桃と同じぐらいに真っ赤になった。そのまましどろもどろになって、うまく言葉が出なくなる。
「こころ、玄太がポンコツになるから、そういうのは後でやりな。すっ転んだら大事だからさっ」
小牧は笑いをかみ殺しながら、機体を大きくジャンプさせた。
機体の画面に映る少女は、そう賑やかに語りかけてくる。
時代錯誤の鎧姿で、額には白いハチマキ。以前会った時からあまり経っていないのに、随分と髪が伸び、後ろでポニーテールのように結んでいる。
少し大人びたというか、かなり綺麗になった感があるものの、喋り方や態度は以前のまんまだ。
「了解。小牧隊、装甲車を放置します。あんた達、散歩はここまで、切り離すよ!」
小牧は答え、隊員達にも指示を出した。
近距離電波操縦で連れて来た装甲車をその場に残し、急ぎ山肌を駆け下っていく。
隊員の玄太とこころも同様に、今まで連れていた装甲車の操作を切り、小牧の後を追ってきた。
玄太の機体はやや小柄で素早く、こころの機体は普通のそれよりかなり大きい。
山間部では機動に支障のあるこころ機だったが、そこはうまく玄太がサポートしていた。
巨大なこころ機が走りやすいルートを見定め、どうしても邪魔な倒木などは破壊する。
「ふーん、エスコート上手いじゃん玄太」
微笑ましく思う小牧だったが、そこで彼方を注視した。残してきた装甲車に、凄まじい勢いで黒い矢のようなものが迫って来たのだ。
雲を突き抜け、うねりながらかっ飛んできたそれが着弾すると、頑強な装甲車は一瞬で朽ち果て、ボロボロと崩れ落ちていく……のみならず、余った威力が周囲の木々を腐らせ、一帯を死の世界に変えていった。
あれに当たれば、どんな機体だろうが一撃でおしまいだろう。
「魔王の僕……闇に堕ちた元聖者か。とんでもないバケモンだね」
自分達が第3船団に戻っている間も、あのお姫様は戦い続けてきた。
僅かな間に九州全土を取り戻し、北陸でも大活躍して。そして今度はこちらに来て、魔王やそのしもべと必死に戦っている。
本当に、なんて凄い子なんだろう……!
一見お茶らけてばかりだけど、あの子と出会ってから、絶望に沈んでいた人生に一気に光がさしたのだ。
「それにしても、やっぱりいいなあ。富士山が近いと元気が出るね♪」
画面に映るこころが、そう言って笑顔を見せた。作戦中とは思えぬ緊張感の無さだったが、これがこの子のいいところだ。
ちょっと……いやかなり体が大きく、そろそろ2メートルを超えそうなのだが、優しくて思いやりのある自慢の仲間だ。
「早く日本を取り戻して、もいちど富士山登りたいな。静岡と言ったら富士山だもんねえ」
「いやいやこころ、何しれっと独占してんだよ。富士は半分山梨だろうが」
「え~、山無しなのに変だよ~」
「字が違うって言ってんだろっ」
しっかり者の玄太は、いつもこころにツッコミを入れている。
なんだか懐かしい気持ちになって、小牧は2人に声をかけた。
「あんた達、前にもおんなじ事でケンカしたよね?」
小牧の問いに、こころはやはりニコニコして答えた。
「ケンカなんかしてないよ。私、玄太の事大好きだもん♪」
「だから何が………………えっ!?」
玄太は適当に聞き流そうとしたが、時間差でその言葉の意味に気づいたようだ。
「えっ? ええっ? お、お前、それって……ええっ!?」
普段しっかり者の玄太は、よく熟れた桃と同じぐらいに真っ赤になった。そのまましどろもどろになって、うまく言葉が出なくなる。
「こころ、玄太がポンコツになるから、そういうのは後でやりな。すっ転んだら大事だからさっ」
小牧は笑いをかみ殺しながら、機体を大きくジャンプさせた。
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