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74.不安

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エドワードはステファニーと同じ寝台で眠るようになってから安心して寝られるようになった。それでも夜中に何度も目が覚め、呻いていることがあった。

その夜もエドワードは大量に汗をかき、不快感と自分の叫びで目が覚めた。それと同時にステファニーもエドワードの寝言で目覚めた。

「・・・ああーっ!行かないでくれっ!・・・がっ!・・はっ!」

エドワードは息が乱れたまま、寝台の上で上半身をがばっと起こした。彼の汗ばんだ手をステファニーは握り、目をじっと見つめた。

「私はここにいます。ご安心下さい」

「本当に?!君は僕を独りにしない?」

ステファニーの肯定を聞くとエドワードはがばっとステファニーに抱き着いた。

「ありがとう!ステフィー!・・・あっ、ごめん、触っちゃって・・・それに汗臭いよね・・・」

「いいえ、気になさらないで下さい。でも風邪をお召しになるといけません。お召し替え下さい」

ステファニーはエドワードをそっと押しやり、新しい寝間着を取りに行って持ってきた寝間着をエドワードに渡した。

「あの、申し訳ないのですが、私は後ろを向いているので、お一人でお願いします・・・」

「悪いが、背中を拭いてくれないか?このままでは気持ち悪くて眠れない」

「あっ、そうですよね。失礼しました。すぐに布巾を持ってきます」

布巾を取りにいくためにステファニーがすぐ隣の浴室に入って行くと、エドワードはナイトテーブルの引出しから小瓶を取り出し、手の中に隠した。

ステファニーは寝台の脇に跪き、湿らせた布巾でエドワードの背中を拭いた。だが彼の上半身裸の姿など婚約時代にも見たことはなく、いくら背中とは言え、目のやりどころに困った。

「ああ、さっぱりするよ。ありがとう、悪いね」

「よろしいですか?その、前も拭かれたいようでしたら・・・申し訳ないのですが、ご自分でお願いします。新しい布巾をお持ちしますから、少しお待ち・・・きゃっ!」

立ち上がろうとしたステファニーは、自分の夜着の裾を踏んで転びそうになったが、すんでのところでエドワードが腕を掴んで転ばずに済んだ。

「ステフィー、大丈夫?」

エドワードはステファニーの腕をそのままぐぐっと自分の方に寄せ、自分の腕の中に彼女を包み込んだ。エドワードの熱い吐息がうなじにかかり、裸の体温と心臓の鼓動が薄い夜着を通してステファニーに伝わってきた。

「へ、陛下っ?!」

「お願い!このままでいさせて!僕を拒絶しないで!」

ステファニーの首筋に水滴がぽたぽたと落ちてきた。

「陛下?」

「ステフィーは僕のそばにい続けてくれるんだよね?本当に信じていいの?そんな他人行儀な呼ばれ方したら、信じられないよ・・・」

「わかりました、エ、エド・・・」

「ありがとう・・・」

エドワードは涙で濡れた顔をステファニーのうなじにくっつけた。柔らかくて温かい感触が首筋のそこかしこに落とされ、ぴりりと微かな痛みが走った。

「あっ!エドッ!止めて!」

「お願い・・・僕を拒絶しないで・・・僕の目を見て・・・」

エドワードがステファニーの前に身体の向きを変えると、不安で揺れる青い瞳がステファニーの目に映った。
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