3 / 29
Ⅰ
灰被り令嬢の日常(3)
しおりを挟む
それから数日後のことです。自室にいた私の元に突然エイダがやってきます。
「キャロル、頼みがあるわ」
「何でしょうか」
「今日はカレンが体調を崩してしまったの。だから代わりに食事を作ってくれない?」
カレンというのはハンナともう一人いるメイドのことです。彼女を毎日働かせる訳にもいかないので、これまで時々私がカレンの代わりに料理を行ったりしましたが、その時のことを思い出して私は憂鬱になります。
が、私の不満そうな顔を見てエイダは不機嫌になります。
「何? 体調を崩したカレンに働けって言うの?」
「違います、分かりました、私が作ります」
エイダは私に物を頼む時常にこういう言い方をしてきます。
そういう言い方をされてしまうとこれ以上しぶることも出来ません。元々エイダにやれと言われた以上やるかないのです。
仕方なく私はキッチンに向かいます。私はエイダたちに料理するのが嫌なだけで料理自体は好きです。とりあえず材料を確認し、今日はシチューとサラダにすることに決めます。
とりあえず野菜と肉を切り、大鍋に入れて調味料を入れようとして私はふと違和感を覚えます。私が「塩」と書かれた瓶なのですが、なぜかラベルがずれた跡があるのです。疑問に思った私は中身を出すと少し舐めてみます。
「甘っ」
そういうことか、と思った私は次に砂糖の瓶の中身を舐めました。予想通りというかなんというか、中身はしょっぱかったです。
どうやら私に嫌がらせをするために塩と砂糖のラベルを入れ替えたのでしょう。大方ハンナの仕業でしょうが、それを命じたのはエイダかジェーンの可能性もあります。
それに気づいた私はため息をつきました。料理がまずくなったら困るのは彼女らも同じはずなのに、それよりも嫌がらせの方が大切なのでしょうか。
しかし塩と砂糖が変わっている以上他にも嫌がらせがあってもおかしくありません。そう考えた私は料理をするのに必要なものが大丈夫か、あらかじめ全部確認することにしました。
するとお玉がないと思ったらゴミ箱から出てきたり、パセリがフォークやスプーンがしまってあるところから出てきたりとキッチン内は滅茶苦茶にされていました。
こんなことをわざわざするのは面倒でないのかとか、カレンが復帰したら私ばかりでなく彼女にも迷惑がいくのにとか思いながら仕方なく私はキッチン内を全て元に戻し、ようやく料理を始めた時には私はげっそりと疲れていました。
野菜と肉を切って炒め、味付けしながら煮込んでいる間に副菜のサラダを作ります。時間が迫っているので野菜を切ってドレッシングをかけるだけの簡単なものです。ようやく出来上がると、それを皿に取り分けてダイニングに持っていきます。
するとそこには怖い顔をしたエイダが待っていました。
「ちょっと、もう夕食の時間が三十分も過ぎているわ! どういうことなの!?」
「誰かがキッチンをぐちゃぐちゃにしたので」
「何馬鹿なこと言っているの!? それとも自分の不手際をカレンのせいにでもするつもり?」
私の言葉にエイダは語気を荒げます。
見ると、その隣でジェーンとハンナがくすくすと笑っていました。どうやら今回はこの二人がやったようです。それを知ると私は言い返す気力もなくしました。
「もういいです。遅くなってすみません」
「何その態度。そんな態度されたらご飯がまずくなるわ」
謝ったら謝ったでこんな風に言ってきました。
どの口が言うのか、と思いましたがとりあえず用意した料理を皆の前に置きます。
そしてそれを食べたエイダとジェーンは顔をしかめます。
「味付けがなってないわ」
「そうですね。カレンさんなら絶対もっとうまく作れると言うのに」
そう言いながらも二人はぱくぱくと料理を食べています。正直、おいしくないと思うならわざわざ食べなければいいのにと思うのですが。
ちなみに自分で食べてみると、自画自賛ではありますが野菜と肉の煮込み加減がちょうどよく、特に肉は口の中に入れると溶けていくようでとてもおいしいです。野菜もきちんと奥まで火が通っています。
とにかく、これが私がこの家で料理するのが嫌な理由です。
「あ、ちょっと今日はしなければならないことがあるので食器洗いもお願いします」
食べ終えると、ダメ押しのようにハンナが言いました。
正直予想はついていたので怒る気力もありません。
「キャロル、頼みがあるわ」
「何でしょうか」
「今日はカレンが体調を崩してしまったの。だから代わりに食事を作ってくれない?」
カレンというのはハンナともう一人いるメイドのことです。彼女を毎日働かせる訳にもいかないので、これまで時々私がカレンの代わりに料理を行ったりしましたが、その時のことを思い出して私は憂鬱になります。
が、私の不満そうな顔を見てエイダは不機嫌になります。
「何? 体調を崩したカレンに働けって言うの?」
「違います、分かりました、私が作ります」
エイダは私に物を頼む時常にこういう言い方をしてきます。
そういう言い方をされてしまうとこれ以上しぶることも出来ません。元々エイダにやれと言われた以上やるかないのです。
仕方なく私はキッチンに向かいます。私はエイダたちに料理するのが嫌なだけで料理自体は好きです。とりあえず材料を確認し、今日はシチューとサラダにすることに決めます。
とりあえず野菜と肉を切り、大鍋に入れて調味料を入れようとして私はふと違和感を覚えます。私が「塩」と書かれた瓶なのですが、なぜかラベルがずれた跡があるのです。疑問に思った私は中身を出すと少し舐めてみます。
「甘っ」
そういうことか、と思った私は次に砂糖の瓶の中身を舐めました。予想通りというかなんというか、中身はしょっぱかったです。
どうやら私に嫌がらせをするために塩と砂糖のラベルを入れ替えたのでしょう。大方ハンナの仕業でしょうが、それを命じたのはエイダかジェーンの可能性もあります。
それに気づいた私はため息をつきました。料理がまずくなったら困るのは彼女らも同じはずなのに、それよりも嫌がらせの方が大切なのでしょうか。
しかし塩と砂糖が変わっている以上他にも嫌がらせがあってもおかしくありません。そう考えた私は料理をするのに必要なものが大丈夫か、あらかじめ全部確認することにしました。
するとお玉がないと思ったらゴミ箱から出てきたり、パセリがフォークやスプーンがしまってあるところから出てきたりとキッチン内は滅茶苦茶にされていました。
こんなことをわざわざするのは面倒でないのかとか、カレンが復帰したら私ばかりでなく彼女にも迷惑がいくのにとか思いながら仕方なく私はキッチン内を全て元に戻し、ようやく料理を始めた時には私はげっそりと疲れていました。
野菜と肉を切って炒め、味付けしながら煮込んでいる間に副菜のサラダを作ります。時間が迫っているので野菜を切ってドレッシングをかけるだけの簡単なものです。ようやく出来上がると、それを皿に取り分けてダイニングに持っていきます。
するとそこには怖い顔をしたエイダが待っていました。
「ちょっと、もう夕食の時間が三十分も過ぎているわ! どういうことなの!?」
「誰かがキッチンをぐちゃぐちゃにしたので」
「何馬鹿なこと言っているの!? それとも自分の不手際をカレンのせいにでもするつもり?」
私の言葉にエイダは語気を荒げます。
見ると、その隣でジェーンとハンナがくすくすと笑っていました。どうやら今回はこの二人がやったようです。それを知ると私は言い返す気力もなくしました。
「もういいです。遅くなってすみません」
「何その態度。そんな態度されたらご飯がまずくなるわ」
謝ったら謝ったでこんな風に言ってきました。
どの口が言うのか、と思いましたがとりあえず用意した料理を皆の前に置きます。
そしてそれを食べたエイダとジェーンは顔をしかめます。
「味付けがなってないわ」
「そうですね。カレンさんなら絶対もっとうまく作れると言うのに」
そう言いながらも二人はぱくぱくと料理を食べています。正直、おいしくないと思うならわざわざ食べなければいいのにと思うのですが。
ちなみに自分で食べてみると、自画自賛ではありますが野菜と肉の煮込み加減がちょうどよく、特に肉は口の中に入れると溶けていくようでとてもおいしいです。野菜もきちんと奥まで火が通っています。
とにかく、これが私がこの家で料理するのが嫌な理由です。
「あ、ちょっと今日はしなければならないことがあるので食器洗いもお願いします」
食べ終えると、ダメ押しのようにハンナが言いました。
正直予想はついていたので怒る気力もありません。
151
あなたにおすすめの小説
捨てられた地味な王宮修復師(実は有能)、強面辺境伯の栄養管理で溺愛され、辺境を改革する ~王都の貴重な物が失われても知りませんよ?~
水上
恋愛
「カビ臭い地味女」と王太子に婚約破棄された王宮修復師のリディア。
彼女の芸術に関する知識と修復師としての技術は、誰からも必要性を理解されていなかった。
失意の中、嫁がされたのは皆から恐れられる強面辺境伯ジェラルドだった!
しかし恐ろしい噂とは裏腹に、彼はリディアの不健康を見逃せない超・過保護で!?
絶品手料理と徹底的な体調管理で、リディアは心身ともに美しく再生していく。
一方、彼女を追放した王都では、貴重な物が失われたり、贋作騒動が起きたりとパニックになり始めて……。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」
公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。
忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。
「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」
冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。
彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。
一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。
これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
『婚約なんて予定にないんですが!? 転生モブの私に公爵様が迫ってくる』
ヤオサカ
恋愛
この物語は完結しました。
現代で過労死した原田あかりは、愛読していた恋愛小説の世界に転生し、主人公の美しい姉を引き立てる“妹モブ”ティナ・ミルフォードとして生まれ変わる。今度こそ静かに暮らそうと決めた彼女だったが、絵の才能が公爵家嫡男ジークハルトの目に留まり、婚約を申し込まれてしまう。のんびり人生を望むティナと、穏やかに心を寄せるジーク――絵と愛が織りなす、やがて幸せな結婚へとつながる転生ラブストーリー。
「婚約破棄された聖女ですが、実は最強の『呪い解き』能力者でした〜追放された先で王太子が土下座してきました〜
鷹 綾
恋愛
公爵令嬢アリシア・ルナミアは、幼い頃から「癒しの聖女」として育てられ、オルティア王国の王太子ヴァレンティンの婚約者でした。
しかし、王太子は平民出身の才女フィオナを「真の聖女」と勘違いし、アリシアを「偽りの聖女」「無能」と罵倒して公衆の面前で婚約破棄。
王命により、彼女は辺境の荒廃したルミナス領へ追放されてしまいます。
絶望の淵で、アリシアは静かに真実を思い出す。
彼女の本当の能力は「呪い解き」——呪いを吸い取り、無効化する最強の力だったのです。
誰も信じてくれなかったその力を、追放された土地で発揮し始めます。
荒廃した領地を次々と浄化し、領民から「本物の聖女」として慕われるようになるアリシア。
一方、王都ではフィオナの「癒し」が効かず、魔物被害が急増。
王太子ヴァレンティンは、ついに自分の誤りを悟り、土下座して助けを求めにやってきます。
しかし、アリシアは冷たく拒否。
「私はもう、あなたの聖女ではありません」
そんな中、隣国レイヴン帝国の冷徹皇太子シルヴァン・レイヴンが現れ、幼馴染としてアリシアを激しく溺愛。
「俺がお前を守る。永遠に離さない」
勘違い王子の土下座、偽聖女の末路、国民の暴動……
追放された聖女が逆転し、究極の溺愛を得る、痛快スカッと恋愛ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる