惚れた弱みにも、限度がありました。

「本気じゃない。ただ、一度だけ相手をしてやれば、おとなくなると思っただけなんだ。愛しているのは、マーシアだけだ。信じてくれ……っ」

 涙ぐみながら必死に言い訳するのは、マーシアの婚約者である、パスカルだ。

 好きだから。愛しているから。別れたくないから。許したくないのに、別れると告げてやりたいのに、マーシアはどうしても、それが口に出せずにいた。

(……わかっている、つけ込まれていることは。わたしがこんなんだから、パスカルが浮気してしまうってことも)

 でも、どうしようもなく好きだった。

 それは、パスカルもよく理解していたのだろう。だからよけい、哀しかった。憎かった。わかっていても、どうしても別れたくなかった。


 愛していたから。

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