新説・鶴姫伝! 日いづる国の守り神 PART4 ~双角のシンデレラ~

あさくらやたろう-BELL☆PLANET

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第四章その1 ~大ピンチ!?~ 無敵の魔王と堕ちた聖者編

鶴姫 VS 鳳天音

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 邪気による上空の乱気流を考慮し、かなり手前で輸送機から降下した車両班と、カノンたち人型重機部隊。

 カノンはそのまま全速力で、人型重機で走り続けた。脚部の人工筋肉が悲鳴を上げるのも構わず、仲間達を振り切っていく。

 そして辿り着いた琵琶湖の湖岸。決戦の地で目にしたのは、愛しい人の危機ピンチだった。

「っっっ……!!!」

 全てがスローモーションに感じる最中さなか、カノンは夢中で叫んでいた。

 何を言ったのか自分でも覚えていないが、どうせまた、素直じゃない罵倒の言葉なのだろう。

 機体のモニターに映るのは、あの人が乗る白い人型重機……そしてその四肢を掴んで離さない、無数の長い腕である。

 白い機体の眼前には、1人の女が浮かんでいた。

 黒き衣をひるがえし、不気味な笑みを浮かべる彼女だったが、不意にその傍らに、鎧姿の姫君・鶴が現れる。

 鶴が太刀を抜き放つと、女は下がって距離を取った。

 女が注意を逸らしたせいか、白い機体をつかんだ腕は、瞬時にその姿を消す。

 解放された白い機体は、ゆっくりと、後ろに倒れるように落下していった。姿勢を制御する様子もなく、中に乗る少年の身に何かあったという事だ。

 鶴が巨大化した狛犬・コマの背に着地すると、コマはジャンプして虚空の女に向かっていく。

 鶴はそのまま何度か太刀をふるい、女と激しく打ち合った。

 一太刀ごとに凄まじい魔法力が込められた攻撃は、周囲に強い光と轟音を撒き散らしている。

(大丈夫、間に合うっっ……!!!)

 カノンがそう思った瞬間、視界のスローモーションが解け、自機は白い人型重機を受け止めていた。

「もっちゃん! もっちゃんなの!?」

 鶴はそう叫んで尋ねてくる。

 通信回線に霊力で割り込んだのか、こちらのモニターに鶴の顔が映るが、その表情はかなり険しい。激しい動きを示すように、髪は右に左に乱れていた。

「そうよお姫様っ、このバカは無事!?」

「あんまり、無事、じゃないわ! 呪いを受けてる! でも生きてるわ!」

 鶴は必死に戦いながら答えた。

 そこで仲間の隊員達の機体も駆けつけてくる。

「カノっち、ちょっと速すぎや、戦えんくなるで! 鳴っちは無事なん!?」

「隊長はどーだ!?」

「まさかお陀仏じゃないだろうな!?」

 モニター上で立て続けに叫ぶ隊員達の顔に、カノンはまとめて怒鳴り返した。

「生きてるっ! とにかく逃がすわ! 気絶してるから、あの女から遠ざけるの!」

『りょ、了解!!!』

 隊員達はカノンの迫力に気圧けおされながらもうなずいた。

 遅れて到着した輸送車両に白い人型重機を乗せて固定。

 振り返り、鶴の戦いに助太刀しようと試みるが、あまりにハイレベルな戦いすぎて、割って入るのは困難だった。

 互いに移動し、高速で魔法を練り上げ、相手に放つ。

 相手が魔法を防ぐ間に距離を詰め、手にした太刀で斬りつける。

 それを防ぎながら放たれた迎撃カウンターの魔法をぎりぎりで防ぎ、かわし、めまぐるしく互いの位置が変わる。

 ……だが傍目にも両者の実力は開いており、鶴の劣勢は明らかだった。

 宙に浮かぶ不気味な女の背後には、無数の怨霊のような影が浮かび上がり、そのうめき声が聞こえる度に、彼女の邪気が増幅されるのだ。

 小技の威力に差は無くても、距離が離れ、大技や追尾技を放った時の破壊力に大きな隔たりがあるようだ。

「~~~~っっっ!!!!!」

 鶴は相手の魔法攻撃を光の壁で受け止め、苦悶の顔で荒い息をついた。

 コマも必死に動き回って攻撃をかわしているせいか、その消耗はかなり激しい。

「……そろそろ観念しろ、愚か者ども……!」

 女は狂気の笑みを浮かべ、頭上にその片手を掲げた。

 また無数の呻き声が聞こえ、女の上にどす黒い邪気の塊が形成されていく。

「鶴、大技が来る! 距離を詰めるぞ!」

 コマはそれを嫌ったのか、相手の力が溜まる前に跳躍して距離を縮める。

 …………だが、それすらも罠だったのだ。

「……引っかかったわねえ……!」

 女の顔が、ぐんにゃりと狂気の笑みに歪むと、鶴達は彼女の直前で制止していた。

 まるで蜘蛛の糸のように張り巡らされた邪気の魔法陣が、鶴達を受け止めていたのである。

「……っ!!!」

 鶴もコマも必死に動こうともがいているが、女は手の平を鶴に向ける。

 その手から大量の邪気が発せられると、鶴とコマを包んでいくのだ。

 邪気はやがて球体となり、女はさも可笑しそうに言った。

「憎きあの女神の弟子よ。貴様も聖者の端くれなら、その力喰ろうてやろう。我が魂の一部となりて、日の本が滅ぼされるのを見ているがいい……!」

 黒い球体は一瞬強く光を放つと、そのまま女の体に吸い込まれていったのだ。
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