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パーティーⅡ
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こうしていよいよ私たちは王宮に向かった。
これまで私は一家の恥と思われていたため人目があるところには出してもらえなかったため、中に入るのは幼いころ以来である。
オールストン家の屋敷もそれなりに大きな建物ではあったが、改めて王宮を見るとその壮麗さに圧倒されてしまう。加えて今日はたくさんの貴族が集まっていたため、目が回りそうになってしまう。
「すごい……」
「僕もこういうのは初めてだけど、すごいな」
私だけではなく隣に立つロルスも同じような反応をしているのを見て私は少しほっとした。そんなことを考えつつ歩いていくと、私はふと遠くに見知った人物を見つけた。基本的に他の貴族は知らない人ばかりなのだが、彼だけは忘れもしない。
私に婚約破棄を言い渡し、実家追放の原因を作ったブランドだ。彼の顔を見ると嫌な気持ちになるが、同時に彼の婚約破棄のおかげで結果的に実家を脱出することが出来たという思いもある。
そんな彼だが、傍らに知らない女性を侍らせて楽しげにしゃべっている。
一体誰だろうか。
とはいえもはや彼には興味はないし、傍らにロルスがいるのに彼の方を見ているのも悪い、と思い目をそらそうとした時だった。不意にブランドがこちらを向き、私たちは目が合ってしまう。
「やあレイラ、久しぶりだね」
そしてあろうことか、彼はニヤニヤと笑みを浮かべながら私に向かって話しかけてきた。
「……一体何の用?」
私は出来るだけ冷たい声で返すが、彼は私の嫌悪感などどこ吹く風、もしくは私が嫌がっているのを見て余計に嬉しくなったのか言葉を続けてくる。
「あの後実家からも追い出されたんだってね。そんな相手と婚約させられていて、一歩間違えると結婚していたと考えると寒気がするよ。あ、そちらは今彼女と結婚している方だね。これは失礼」
そう言って彼が笑うと、つられて隣の女性も笑う。
「おい……」
明らかにこちらを馬鹿にした言葉にさすがにロルスが額に青筋を浮かべる。
「初対面の相手にそんなことを言うのは失礼じゃないか?」
「そんなこと? 別に事実を言っただけだが」
「そうですよ。血筋だけで魔法の一つも使えない方と結婚させられていたブランドさんは被害者ですよ」
「その女は?」
急に口を挟んできた女に苛々しつつロルスが尋ねる。
するとブランドは嬉しそうに答えた。
「ああ、彼女はアチソン家のベラだ。彼女は誰かと違ってちゃんと魔法が使える女だから頃合いを見て婚約しようと思っている」
そう言われてみると確かにベラからは魔力を感じる。
とはいえ、今の私や実家にいた父上はもちろん、母上や他の兄弟と比べても大したことはない。もしかしてブランドは魔術に詳しくないから適当に言いくるめられているのではないか、と思うがさすがに口には出さない。
「奪うようになってしまってすみません。でもこう考えてください、元の婚約が間違っていて正しい状況になっただけだって」
私を見てベラは少し煽るような目で言ってくる。
その言葉に私は頷いた。
「確かにそうかもしれない。おかげでお互い正しい相手に巡り合えたかもね」
「え?」
私は本心を答えただけだが、皮肉に対して私が素直に同意したのに驚いたのだろう、ベラは困惑する。
どうせもうすぐ分かることだ、と思いつつ私はロルスの手をとる。
「行こう?」
「あ、ああ」
ロルスはまだ不快そうな表情をしていたが、私たちはその場を離れたのだった。
これまで私は一家の恥と思われていたため人目があるところには出してもらえなかったため、中に入るのは幼いころ以来である。
オールストン家の屋敷もそれなりに大きな建物ではあったが、改めて王宮を見るとその壮麗さに圧倒されてしまう。加えて今日はたくさんの貴族が集まっていたため、目が回りそうになってしまう。
「すごい……」
「僕もこういうのは初めてだけど、すごいな」
私だけではなく隣に立つロルスも同じような反応をしているのを見て私は少しほっとした。そんなことを考えつつ歩いていくと、私はふと遠くに見知った人物を見つけた。基本的に他の貴族は知らない人ばかりなのだが、彼だけは忘れもしない。
私に婚約破棄を言い渡し、実家追放の原因を作ったブランドだ。彼の顔を見ると嫌な気持ちになるが、同時に彼の婚約破棄のおかげで結果的に実家を脱出することが出来たという思いもある。
そんな彼だが、傍らに知らない女性を侍らせて楽しげにしゃべっている。
一体誰だろうか。
とはいえもはや彼には興味はないし、傍らにロルスがいるのに彼の方を見ているのも悪い、と思い目をそらそうとした時だった。不意にブランドがこちらを向き、私たちは目が合ってしまう。
「やあレイラ、久しぶりだね」
そしてあろうことか、彼はニヤニヤと笑みを浮かべながら私に向かって話しかけてきた。
「……一体何の用?」
私は出来るだけ冷たい声で返すが、彼は私の嫌悪感などどこ吹く風、もしくは私が嫌がっているのを見て余計に嬉しくなったのか言葉を続けてくる。
「あの後実家からも追い出されたんだってね。そんな相手と婚約させられていて、一歩間違えると結婚していたと考えると寒気がするよ。あ、そちらは今彼女と結婚している方だね。これは失礼」
そう言って彼が笑うと、つられて隣の女性も笑う。
「おい……」
明らかにこちらを馬鹿にした言葉にさすがにロルスが額に青筋を浮かべる。
「初対面の相手にそんなことを言うのは失礼じゃないか?」
「そんなこと? 別に事実を言っただけだが」
「そうですよ。血筋だけで魔法の一つも使えない方と結婚させられていたブランドさんは被害者ですよ」
「その女は?」
急に口を挟んできた女に苛々しつつロルスが尋ねる。
するとブランドは嬉しそうに答えた。
「ああ、彼女はアチソン家のベラだ。彼女は誰かと違ってちゃんと魔法が使える女だから頃合いを見て婚約しようと思っている」
そう言われてみると確かにベラからは魔力を感じる。
とはいえ、今の私や実家にいた父上はもちろん、母上や他の兄弟と比べても大したことはない。もしかしてブランドは魔術に詳しくないから適当に言いくるめられているのではないか、と思うがさすがに口には出さない。
「奪うようになってしまってすみません。でもこう考えてください、元の婚約が間違っていて正しい状況になっただけだって」
私を見てベラは少し煽るような目で言ってくる。
その言葉に私は頷いた。
「確かにそうかもしれない。おかげでお互い正しい相手に巡り合えたかもね」
「え?」
私は本心を答えただけだが、皮肉に対して私が素直に同意したのに驚いたのだろう、ベラは困惑する。
どうせもうすぐ分かることだ、と思いつつ私はロルスの手をとる。
「行こう?」
「あ、ああ」
ロルスはまだ不快そうな表情をしていたが、私たちはその場を離れたのだった。
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