23 / 54
パーティーⅡ
しおりを挟む
こうしていよいよ私たちは王宮に向かった。
これまで私は一家の恥と思われていたため人目があるところには出してもらえなかったため、中に入るのは幼いころ以来である。
オールストン家の屋敷もそれなりに大きな建物ではあったが、改めて王宮を見るとその壮麗さに圧倒されてしまう。加えて今日はたくさんの貴族が集まっていたため、目が回りそうになってしまう。
「すごい……」
「僕もこういうのは初めてだけど、すごいな」
私だけではなく隣に立つロルスも同じような反応をしているのを見て私は少しほっとした。そんなことを考えつつ歩いていくと、私はふと遠くに見知った人物を見つけた。基本的に他の貴族は知らない人ばかりなのだが、彼だけは忘れもしない。
私に婚約破棄を言い渡し、実家追放の原因を作ったブランドだ。彼の顔を見ると嫌な気持ちになるが、同時に彼の婚約破棄のおかげで結果的に実家を脱出することが出来たという思いもある。
そんな彼だが、傍らに知らない女性を侍らせて楽しげにしゃべっている。
一体誰だろうか。
とはいえもはや彼には興味はないし、傍らにロルスがいるのに彼の方を見ているのも悪い、と思い目をそらそうとした時だった。不意にブランドがこちらを向き、私たちは目が合ってしまう。
「やあレイラ、久しぶりだね」
そしてあろうことか、彼はニヤニヤと笑みを浮かべながら私に向かって話しかけてきた。
「……一体何の用?」
私は出来るだけ冷たい声で返すが、彼は私の嫌悪感などどこ吹く風、もしくは私が嫌がっているのを見て余計に嬉しくなったのか言葉を続けてくる。
「あの後実家からも追い出されたんだってね。そんな相手と婚約させられていて、一歩間違えると結婚していたと考えると寒気がするよ。あ、そちらは今彼女と結婚している方だね。これは失礼」
そう言って彼が笑うと、つられて隣の女性も笑う。
「おい……」
明らかにこちらを馬鹿にした言葉にさすがにロルスが額に青筋を浮かべる。
「初対面の相手にそんなことを言うのは失礼じゃないか?」
「そんなこと? 別に事実を言っただけだが」
「そうですよ。血筋だけで魔法の一つも使えない方と結婚させられていたブランドさんは被害者ですよ」
「その女は?」
急に口を挟んできた女に苛々しつつロルスが尋ねる。
するとブランドは嬉しそうに答えた。
「ああ、彼女はアチソン家のベラだ。彼女は誰かと違ってちゃんと魔法が使える女だから頃合いを見て婚約しようと思っている」
そう言われてみると確かにベラからは魔力を感じる。
とはいえ、今の私や実家にいた父上はもちろん、母上や他の兄弟と比べても大したことはない。もしかしてブランドは魔術に詳しくないから適当に言いくるめられているのではないか、と思うがさすがに口には出さない。
「奪うようになってしまってすみません。でもこう考えてください、元の婚約が間違っていて正しい状況になっただけだって」
私を見てベラは少し煽るような目で言ってくる。
その言葉に私は頷いた。
「確かにそうかもしれない。おかげでお互い正しい相手に巡り合えたかもね」
「え?」
私は本心を答えただけだが、皮肉に対して私が素直に同意したのに驚いたのだろう、ベラは困惑する。
どうせもうすぐ分かることだ、と思いつつ私はロルスの手をとる。
「行こう?」
「あ、ああ」
ロルスはまだ不快そうな表情をしていたが、私たちはその場を離れたのだった。
これまで私は一家の恥と思われていたため人目があるところには出してもらえなかったため、中に入るのは幼いころ以来である。
オールストン家の屋敷もそれなりに大きな建物ではあったが、改めて王宮を見るとその壮麗さに圧倒されてしまう。加えて今日はたくさんの貴族が集まっていたため、目が回りそうになってしまう。
「すごい……」
「僕もこういうのは初めてだけど、すごいな」
私だけではなく隣に立つロルスも同じような反応をしているのを見て私は少しほっとした。そんなことを考えつつ歩いていくと、私はふと遠くに見知った人物を見つけた。基本的に他の貴族は知らない人ばかりなのだが、彼だけは忘れもしない。
私に婚約破棄を言い渡し、実家追放の原因を作ったブランドだ。彼の顔を見ると嫌な気持ちになるが、同時に彼の婚約破棄のおかげで結果的に実家を脱出することが出来たという思いもある。
そんな彼だが、傍らに知らない女性を侍らせて楽しげにしゃべっている。
一体誰だろうか。
とはいえもはや彼には興味はないし、傍らにロルスがいるのに彼の方を見ているのも悪い、と思い目をそらそうとした時だった。不意にブランドがこちらを向き、私たちは目が合ってしまう。
「やあレイラ、久しぶりだね」
そしてあろうことか、彼はニヤニヤと笑みを浮かべながら私に向かって話しかけてきた。
「……一体何の用?」
私は出来るだけ冷たい声で返すが、彼は私の嫌悪感などどこ吹く風、もしくは私が嫌がっているのを見て余計に嬉しくなったのか言葉を続けてくる。
「あの後実家からも追い出されたんだってね。そんな相手と婚約させられていて、一歩間違えると結婚していたと考えると寒気がするよ。あ、そちらは今彼女と結婚している方だね。これは失礼」
そう言って彼が笑うと、つられて隣の女性も笑う。
「おい……」
明らかにこちらを馬鹿にした言葉にさすがにロルスが額に青筋を浮かべる。
「初対面の相手にそんなことを言うのは失礼じゃないか?」
「そんなこと? 別に事実を言っただけだが」
「そうですよ。血筋だけで魔法の一つも使えない方と結婚させられていたブランドさんは被害者ですよ」
「その女は?」
急に口を挟んできた女に苛々しつつロルスが尋ねる。
するとブランドは嬉しそうに答えた。
「ああ、彼女はアチソン家のベラだ。彼女は誰かと違ってちゃんと魔法が使える女だから頃合いを見て婚約しようと思っている」
そう言われてみると確かにベラからは魔力を感じる。
とはいえ、今の私や実家にいた父上はもちろん、母上や他の兄弟と比べても大したことはない。もしかしてブランドは魔術に詳しくないから適当に言いくるめられているのではないか、と思うがさすがに口には出さない。
「奪うようになってしまってすみません。でもこう考えてください、元の婚約が間違っていて正しい状況になっただけだって」
私を見てベラは少し煽るような目で言ってくる。
その言葉に私は頷いた。
「確かにそうかもしれない。おかげでお互い正しい相手に巡り合えたかもね」
「え?」
私は本心を答えただけだが、皮肉に対して私が素直に同意したのに驚いたのだろう、ベラは困惑する。
どうせもうすぐ分かることだ、と思いつつ私はロルスの手をとる。
「行こう?」
「あ、ああ」
ロルスはまだ不快そうな表情をしていたが、私たちはその場を離れたのだった。
210
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中
学園首席の私は魔力を奪われて婚約破棄されたけど、借り物の魔力でいつまで調子に乗っているつもり?
今川幸乃
ファンタジー
下級貴族の生まれながら魔法の練習に励み、貴族の子女が集まるデルフィーラ学園に首席入学を果たしたレミリア。
しかし進級試験の際に彼女の実力を嫉妬したシルヴィアの呪いで魔力を奪われ、婚約者であったオルクには婚約破棄されてしまう。
が、そんな彼女を助けてくれたのはアルフというミステリアスなクラスメイトであった。
レミリアはアルフとともに呪いを解き、シルヴィアへの復讐を行うことを決意する。
レミリアの魔力を奪ったシルヴィアは調子に乗っていたが、全校生徒の前で魔法を披露する際に魔力を奪い返され、醜態を晒すことになってしまう。
※3/6~ プチ改稿中
【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」
お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。
賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。
誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。
そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。
諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。
死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」
公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。
死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」
目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。
「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」
隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。
そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……?
「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」
資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。
地味令嬢を見下した元婚約者へ──あなたの国、今日滅びますわよ
タマ マコト
ファンタジー
王都の片隅にある古びた礼拝堂で、静かに祈りと針仕事を続ける地味な令嬢イザベラ・レーン。
灰色の瞳、色褪せたドレス、目立たない声――誰もが彼女を“無害な聖女気取り”と笑った。
だが彼女の指先は、ただ布を縫っていたのではない。祈りの糸に、前世の記憶と古代詠唱を縫い込んでいた。
ある夜、王都の大広間で開かれた舞踏会。
婚約者アルトゥールは、人々の前で冷たく告げる――「君には何の価値もない」。
嘲笑の中で、イザベラはただ微笑んでいた。
その瞳の奥で、何かが静かに目覚めたことを、誰も気づかないまま。
翌朝、追放の命が下る。
砂埃舞う道を進みながら、彼女は古びた巻物の一節を指でなぞる。
――“真実を映す者、偽りを滅ぼす”
彼女は祈る。けれど、その祈りはもう神へのものではなかった。
地味令嬢と呼ばれた女が、国そのものに裁きを下す最初の一歩を踏み出す。
【番外編も完結】で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★2/17 番外編を投稿することになりました。→完結しました!
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
「無能」と捨てられた少女は、神の愛し子だった――。 凍てつく北の地で始まる、聖獣たちと冷徹公爵による「世界一過保護な」逆転生活。
秦江湖
恋愛
魔法適性「鑑定」がすべてを決める、黄金の国ルミナリス。 名門ベルグラード公爵家の末娘アデリーンは、十五歳の鑑定式で、前代未聞の『鑑定不能(黒の沈黙)』を叩き出してしまう。
「我が家の恥さらしめ。二度とその顔を見せるな」
第一王子からは婚約破棄を突きつけられ、最愛の三人の兄たちからも冷酷な言葉とともに、極寒の地「ノースガル公国」へ追放を言い渡されたアデリーン。
着の身着のままで雪原に放り出された彼女が出会ったのは、一匹の衰弱した仔狼――それは、人間には決して懐かないはずの『伝説の聖獣』だった。
「鑑定不能」の正体は、魔力ゼロなどではなく、聖獣と心を通わせる唯一の力『調律師』の証。
行き倒れたアデリーンを救ったのは、誰もが恐れる氷の公爵ゼノスで……。
「こんなに尊い存在を捨てるとは、黄金の国の連中は正気か?」
「聖獣も、私も……お前を離すつもりはない」
氷の公爵に拾われ、聖獣たちに囲まれ、これまでの不遇が嘘のような「極上溺愛」を享受するアデリーン。
一方で、彼女を捨てた黄金の国は、聖獣の加護を失い崩壊の危機に直面していた。
慌ててアデリーンを連れ戻そうとする身勝手な王族たち。
しかし、彼らの前には「復讐」の準備を終えたアデリーンの兄たちが立ちはだかる。
「遅いよ。僕らのかわいい妹を泣かせた罪、一生かけて償ってもらうからね」
これは、すべてを失った少女が、真の居場所と愛を見つけるまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる