家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

文字の大きさ
297 / 304

「298話」

しおりを挟む
ちらりと後ろを振り向くとクロと目があった。
クロはまだ扉の外に居る。前回俺が盛大に燃え上がったもんで、ちょっと警戒しているようなのだ。

クロは俺が実際に足を着いても燃え上がったり、足がへばりついてないのをみて一歩足を踏み入れる。
そして何度かタシタシと固まった溶岩を叩き、納得したのか「にゃ」と小さくないた。

「それじゃクロは出来るだけ走り回ってね。俺は本体ぶっ叩きにいくから」

ゲートキーパーだけじゃなく、フィールド自体が厄介なこともあって俺とクロとで役割を分ける事にした。
クロは持ち前の速さを生かして地面を駆けまわり、足場を固める役目。ついでに氷礫で攻撃するのも忘れない。

んで、俺は直接本体をぶっ叩く役ってわけだ。分かりやすくて良いね。

「んじゃ、いっくぞー!」

クロに一言声を掛けて、俺はまっすぐにゲートキーパーへと向かう。
同時にクロも凄まじい勢いで駆け出し、真っ赤な溶岩を黒く固め、道を作っていく。
いずれ周囲の溶岩は全て固まることだろう……その状態であのゲートキーパーがどう動くかだ。
潜らずに這いずり回るのであれば戦いやすくはなると思うけど。

……まあ、初見の敵だからどうなるか分からん。
どこぞのドラゴンみちあに予想外の動きをするかも知れないし、油断せずに戦おう……そうこう考えている内に、もう敵は目前に迫っているし。

近付いてくる俺に気が付いたのか、それとも射程内に入ったから攻撃に転じたのか……後者かな? 俺たちが侵入したのには気付いているだろうし。
溶岩から飛び出たそいつは、俺に向かいまっすぐ突っ込んできた。

「でけえ」

最初に思ったのは『遅いな?』だった。
ただそれはすぐに勘違いだと気付く。
これは相手がでかすぎるから遅く見えているだけであった。

これだけの巨体にかなりの速度で突っ込まれたら、それだけで大ダメージだ。
あたれば、だけど。

「おいしょー!」

まっすぐ突っ込んでくる相手に向かい、俺も飛びかかる。
そしてすれ違いざまに胴を思いっきり切りつける。
もちろんそれだけじゃリーチ的に考えて大したダメージにはならない。だから少しでもダメージを追加できるようにと衝撃波も飛ばすのは忘れない。

「んん?」

予想していたよりもずっと手ごたえがない。
もっとガツンッとくるかと思ったが……まるでプリンか何かのように柔らかい。
……まあ、レベルアップしているからそう感じるだけで、実際はもっと堅いのだろうが。

まあ、それはおいといて、この階層のゲートキーパーとしてはあまりにも手ごたえがない。
大したダメージならないだろうと思っていた攻撃によって、敵の胴は真っ二つに分かれていた。

「っと、あぶね」

分かれた後ろ側が体をくねらせながら飛んできた。
危うくぶつかりそうなところを加速して躱す。

さて、どうなるか? と思い、飛んで行く体を目で追うが……分かれた体は前後共に溶岩の海へと沈んでいった。

まさかこれで終わりとかないよな。
こっちの被害は切りつけた時に障壁が割れて、全身が燃えた程度だぞ。
いくらなんでもそれは……と、別にフラグも何も立てる気はなかったのだけど。

溶岩の海を割って、巨体が再び飛びかかってきた。
おそらくだけど、さっき切り離したところは既にくっ付いてそうな気がする。

やはりこれぐらいの再生能力は持ってるだろうな。
まあ、これぐらいは当然だ、不思議でもなんでもない……それより気になることがある。

「……中身が一様だったような?」

さっきぶった切った時に断面を見たんだけどさ。
内臓とかそういったものが無かったんだ。
それこそプリンをスプーンですくった時の様に、一様な断面をみせていた。

つまりこいつは……スライムとかその手の系統ってことか。
それならどこかに弱点があるはず……そう思い、突っ込んでくる相手を避けつつ全身をじっと観察するが、どこに弱点があるか分からなかった。

「……当たるまで切りつけろってか?」

ようは弱点であるコア部分に対し、体がでかすぎてどこにコアがあるのか分からないのだ。
ずっと攻撃していればいつかは当たるだろうが、この巨体にそれをやれとか控えめにいって地獄である。

ならどうするか……相手は溶岩のような体であり、切ってもすぐにくっついてしまう。
まあ、メタ的に考えて冷やしてどうにかしろってこと、かな?

氷礫だとちょっと威力が不足する。
そうなると……俺は、再び飛びかかってきた敵に向かい、切りつけるのではなく思いっきり蹴りを放った。

足が触れたところを中心に敵の体が黒ずみ、砕け散る。

「よっしゃ、次ぃ!」

一撃で終わらせるつもりはない。
後から続く体にもガンガン蹴りを入れていく。そのたびに黒ずんだ敵の体が砕けて散っていく。
溶岩にいくらか沈んでしまったが、大半は固まった溶岩の上に残ったままだ。

溶岩に沈んだ敵が再び飛び出してきたとき、いくぶん体が小さくなっているように見えた。

「おっしおっし。氷童優秀じゃん!」

このまま体積を減らしていけば、いずれはコア部分も分かるようになるだろう。なってくれ。
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...