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二十一章
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合同結婚式は、大成功だった。二組の新郎新婦は幸せの具現化たる光を煌々と放ち、卒業式の翌日という事もあって同級生のほぼ全員が式に駆けつけ四人を祝福し、その様子に親族の方々は笑顔と涙に終始し、そして新忍道部の男子部員は食べ過ぎて身動きが取れなくなるという、大成功中の大成功として間違いない結婚式だった。正確には下っ端神職として式を手伝った僕だけは、新忍道部の男子部員の中で唯一、身動き取れなくなるまで食べまくる事ができなかったんだけどね。
しかしそれでも「食べ物の恨みは怖いんだからな~」系のマイナスの気持ちを、僕は一切持たなかった。それどころか新郎新婦の関係者の全員に、申し訳ないと思っていた。なぜなら皆さんの中で僕だけが、新郎新婦の四人の幸せを、創造主と武蔵野姫様に直接頼むことが出来たからだ。創造主も武蔵野姫様も喜んでいて、特に姫様の喜びようといったらなく、「似合いの夫婦じゃ、良かったのう嬉しいのう」とニコニコしっぱなしだったのである。地域の人々を数千年間見守ってきた姫様はまさしく武蔵国の国母なのだと、僕は目頭を熱くせずにはいられなかった。
四人の新郎新婦に直接関わった後輩は、朝のHRと帰りのHRに出席して式の手伝いをすれば、社会見学の校外授業を受けたとみなしてもらえた。よって二十組の四十一人は朝のHRが終わるや嬉々として神社へ向かい、同級生達から大層羨ましがられたそうだ。なぜ四十一人かと言うと、下っ端とはいえ神職として正式に結婚式を執り行うことが認められ、僕は授業を終日免除されていたのである。それ自体は嬉しいけど、野郎共に報復の口実を与えてしまったことは、ちょぴり悔しかった。
けどまあ楽しかったから、全然いいんだけどさ。
そんな感じで僕は自分の職務に邁進し、そのお陰か極めて珍しい事に、涙を流すことが一度も無かった。感動の場面にもらい泣きしそうになるのがせいぜいで、狩衣を着ていようと着ていまいと、神様と人々を仲介する通路としての自分を僕は保っていた。
が、最後の最後にやられた。結婚式の全てが終わり、四人の先輩方が私服に着替え、大石段の下にやって来た二台のオープンカーに乗る様子を目にした瞬間、
―― 行っちゃいやだ!
と感情が爆発したのだ。先輩方はこれから羽田空港へ直行し、新婚旅行に出かける。常夏の南の島でハネムーンを満喫したらもちろん日本に帰って来るけど、帰って来た先輩方とお会いする予定が僕にはない。昨日の卒業式を経て同じ湖校生ではなくなり、今日の結婚式も終わってしまった今、先輩方と僕に日常的な関りはもう無くなってしまった。次回からは非日常の環境下でのみ会うことができ、その証拠に、先輩方と同じ時間を共有できる次の機会がいつなのかを僕は全く予想できないでいた。数年先かもしれないし、それどころかひょっとすると、これが今生の別れなのかもしれないのである。それをはっきり自覚した僕は、AICAの座席に腰を据えた先輩方に、心の中で「行っちゃいやだ!」と声の限りに叫んだ。だが幾ら叫ぼうと運命を変えられるはずもなく、しかしだからと言って叫び続けることを止められなかった僕の双眸から、涙がとめどなく溢れてきた。それはあたかも心の声を物質化した如くであり、無限の想いに駆られてこのまま無限に涙を流すかに思われたが、そうはならなかった。
先輩方が、行ってしまったからだ。
心の中で叫ぶのではなく声を張り上げたとしても、それが届かない遠い場所へ行ってしまったからだ。
五感を研ぎ澄ませても感覚体を極限まで広げても、先輩方の気配を感じることはもう無かった。僕は涙を拭き、空を見上げる。
そして問いかけた。
―― 僕らを介して別れを体験するために、有限に縛られた僕らを、あなたは創ったのですか?
返事は無かった。
その代わり空間がいつもより身近に感じられ、寄り添って慰めてもらっている気がしきりとしてきた。頬が自然とほころび、息を大きく吐く。そして僕は、
―― まあいいさ!
と、完全な友達感覚で空間に伝えたのだった。
それから八日経った、三月二十四日。
終業式を迎えた僕ら二年生は、慣例に反して泣きまくっていた。
進級に伴うクラス替えこそあれ、大講堂で終業式に臨んでいる八百四十人は、全員もれなく三年生校舎へ移る。たったそれだけの事だと頭では理解していても、僕らはどうしても涙を堪えることができないでいた。湖校の慣例によるとこの現象が起こるのは一年から二年への進級時に限られており、二年から五年生まではカラッと乾いた終業式になると常々聞いていたのに、一体どうしてしまったのだろうか。それが知りたくて、僕らは心の赴くまま泣いた。すると何がきっかけになったか判からないが、拍子抜けするほどあっさり正解に辿り着くことが出来た。それは、「一年のクラスに負けないほど二年のクラスも好きだから」という、捻りもオチもない理由だったのである。そして一度理由がわかれば、泣いて当然だと心底納得できた。
みんなイイ奴だった。
この級友達と過ごした一年間は、楽しくて仕方なかった。
その日々が今日をもって終わってしまうのだから、涙が出て当然。さあみんな、このクラスで一致団結して行う最後の仕事だ、思う存分涙を流そうぜ!
的なノリで僕らは泣きじゃくり、そして二度とやって来ない二年生の日々に、別れを告げたのだった。
その翌日、春休み初日の三月二十五日。
日の出を約一時間後に迎える、午前四時半。
魔想討伐を終えた僕と末吉は、神社へ帰投していた。
最近、魔想討伐が日常化するあまり、意識に登らない現象が益々進行している。翔人になりたての頃は、日記を書くべく就寝前に一日を振り返ると、一日の最初の出来事である魔想討伐をいつも真っ先に思い出していた。よって日記は翔人関係の事柄で埋め尽くされ、それに疑問を覚えることも無かったが、湖校入学を機に変化が訪れた。真っ先に思い出すことに、学校関係が増えたのである。猛と友達になり、新忍道サークルに入会し、京馬と真山と芹沢さんも友人に加わり、そしてエイミィを始めとするAI達と親交を深めるようになると、学校関係の話題は更に増えていった。と言っても翔人関連の話を日記に取り上げることも多々あり、僕自身それを書くことを楽しんでいたけど、内容が大きく様変わりしたのも事実だった。翔人関連であっても魔想討伐ではなく、輝夜さんや昴や猫達との交流を話題にすることがメキメキ増えていったのだ。いや正直言うと、内容が大きく様変わりした件も、エイミィに指摘されて初めて気づいたほど、僕にとって魔想討伐は意識に登らない事柄になっていたのである。
しかしそれでも「食べ物の恨みは怖いんだからな~」系のマイナスの気持ちを、僕は一切持たなかった。それどころか新郎新婦の関係者の全員に、申し訳ないと思っていた。なぜなら皆さんの中で僕だけが、新郎新婦の四人の幸せを、創造主と武蔵野姫様に直接頼むことが出来たからだ。創造主も武蔵野姫様も喜んでいて、特に姫様の喜びようといったらなく、「似合いの夫婦じゃ、良かったのう嬉しいのう」とニコニコしっぱなしだったのである。地域の人々を数千年間見守ってきた姫様はまさしく武蔵国の国母なのだと、僕は目頭を熱くせずにはいられなかった。
四人の新郎新婦に直接関わった後輩は、朝のHRと帰りのHRに出席して式の手伝いをすれば、社会見学の校外授業を受けたとみなしてもらえた。よって二十組の四十一人は朝のHRが終わるや嬉々として神社へ向かい、同級生達から大層羨ましがられたそうだ。なぜ四十一人かと言うと、下っ端とはいえ神職として正式に結婚式を執り行うことが認められ、僕は授業を終日免除されていたのである。それ自体は嬉しいけど、野郎共に報復の口実を与えてしまったことは、ちょぴり悔しかった。
けどまあ楽しかったから、全然いいんだけどさ。
そんな感じで僕は自分の職務に邁進し、そのお陰か極めて珍しい事に、涙を流すことが一度も無かった。感動の場面にもらい泣きしそうになるのがせいぜいで、狩衣を着ていようと着ていまいと、神様と人々を仲介する通路としての自分を僕は保っていた。
が、最後の最後にやられた。結婚式の全てが終わり、四人の先輩方が私服に着替え、大石段の下にやって来た二台のオープンカーに乗る様子を目にした瞬間、
―― 行っちゃいやだ!
と感情が爆発したのだ。先輩方はこれから羽田空港へ直行し、新婚旅行に出かける。常夏の南の島でハネムーンを満喫したらもちろん日本に帰って来るけど、帰って来た先輩方とお会いする予定が僕にはない。昨日の卒業式を経て同じ湖校生ではなくなり、今日の結婚式も終わってしまった今、先輩方と僕に日常的な関りはもう無くなってしまった。次回からは非日常の環境下でのみ会うことができ、その証拠に、先輩方と同じ時間を共有できる次の機会がいつなのかを僕は全く予想できないでいた。数年先かもしれないし、それどころかひょっとすると、これが今生の別れなのかもしれないのである。それをはっきり自覚した僕は、AICAの座席に腰を据えた先輩方に、心の中で「行っちゃいやだ!」と声の限りに叫んだ。だが幾ら叫ぼうと運命を変えられるはずもなく、しかしだからと言って叫び続けることを止められなかった僕の双眸から、涙がとめどなく溢れてきた。それはあたかも心の声を物質化した如くであり、無限の想いに駆られてこのまま無限に涙を流すかに思われたが、そうはならなかった。
先輩方が、行ってしまったからだ。
心の中で叫ぶのではなく声を張り上げたとしても、それが届かない遠い場所へ行ってしまったからだ。
五感を研ぎ澄ませても感覚体を極限まで広げても、先輩方の気配を感じることはもう無かった。僕は涙を拭き、空を見上げる。
そして問いかけた。
―― 僕らを介して別れを体験するために、有限に縛られた僕らを、あなたは創ったのですか?
返事は無かった。
その代わり空間がいつもより身近に感じられ、寄り添って慰めてもらっている気がしきりとしてきた。頬が自然とほころび、息を大きく吐く。そして僕は、
―― まあいいさ!
と、完全な友達感覚で空間に伝えたのだった。
それから八日経った、三月二十四日。
終業式を迎えた僕ら二年生は、慣例に反して泣きまくっていた。
進級に伴うクラス替えこそあれ、大講堂で終業式に臨んでいる八百四十人は、全員もれなく三年生校舎へ移る。たったそれだけの事だと頭では理解していても、僕らはどうしても涙を堪えることができないでいた。湖校の慣例によるとこの現象が起こるのは一年から二年への進級時に限られており、二年から五年生まではカラッと乾いた終業式になると常々聞いていたのに、一体どうしてしまったのだろうか。それが知りたくて、僕らは心の赴くまま泣いた。すると何がきっかけになったか判からないが、拍子抜けするほどあっさり正解に辿り着くことが出来た。それは、「一年のクラスに負けないほど二年のクラスも好きだから」という、捻りもオチもない理由だったのである。そして一度理由がわかれば、泣いて当然だと心底納得できた。
みんなイイ奴だった。
この級友達と過ごした一年間は、楽しくて仕方なかった。
その日々が今日をもって終わってしまうのだから、涙が出て当然。さあみんな、このクラスで一致団結して行う最後の仕事だ、思う存分涙を流そうぜ!
的なノリで僕らは泣きじゃくり、そして二度とやって来ない二年生の日々に、別れを告げたのだった。
その翌日、春休み初日の三月二十五日。
日の出を約一時間後に迎える、午前四時半。
魔想討伐を終えた僕と末吉は、神社へ帰投していた。
最近、魔想討伐が日常化するあまり、意識に登らない現象が益々進行している。翔人になりたての頃は、日記を書くべく就寝前に一日を振り返ると、一日の最初の出来事である魔想討伐をいつも真っ先に思い出していた。よって日記は翔人関係の事柄で埋め尽くされ、それに疑問を覚えることも無かったが、湖校入学を機に変化が訪れた。真っ先に思い出すことに、学校関係が増えたのである。猛と友達になり、新忍道サークルに入会し、京馬と真山と芹沢さんも友人に加わり、そしてエイミィを始めとするAI達と親交を深めるようになると、学校関係の話題は更に増えていった。と言っても翔人関連の話を日記に取り上げることも多々あり、僕自身それを書くことを楽しんでいたけど、内容が大きく様変わりしたのも事実だった。翔人関連であっても魔想討伐ではなく、輝夜さんや昴や猫達との交流を話題にすることがメキメキ増えていったのだ。いや正直言うと、内容が大きく様変わりした件も、エイミィに指摘されて初めて気づいたほど、僕にとって魔想討伐は意識に登らない事柄になっていたのである。
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