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最終章 ”ヒーロー”
第37話
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腕時計を見ると、12時20分。
ちょうど昼飯時ということもありやや人の往来は穏やかだ。
そして、予想通りに警備の手は緩く、表門は二人だけ。
この調子なら、と裏門に回ってみると、予想通りに警備員は配備されていなかった。
門が閉まっているだけで、大丈夫だと考えているのだろう。
周囲を見渡しても、人の気配は感じられない。
――これなら……。
裏門近くにも人がいないことを確認してから舌なめずりをして、わたしは門を乗り越えた。
――……誰にも見つかってない。
昨晩、脳裏に焼き付くほど、ホームページにあった見取り図を見た。
目を瞑り、そのイメージを思い起こす。
近くには、プール。
今年は授業で使わなかったが、改修をして夏休み中に開放していたらしい。
その反対には、旧校舎がある。
今では物置としてしか使っていない部屋がほとんどらしいが、それは間違いではなかったようでどの部屋も活気はないように見えた。
これまた予想通り。
そう。ここまで、まったくすべてがあらかじめ考えていた予想通りなのだ。
予定といっても過言ではないかもしれない。
予言者にでもなったかのような気分になりながら、これからも予想通りに事が進むはずという全知全能感が波のように押し寄せてくる。
そしてそれは、これからの計画も予想通り、予定通りに進んでくれるんじゃないかという自信に繋がっていく。
――この後は……。
再び目を瞑り、わたしは考え付いた計画を反芻した。
今目の前にある旧校舎は、本校舎から隔離されており一度外を介さなければ入ることができないという構造になっている。
逆を返せば、ここは天然の要塞のようなものだ。
ここで立て籠もれば、かなりの時間を警察の手から逃れることができる。
近くにいる生徒を何人か人質にとった後そこを使えば時間稼ぎになる。
その間に、人質を脅し、必要があれば殺して屈服させ、あわよくば――犯す。
学生時代は虐げられ、社会に出てからは馬鹿にされ、楽しみという楽しみだってなかった自分にはそれを行ってもいいという義務があるはずだ。
恐らく、夕方にはニュースになるだろう。
機動隊が出てくるなんて状況になれば速報という形でテレビを独占できるかもしれない。
あの、馬鹿にされていたわたしが、全国ネットデビューだ。
ネットにただ書き込むだけの惨めな奴らだって、学生だったわたしを無視していた連中や、いじめていた連中だって、成しえない、大業だ。
そうしたら、アイツらは〝あの時少しでも攻撃的な言動を控えていれば〟なんて後悔する毎日を送るはず。
一度に複数の人間を公開の渦という底に落とすことができる。
その上で、わたしは極上の快楽を味わうことができる――そう考えるだけで全身の血が沸騰でもしたかのように沸き立った。
はやく、事を起こしたい。
体のほてりを抑えられないまま、わたしは歩を進めた。
――血眼だろうわたしは、やはり神に見離されてはいなかった。
プールから旧校舎までそれなりに距離はあるのだが、わたしはその間誰にも見つかることなかった。
悠々自適ともとれる余裕さをもって旧校舎に張り付くと、懐に隠し持った包丁を右手で握りしめつつ、左手で非常ドアのドアノブに手をかけた。
もし、ここに誰かいれば、問答無用で刺す――。
ちょうど昼飯時ということもありやや人の往来は穏やかだ。
そして、予想通りに警備の手は緩く、表門は二人だけ。
この調子なら、と裏門に回ってみると、予想通りに警備員は配備されていなかった。
門が閉まっているだけで、大丈夫だと考えているのだろう。
周囲を見渡しても、人の気配は感じられない。
――これなら……。
裏門近くにも人がいないことを確認してから舌なめずりをして、わたしは門を乗り越えた。
――……誰にも見つかってない。
昨晩、脳裏に焼き付くほど、ホームページにあった見取り図を見た。
目を瞑り、そのイメージを思い起こす。
近くには、プール。
今年は授業で使わなかったが、改修をして夏休み中に開放していたらしい。
その反対には、旧校舎がある。
今では物置としてしか使っていない部屋がほとんどらしいが、それは間違いではなかったようでどの部屋も活気はないように見えた。
これまた予想通り。
そう。ここまで、まったくすべてがあらかじめ考えていた予想通りなのだ。
予定といっても過言ではないかもしれない。
予言者にでもなったかのような気分になりながら、これからも予想通りに事が進むはずという全知全能感が波のように押し寄せてくる。
そしてそれは、これからの計画も予想通り、予定通りに進んでくれるんじゃないかという自信に繋がっていく。
――この後は……。
再び目を瞑り、わたしは考え付いた計画を反芻した。
今目の前にある旧校舎は、本校舎から隔離されており一度外を介さなければ入ることができないという構造になっている。
逆を返せば、ここは天然の要塞のようなものだ。
ここで立て籠もれば、かなりの時間を警察の手から逃れることができる。
近くにいる生徒を何人か人質にとった後そこを使えば時間稼ぎになる。
その間に、人質を脅し、必要があれば殺して屈服させ、あわよくば――犯す。
学生時代は虐げられ、社会に出てからは馬鹿にされ、楽しみという楽しみだってなかった自分にはそれを行ってもいいという義務があるはずだ。
恐らく、夕方にはニュースになるだろう。
機動隊が出てくるなんて状況になれば速報という形でテレビを独占できるかもしれない。
あの、馬鹿にされていたわたしが、全国ネットデビューだ。
ネットにただ書き込むだけの惨めな奴らだって、学生だったわたしを無視していた連中や、いじめていた連中だって、成しえない、大業だ。
そうしたら、アイツらは〝あの時少しでも攻撃的な言動を控えていれば〟なんて後悔する毎日を送るはず。
一度に複数の人間を公開の渦という底に落とすことができる。
その上で、わたしは極上の快楽を味わうことができる――そう考えるだけで全身の血が沸騰でもしたかのように沸き立った。
はやく、事を起こしたい。
体のほてりを抑えられないまま、わたしは歩を進めた。
――血眼だろうわたしは、やはり神に見離されてはいなかった。
プールから旧校舎までそれなりに距離はあるのだが、わたしはその間誰にも見つかることなかった。
悠々自適ともとれる余裕さをもって旧校舎に張り付くと、懐に隠し持った包丁を右手で握りしめつつ、左手で非常ドアのドアノブに手をかけた。
もし、ここに誰かいれば、問答無用で刺す――。
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