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55.3人デート
しおりを挟む儀式の翌日、わたしたちは3人でジュエリーショップへ行く事になった。
昨夜儀式を終えて帰ってきてから装飾品用の魔石に魔力を込めた。それを持って行って創ってもらうのだ。
「う~ん…」
わたしは迷っていた。総レース、Aラインのノースリーブワンピースか・・・パフスリーブのフリルワンピースか・・・どちらも涼しげで清潔感のある白。・・・で、ミニ。とにかく服が大量にあってやっとここまで絞った。
「決まったか?」
ベッドルームの鏡の前で2つのワンピースを手に唸っていると、レドとルーカスが入ってきた。
「ご、ごめん。どちらにしようか迷っちゃって」
「いいんですよ。どれで迷ってるんです?」
「コレ…2人はどっちがいい?」
「こっちだな」
「こっちですね」
ノースリーブワンピースを同時に指差す。・・・この2人って、性格は全然違うのに結構趣味が似てるよね。
「じゃあこっちにするね。もう少しだけ待ってて?」
「いや、待てない。手伝ってやる」
「そうですね」
着替えようとすると持っていたワンピースをルーカスに取られ、レドがわたしの部屋着を脱がしにかかる。
「待って、自分で…」
「駄目だ」
「ダメです」
・・・即否定です。一瞬で下着姿にされたわたしの背中をレドの熱い舌が舐め上がってくる。首すじを擽りながら耳へとたどり着いて耳朶を甘噛みされ、ひくんっ、と背を反らせる。
「んンっ…」
レドが離れるとルーカスがワンピースを着せる。途中、おしりを軽く掴んで撫で回し、レドとは反対の耳の中をねぶってファスナーを上げた。思わず飛び出そうになるうさ耳としっぽを何とか抑え込む。
「あふぅ…ッン…もう…」
「ふふふ、早く決めないからですよ」
「だってたくさんあって迷っちゃって…」
「慣れないと大変だぞ、増える一方だからな」
「え…」
「馬車を待たせてあるんです。行きましょう」
2人は目を丸くするわたしの腰を左右から抱いて玄関へ向かった。
◇
待っていた馬車は前にレドとレストランへ行った時と同じだった。御者も同じ無表情な男性。中の席に落ち着いてからその事を話すと、これはレドとルーカス専用の私用馬車で、他にもグラベットの幹部用や護送用など、何台もあると聞かされて開いた口が塞がらなくなった。
物凄く今更だけど、わたしとんでもない人たちと結婚したんだね・・・。
「フフッ、知らなかったのか?」
レドが何故か嬉しそうに言う。
「うん…びっくりした」
「ふふ、私達の元へくる女性は大抵この財産や地位が目当てなんですよ?」
「わたしだってレドたちが地位も財産も持ってるって事は知ってたよ?ただちょっと…忘れてたのと、予想以上だというか…」
わたしの言葉に顔を見合わせて笑う2人。
「忘れてた、か。やはりお前は面白い女だ」
「同感です。財産でなく、私たちを愛してくれてるのでしょう?」
「当たり前でしょう?でも…買いかぶりかもよ?わたしだってお金は嫌いじゃないもん」
ここは素直に言っておく。
「なら、俺たちが今急に無一文になったらどうする?」
「無一文?生活出来ないのは困る…そうなったら一緒に稼ぐ。ほら、歌もあるし…」
考えながら話すと珍しく2人して大笑いしだした。
何か可笑しい事言ったかな・・・?無いと困るから働こう、って単純な話なんだけど。それに夫婦だったら当たり前だよね?
一頻り笑ってから頬と唇に何度もキスする。
「ソニア…」
レドが甘い声で名を呼び、短いスカートの裾から手を忍ばせて太ももを撫でる。
「ああ…ソニア…」
ルーカスが愛しげな声を出しながらおしりを掴む。
・・・なんでこうなるー!
「…んっ、あ…やっ、ちょっとまって、だめ…っんふ…」
わたしが2人に敵うはずもなく・・・レドに唇を奪われ、ルーカスに首すじを舐められて熱が生まれる。ここは馬車の中とういことが頭を掠めるが、情欲を誘う舌と指に抵抗できずにうさ耳としっぽが出てしまった。
「んきゃぅ、ッあ、あ、みみ、でちゃった…ぁふっ、だめぇ…まって」
このままじゃデートがだめになる。そう思って身体を弄る手を必死に掴んで止めると、レドが膨れた顔をする。
「…何故止める」
「っは、ふ…だって、せっかく3人での初デート…」
2人はわたしの言葉に目をパチクリさせ・・・しまった、という表情になった。
そうです。ルーカスと結ばれてからというもの・・・うさ耳プレイに没頭したり、今回の一件があったりで一度も3人でデート出来ていないのだ。それもやっと落ち着いて今日に至るのですよ。
「そういえば3人は無かったか。…すまない」
「…そうですね、すみません」
「夜までは我慢する」
「ええ、夜までは」
・・・反省は一瞬だけですか。そうですか。
ジュエリーショップに着く直前だった馬車は、わたしのうさ耳としっぽを引っ込める為に少し遠回りしたのでした・・・。
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