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第十章
求め合う夜、のそのとき(一)※
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(ルシアナ……)
腕の中で小さく体を震わせる愛しい人の名前を心の中で呼ぶと、彼女を貫いている自身を引き抜き、彼女を床に下ろす。ふらつく彼女の体をすぐに横抱きに抱え直し、タオルを適当に掴んで寝室に向かった。
落ちる水滴など気にも留めず、ベッドにタオルを放り投げるとその上にルシアナを寝かせる。
ぼうっとしたように自分を見上げるルシアナの体をタオルで包みながら、いまだ硬さを失っていない欲の塊を彼女の中に埋めていく。
柔らかい膣道は狭いながらも一生懸命屹立を飲み込み、温かく包み込んでくれる。
「んぅ、っン……」
艶やかな声を漏らしながら、彼女はその口元に嬉しそうな笑みを浮かべている。
(彼女は……酷いことをされた自覚がないんだな)
あれほど一方的に蹂躙され、欲をぶつけられたというのに、彼女の眼差しはレオンハルトへの愛に満ちていた。
ルシアナの好意に甘えていてはいけない。そう思うのに、ルシアナが自分の行いを許すたびに、もう少し、あと少し、と欲張りになってしまう。
彼女の体を拭きながら緩く腰を動かせば、ルシアナは長い睫毛を震わせながら、くすぐったそうに笑った。
「っふ、ン……ふふ……ぁ、ふ、……レオンハルトさま……っぁ」
タオルから両腕を出し広げたルシアナに、レオンハルトは動きを止めると上体を倒した。彼女の顔の横に肘から先をつき、もう一方の腕を彼女の体とベッドの間に滑り込ませ腰を掴む。そうして体を密着させると、ルシアナは背中に腕を回し、首元に顔をすり寄せた。
「レオンハルトさま……」
あまりにも幸せそうに名前を呟かれ、まるで自分が何か上等なものになったかのような錯覚に陥る。
(……貴女が口にする名が、俺だけだったらいいのに)
レオンハルトはルシアナの額に口付けると、ゆったり腰を引き、一気に最奥を叩く。
「っぁあ……!」
背中に回された腕が、しがみつこうと必死に背中を探る。それを理解しながらも、レオンハルトは遠慮なく柔襞を擦り上げ、抉るように奥を突いた。
「あっああっ、っ、っぁ、レオンハルトさまぁっ」
正常な思考を溶かす、蕩け切った甘い声。その声を聞くだけで腰にどんよりとした快楽が溜まり、彼女の中の居心地の良さも相まってすぐ果ててしまいそうになる。
(許されない。そんなこと)
自分が果てるのは彼女が十分に快感を得てからでなければいけない。
ルシアナのこめかみに口付けながら、レオンハルトはルシアナの中に収まっているものに意識を集中させる。もっと言えば、そこから伝わってくるルシアナの反応に、意識を集中させる。
どこを擦れば彼女は気持ちいいか。
どう動けば彼女が甘く啼くのか。
その情報を取りこぼさないよう、五感のすべてを使って探る。
「あっ、ん、ぅ、んっ」
腰を抱く腕に力を込め、最奥を潰し、捏ねるように腰を回せば、一層高く甘い声が漏れる。
(やはり奥が好きそうだな)
抽送を止め、奥だけを執拗に攻めれば、彼女の四肢が小刻みに震えていく。
短い呼吸を繰り返し、抱き着く腕にも、レオンハルトの腰を挟む腿にも力が入る。
レオンハルトは少し頭を動かすと、ルシアナの耳孔に舌を這わせる。
「ぁ……!? だめっ、レオンハルトさまっ……っぁ、だ、めぇ……っ」
「っ……」
ぎゅうっと隘路が狭まり、淫らに蠢く柔襞が肉茎を扱く。
息を詰め、思わず動きを止めたレオンハルトだったが、奥へ奥へと誘うように絡み付く襞を振り切るように腰を引き、抽送を再開させる。
増した蜜がぐちゅぐちゅと音を立てるのを聞きながら、レオンハルトはわずかに体を起こしルシアナを見下ろす。
じわりと汗が滲む額。濡れた瞳。上気した頬。開いた口からは絶え間なく嬌声が漏れ、誘うように唇が震えている。
「……ルシアナ」
呼びかけに応じるように、彼女の中が締まる。目が合うと彼女は顔を綻ばせ、離さないとでもいうようにレオンハルトのものを締め付けた。
たまらず唇を奪えば、ルシアナは嬉しそうにそれに応えてくれる。
ルシアナの甘やかな喘ぎが口内に消えていくたび、実際それが甘味となって口の中に広がったような気がした。
(俺は、貴女さえいれば他に何もいらないんだ。本当に)
ルシアナさえ隣にいてくれるなら、窓も娯楽もない暗い一室で一生を終えても構わない。
他の誰に会えなくても、他の何を得られなくても、ただこの腕の中にルシアナがいてくれるなら、なんだっていい。
(愛してるんだ、ルシアナ。貴女だけをどうしようもなく……どうしようもないほど、貴女を求めてやまない)
舌を絡ませながら口を離すと、彼女の口の端からどちらのものかわからない唾液がこぼれ落ちた。
(貴女のすべてが欲しい)
唾液を舐め取ったレオンハルトは、ルシアナの腰を抱え直すと抽送に集中する。素早く襞を擦り、何度も最奥を叩いた。
「ふぁっ、あっ――ぁあっ」
(愛してる、ルシアナ……愛してるんだっ……)
自分でも持て余してしまうほど大きく重い愛は、日に日にその質量と重量を増していき、それがどうしようもない欲望としてルシアナに向かっていく。
正常に機能している理性のおかげで、この愛のすべてをルシアナにぶつけずに済んでいるが、それも時間の問題だろう。
(ルシアナ……俺のルシアナ……!)
せめてこの愛の、この欲望の一端だけも受け取ってほしいというように、レオンハルトは腰を打ち付ける速度を上げる。
二人の荒い息を覆うように淫靡な水音が大きくなっていき、淫猥な行いをしていることを聴覚からも突き付けられているような気分になった。
(俺だけだ、貴女を穢せるのは……!)
「ああっ、ぁっ……ぁ、あッ――!」
「――っ……!」
ごりっと奥を抉れば、ルシアナは大きく腰を跳ねさせた。
果ての余韻か、腕の中でびくびく跳ねる腰を押さえながら、レオンハルトも収縮する膣道の最奥に欲の一部を吐き出す。
搾り取るように蠢く柔襞に応えるように、緩く腰を動かし、最後の一滴まで彼女の中に注ぐ。
涙に濡れたルシアナの目元に口付けると、レオンハルトはゆっくり体を起こした。
腕の中で小さく体を震わせる愛しい人の名前を心の中で呼ぶと、彼女を貫いている自身を引き抜き、彼女を床に下ろす。ふらつく彼女の体をすぐに横抱きに抱え直し、タオルを適当に掴んで寝室に向かった。
落ちる水滴など気にも留めず、ベッドにタオルを放り投げるとその上にルシアナを寝かせる。
ぼうっとしたように自分を見上げるルシアナの体をタオルで包みながら、いまだ硬さを失っていない欲の塊を彼女の中に埋めていく。
柔らかい膣道は狭いながらも一生懸命屹立を飲み込み、温かく包み込んでくれる。
「んぅ、っン……」
艶やかな声を漏らしながら、彼女はその口元に嬉しそうな笑みを浮かべている。
(彼女は……酷いことをされた自覚がないんだな)
あれほど一方的に蹂躙され、欲をぶつけられたというのに、彼女の眼差しはレオンハルトへの愛に満ちていた。
ルシアナの好意に甘えていてはいけない。そう思うのに、ルシアナが自分の行いを許すたびに、もう少し、あと少し、と欲張りになってしまう。
彼女の体を拭きながら緩く腰を動かせば、ルシアナは長い睫毛を震わせながら、くすぐったそうに笑った。
「っふ、ン……ふふ……ぁ、ふ、……レオンハルトさま……っぁ」
タオルから両腕を出し広げたルシアナに、レオンハルトは動きを止めると上体を倒した。彼女の顔の横に肘から先をつき、もう一方の腕を彼女の体とベッドの間に滑り込ませ腰を掴む。そうして体を密着させると、ルシアナは背中に腕を回し、首元に顔をすり寄せた。
「レオンハルトさま……」
あまりにも幸せそうに名前を呟かれ、まるで自分が何か上等なものになったかのような錯覚に陥る。
(……貴女が口にする名が、俺だけだったらいいのに)
レオンハルトはルシアナの額に口付けると、ゆったり腰を引き、一気に最奥を叩く。
「っぁあ……!」
背中に回された腕が、しがみつこうと必死に背中を探る。それを理解しながらも、レオンハルトは遠慮なく柔襞を擦り上げ、抉るように奥を突いた。
「あっああっ、っ、っぁ、レオンハルトさまぁっ」
正常な思考を溶かす、蕩け切った甘い声。その声を聞くだけで腰にどんよりとした快楽が溜まり、彼女の中の居心地の良さも相まってすぐ果ててしまいそうになる。
(許されない。そんなこと)
自分が果てるのは彼女が十分に快感を得てからでなければいけない。
ルシアナのこめかみに口付けながら、レオンハルトはルシアナの中に収まっているものに意識を集中させる。もっと言えば、そこから伝わってくるルシアナの反応に、意識を集中させる。
どこを擦れば彼女は気持ちいいか。
どう動けば彼女が甘く啼くのか。
その情報を取りこぼさないよう、五感のすべてを使って探る。
「あっ、ん、ぅ、んっ」
腰を抱く腕に力を込め、最奥を潰し、捏ねるように腰を回せば、一層高く甘い声が漏れる。
(やはり奥が好きそうだな)
抽送を止め、奥だけを執拗に攻めれば、彼女の四肢が小刻みに震えていく。
短い呼吸を繰り返し、抱き着く腕にも、レオンハルトの腰を挟む腿にも力が入る。
レオンハルトは少し頭を動かすと、ルシアナの耳孔に舌を這わせる。
「ぁ……!? だめっ、レオンハルトさまっ……っぁ、だ、めぇ……っ」
「っ……」
ぎゅうっと隘路が狭まり、淫らに蠢く柔襞が肉茎を扱く。
息を詰め、思わず動きを止めたレオンハルトだったが、奥へ奥へと誘うように絡み付く襞を振り切るように腰を引き、抽送を再開させる。
増した蜜がぐちゅぐちゅと音を立てるのを聞きながら、レオンハルトはわずかに体を起こしルシアナを見下ろす。
じわりと汗が滲む額。濡れた瞳。上気した頬。開いた口からは絶え間なく嬌声が漏れ、誘うように唇が震えている。
「……ルシアナ」
呼びかけに応じるように、彼女の中が締まる。目が合うと彼女は顔を綻ばせ、離さないとでもいうようにレオンハルトのものを締め付けた。
たまらず唇を奪えば、ルシアナは嬉しそうにそれに応えてくれる。
ルシアナの甘やかな喘ぎが口内に消えていくたび、実際それが甘味となって口の中に広がったような気がした。
(俺は、貴女さえいれば他に何もいらないんだ。本当に)
ルシアナさえ隣にいてくれるなら、窓も娯楽もない暗い一室で一生を終えても構わない。
他の誰に会えなくても、他の何を得られなくても、ただこの腕の中にルシアナがいてくれるなら、なんだっていい。
(愛してるんだ、ルシアナ。貴女だけをどうしようもなく……どうしようもないほど、貴女を求めてやまない)
舌を絡ませながら口を離すと、彼女の口の端からどちらのものかわからない唾液がこぼれ落ちた。
(貴女のすべてが欲しい)
唾液を舐め取ったレオンハルトは、ルシアナの腰を抱え直すと抽送に集中する。素早く襞を擦り、何度も最奥を叩いた。
「ふぁっ、あっ――ぁあっ」
(愛してる、ルシアナ……愛してるんだっ……)
自分でも持て余してしまうほど大きく重い愛は、日に日にその質量と重量を増していき、それがどうしようもない欲望としてルシアナに向かっていく。
正常に機能している理性のおかげで、この愛のすべてをルシアナにぶつけずに済んでいるが、それも時間の問題だろう。
(ルシアナ……俺のルシアナ……!)
せめてこの愛の、この欲望の一端だけも受け取ってほしいというように、レオンハルトは腰を打ち付ける速度を上げる。
二人の荒い息を覆うように淫靡な水音が大きくなっていき、淫猥な行いをしていることを聴覚からも突き付けられているような気分になった。
(俺だけだ、貴女を穢せるのは……!)
「ああっ、ぁっ……ぁ、あッ――!」
「――っ……!」
ごりっと奥を抉れば、ルシアナは大きく腰を跳ねさせた。
果ての余韻か、腕の中でびくびく跳ねる腰を押さえながら、レオンハルトも収縮する膣道の最奥に欲の一部を吐き出す。
搾り取るように蠢く柔襞に応えるように、緩く腰を動かし、最後の一滴まで彼女の中に注ぐ。
涙に濡れたルシアナの目元に口付けると、レオンハルトはゆっくり体を起こした。
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