22 / 87
第22話 大阪府① 道頓堀、たこ焼き
しおりを挟む「ここはものすごく賑やかな場所じゃな。人の波がものすごいのじゃ」
「俺達以外の観光客も大勢いるからね」
やって来たのは大阪の道頓堀。大阪といえば道頓堀のことを想像する人が大半だろう。楽しそうに道を歩く大勢の人波、食べ歩きができる店が多く、美味しそうなソースの香りや甘い匂いがあちこちから溢れてくる。
「あれが有名なグリコの看板ですね、実物は初めて見ました」
「道頓堀といえば、この看板だよなあ。他にもいろんな看板があるから、食べ歩きをしながら見にいこう」
道頓堀といえばこの巨大なグリコの看板だ。なんとこの看板は6代目らしい。デザインも毎回変わっていくというから面白いよな。そして道頓堀にある看板はこれだけではない。
「おお、この巨大な物は魔物の剥製かなにかかのう?」
「これはカニの看板だよ。本物のカニはもっと小さいからね」
橋を渡るとすぐに出迎えてくれるのは巨大なカニの看板だ。ここでは店頭でタラバガニの炭火焼きが売っている。炭火で焼かれたカニの美味しそうな香りが食欲を刺激してくる。
「おお、この香ばしい香りはたまらんのう!」
「ええ。炭火で焼いたおかげでカニの旨みが凝縮しています。それに身が太くて食べ応えがありますね」
「焼いたカニの香りってたまらないよね~」
値段はちょっとお高いが、贅沢なタラバガニの炭火焼きが食べられるのだから嬉しいところである。それにこの香りは反則だよなあ……道頓堀にやってきてすぐにこんなおいしそうな香りをかがされてはたまらない。
そしてカニの巨大な看板を通り過ぎると、カールのおじさんの看板が姿を現し、その先には餃子やタコ、寿司やドラゴンなどの大きな看板が姿を現した。この辺りは歩いているだけでも楽しくなってくる。
そして大阪といえば粉ものでる。まずはとあるたこ焼き屋さんに入った。
「この黒い液体はなんなのじゃ?」
「これはソースといって、こっちの世界の調味料だよ。大阪は特にこのソースという調味料がたくさんあるんだ」
関東に住んでいる俺にとっては考えられないことだが、この大阪にはものすごい数のソースの種類が存在する。どこの家庭にも大抵は2~3本のソースが常備されているらしい。
うちには定番の中濃ソースしかないが、大阪ではウスターソース、濃厚ソース、とんかつソース、たこ焼きソース、お好み焼きソース、焼きそばソースなどなど、それに加えてソースメーカーがいくつもあるので、とんでもない数の種類のソースが存在する。
「このお店のたこはとても大きいですね。中身が飛び出していますよ」
「大阪にはいろんなたこ焼きがあるんだよ。他にも小さなイイダコが丸々1匹入ったたこ焼き、出汁を使ってソースや青のりを付けずに食べるたこ焼き、たこ焼きをせんべいに挟んだたこせんなんかもあるね」
ここのお店の名物は大きなたこが特徴だ。なにせたこが大きすぎて半分以上飛び出しているからな。
「あふ、あふいけれど、おひひいのひゃ!」
熱くて口の中で冷ましながらたこ焼きを頬張るミルネさん。なんだか見ていて微笑ましいな。
「確かにこれは食べ応えがあって美味しいですね」
俺の中では大阪といえば粉もの、粉ものといえばたこ焼きのイメージが強い。それに大阪のたこ焼きは安い店が多いし、あと何店か寄ってみてもいいな。
「ここもだいぶ混んでいますね。それにテレビなどでよく見る光景です」
「通天閣付近も道頓堀と同じくらい有名だからね。このジャンジャン通りは昔からある商店街で、安くておいしい庶民のためのお店が並んでいるだよ」
串カツ、寿司、焼き肉、立ち飲み屋、最近では射的やレトロゲーム店に弓道場があったりといろんな人が楽しめるようになっている。
他にも昔から続いている将棋や囲碁のクラブなどもあり、地元の住民にも愛されている場所だ。それにここのお寿司屋さんは1皿3貫で提供するという新世界流の文化があったりもする。
「……ですがなにか足りない気もしますね」
「たぶんフグの看板がないからじゃない? 残念だけどつい最近撤去されちゃったらしいんだよね……」
「そういえば、そんな気がします。確かあの辺りにあったと記憶していますね」
そう、昔あったジャンジャン横丁を抜けてすぐに出迎えてくれるはずのフグの看板は最近になって撤去されてしまったらしい。通天閣の通りといえばの看板だったのに、とても残念である。
「せっかくだから、一通り遊んで行くとしますか」
「うむ、とても面白そうなのじゃ!」
ミルネさんを連れて弓道や手裏剣投げ体験をしたり、簡単なレトロゲーム、射的やスーパーボールすくいなどのゲームをして楽しんだ。
ここでは縁日のようなゲームもあるので、大人だけでなく子供連れでも楽しめるようになっている。ただしスマートボールだけは景品と交換する仕組みがあるからか、18歳未満はプレイできないようだ。
だがそれ以外の遊びでミルネさんも十分に楽しんでくれたのようなので良かった。やはり大人っぽく見えても、まだ幼いんだよな。
応援ありがとうございます!
20
お気に入りに追加
228
1 / 2
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる