継母や義妹に家事を押し付けられていた灰被り令嬢は、嫁ぎ先では感謝されました

今川幸乃

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灰被り令嬢の日常(3)

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 それから数日後のことです。自室にいた私の元に突然エイダがやってきます。

「キャロル、頼みがあるわ」
「何でしょうか」
「今日はカレンが体調を崩してしまったの。だから代わりに食事を作ってくれない?」

 カレンというのはハンナともう一人いるメイドのことです。彼女を毎日働かせる訳にもいかないので、これまで時々私がカレンの代わりに料理を行ったりしましたが、その時のことを思い出して私は憂鬱になります。

 が、私の不満そうな顔を見てエイダは不機嫌になります。

「何? 体調を崩したカレンに働けって言うの?」
「違います、分かりました、私が作ります」

 エイダは私に物を頼む時常にこういう言い方をしてきます。
 そういう言い方をされてしまうとこれ以上しぶることも出来ません。元々エイダにやれと言われた以上やるかないのです。

 仕方なく私はキッチンに向かいます。私はエイダたちに料理するのが嫌なだけで料理自体は好きです。とりあえず材料を確認し、今日はシチューとサラダにすることに決めます。

 とりあえず野菜と肉を切り、大鍋に入れて調味料を入れようとして私はふと違和感を覚えます。私が「塩」と書かれた瓶なのですが、なぜかラベルがずれた跡があるのです。疑問に思った私は中身を出すと少し舐めてみます。

「甘っ」

 そういうことか、と思った私は次に砂糖の瓶の中身を舐めました。予想通りというかなんというか、中身はしょっぱかったです。

 どうやら私に嫌がらせをするために塩と砂糖のラベルを入れ替えたのでしょう。大方ハンナの仕業でしょうが、それを命じたのはエイダかジェーンの可能性もあります。

 それに気づいた私はため息をつきました。料理がまずくなったら困るのは彼女らも同じはずなのに、それよりも嫌がらせの方が大切なのでしょうか。

 しかし塩と砂糖が変わっている以上他にも嫌がらせがあってもおかしくありません。そう考えた私は料理をするのに必要なものが大丈夫か、あらかじめ全部確認することにしました。
 するとお玉がないと思ったらゴミ箱から出てきたり、パセリがフォークやスプーンがしまってあるところから出てきたりとキッチン内は滅茶苦茶にされていました。

 こんなことをわざわざするのは面倒でないのかとか、カレンが復帰したら私ばかりでなく彼女にも迷惑がいくのにとか思いながら仕方なく私はキッチン内を全て元に戻し、ようやく料理を始めた時には私はげっそりと疲れていました。

 野菜と肉を切って炒め、味付けしながら煮込んでいる間に副菜のサラダを作ります。時間が迫っているので野菜を切ってドレッシングをかけるだけの簡単なものです。ようやく出来上がると、それを皿に取り分けてダイニングに持っていきます。

 するとそこには怖い顔をしたエイダが待っていました。

「ちょっと、もう夕食の時間が三十分も過ぎているわ! どういうことなの!?」
「誰かがキッチンをぐちゃぐちゃにしたので」
「何馬鹿なこと言っているの!? それとも自分の不手際をカレンのせいにでもするつもり?」

 私の言葉にエイダは語気を荒げます。
 見ると、その隣でジェーンとハンナがくすくすと笑っていました。どうやら今回はこの二人がやったようです。それを知ると私は言い返す気力もなくしました。

「もういいです。遅くなってすみません」
「何その態度。そんな態度されたらご飯がまずくなるわ」

 謝ったら謝ったでこんな風に言ってきました。
 どの口が言うのか、と思いましたがとりあえず用意した料理を皆の前に置きます。
 そしてそれを食べたエイダとジェーンは顔をしかめます。

「味付けがなってないわ」
「そうですね。カレンさんなら絶対もっとうまく作れると言うのに」

 そう言いながらも二人はぱくぱくと料理を食べています。正直、おいしくないと思うならわざわざ食べなければいいのにと思うのですが。

 ちなみに自分で食べてみると、自画自賛ではありますが野菜と肉の煮込み加減がちょうどよく、特に肉は口の中に入れると溶けていくようでとてもおいしいです。野菜もきちんと奥まで火が通っています。
 とにかく、これが私がこの家で料理するのが嫌な理由です。

「あ、ちょっと今日はしなければならないことがあるので食器洗いもお願いします」

 食べ終えると、ダメ押しのようにハンナが言いました。
 正直予想はついていたので怒る気力もありません。
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