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「297話」
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まじ許さんぞ、あの糞トカゲめ。
なんて謂れのない怒りが飛竜へと向かうが、それで自体が解決するわけではない。
どんな糞フィールドであろうが、それを乗り越えてゲートキーパーを倒さない限り前には進めない。
とりあえず、溶岩といえばその圧倒的な熱によるダメージが問題となるが……これがどこぞの狩りゲーのように体をクールにしてくれるドリンクでもあれば……あれ?
「……でも熱くないな? 実は見た目だけだったり?」
真っ赤な溶岩だし、あっちこちでボコボコいってるしで、あきらかに熱そうなのに熱を感じない。
一体どういうこっちゃ? と首を傾げフィールドをよく観察すると、遠目に何かが見えた。
「あの遠くで跳ねてる細長いのがゲートキーパーか」
何か陸地になるもの……ではなく、盛大に溶岩を巻き散らかせながら溶岩から飛び出て、また潜りを繰り返しているのがゲートキーパーらしい。
……距離考えるとくっそでかいな、あれ。
おそらく飛竜とか比べ物にならんぐらいでかい……というか長い。
とりあえずあいつに近付かなきゃ話にならんのだよなー。
そう思い、なんとなく足を溶岩につけた瞬間であった。
「あ」
俺の体を守っていた障壁がぱりーんって割れた。イメージだけど。
で、その直後だ。
「あっつぁあああ゛あ゛!?」
全身が自然発火したよ!?
「たいさーん! ……がっふごふぅっ」
どんだけ熱いんだよここ。てかびっくりし過ぎて喉まで焼けたぞ……すぐ治ったけど。
正直溶岩の熱をなめてた。
触れた瞬間に障壁が消えたってことは、たぶん触れる前からじわじわ削られてたんだろう。
どうにかしないと、あのフィールドにいるだけでダメージくらうことになる……もちろんそのダメージはすぐ治るし、障壁だってすぐ張りなおせる。でも、それで再生を使っちゃうのはまずい。耐久戦になったらこっちが不利になってしまう。むこうは溶岩に潜ってたぐらいだから、熱なんてへっちゃらだろうしさ。
「これは今のままじゃ無理だ……ちょっと戻って構成考えよう。微妙に装備も焦げたし修理しなきゃ」
幸いなことに、このフィールドで使えそうなカードはある。
一度戻って出直しだなこりゃ。
てったーい。
ってことで、休憩所まで戻ったのだけど、ばったり隊員さんたちと出会ってしまった。
うっかり自然発火してしまった俺の姿をみて、隊員さんたちがギョッとした表情を浮かべる。
「こんがりしてるけど、大丈夫?」
「ちょっと焦げただけなんで、だいじょーぶっす」
心配そうに声を掛けてくれた遥さんに、出来るだけなんでもないように手を振り答える。
実際、仲間で焼けたわけじゃないからね。ブレスの直撃なんかと比べたらちょっと熱かった程度だ。
とはいえ見た目はこんがりしてたりするので、ささっと修理してこなきゃだ。
たぶん、戻ってくるの待ってる気がするので寄り道せずに戻らなきゃね。
修理を終えて休憩所に戻ると、予想通り遥さんが待っていた。
他の隊員さんは……いないな。飯でも食いにいったのかなーって思っていたら『今日の成果を報告しにいってるよー』と遥さんが教えてくれた。
んで、遥さんは俺が次の階層目指してるのは知ってるので、どんな敵だったかを情報収集したいとのことだった。
なるほどね。
いくらでも聞いておくんなまし。と言ってもゲートキーパーは遠目で見ただけだから良く分からんのだけど……。
「へー、そんな敵だったんだ……なんだろうね? でっかい芋虫……ミミズ?」
「可能性ありますね」
細長い紐状の敵なんだから、芋虫とかミミズの可能性だってあるだろう。
溶岩に潜る芋虫とかミミズってなんなの話だけど。
まあ、ミミズだろうが芋虫だろうが、倒さなきゃいかん。
あいつを攻略するとなると……真っ赤に光るその見た目と、溶岩フィールドに居るってことからして、ようは氷とかが弱点になるんだろう。
それにフィールドの熱によるダメージをどうするか……幸い手元にはそのどちらにも対応できそうなカードがある。
「とりあえず氷童カード使って攻略できるかー……」
毛がくっつくという理由で、クロに大不評だったあやつだ。
……性能的には悪くないんだよ。シーサーペント? の時にも役立ったし、使いどころさえ間違えなければ本当に優秀。
ただちょっと範囲が広すぎて敵味方関係なく氷漬けにしちゃうだけで、優秀なんだ。
このカードであればフィールドの熱対策も、なんならあの芋虫だかミミズへの攻撃にだって使えるだろう。てか、これを除く氷礫と投げナイフしかないから……投げナイフは一度投げ付けたら溶けてなくなりそうな予感がする。回収大変そうだからちょっと使うのためらうんだよね。
……通常攻撃が通るならこんな心配しなくていいんだけど、あの全身が真っ赤でまるで溶岩そのものみたいな見た目。あれをみちゃうとちょっと不安がある。液体を切りつけるようなもんで、通常攻撃効かないんじゃね? って。
「無理だったらほんとどうしよ」
「オークションでカード集めるっきゃない、かなー?」
「ですよねー!」
それは避けたいところだ。
いつ出品されるか分からないし、そもそも落札できるかも不明だ。
対価にドラゴンカードあたり出せば大抵のは落とせるとは思うけどねえ。
ま、なにはともあれ。
「おっしゃ! いっくぞー!」
一旦戦ってみないことにはね?
とりあえずリベンジだーと、勢い込んで扉を開けて、そーっと溶岩に足をつく。
すると前回は障壁が消えて自然発火したけれど、今回はそんなこともなくついた足を中心に溶岩が一気に冷えて固まっていく。
「お……歩ける! 障壁も大丈夫そう」
表面だけではなく、中の方もきっちり冷えているのだろう。
俺が乗っても冷えて固まった溶岩は割れることはなかった。
それに周囲が高温だからだろうか、冷えすぎて足の裏が凍り付くなんてこともなさそうだ。
これは……いけるんじゃないか?
なんて謂れのない怒りが飛竜へと向かうが、それで自体が解決するわけではない。
どんな糞フィールドであろうが、それを乗り越えてゲートキーパーを倒さない限り前には進めない。
とりあえず、溶岩といえばその圧倒的な熱によるダメージが問題となるが……これがどこぞの狩りゲーのように体をクールにしてくれるドリンクでもあれば……あれ?
「……でも熱くないな? 実は見た目だけだったり?」
真っ赤な溶岩だし、あっちこちでボコボコいってるしで、あきらかに熱そうなのに熱を感じない。
一体どういうこっちゃ? と首を傾げフィールドをよく観察すると、遠目に何かが見えた。
「あの遠くで跳ねてる細長いのがゲートキーパーか」
何か陸地になるもの……ではなく、盛大に溶岩を巻き散らかせながら溶岩から飛び出て、また潜りを繰り返しているのがゲートキーパーらしい。
……距離考えるとくっそでかいな、あれ。
おそらく飛竜とか比べ物にならんぐらいでかい……というか長い。
とりあえずあいつに近付かなきゃ話にならんのだよなー。
そう思い、なんとなく足を溶岩につけた瞬間であった。
「あ」
俺の体を守っていた障壁がぱりーんって割れた。イメージだけど。
で、その直後だ。
「あっつぁあああ゛あ゛!?」
全身が自然発火したよ!?
「たいさーん! ……がっふごふぅっ」
どんだけ熱いんだよここ。てかびっくりし過ぎて喉まで焼けたぞ……すぐ治ったけど。
正直溶岩の熱をなめてた。
触れた瞬間に障壁が消えたってことは、たぶん触れる前からじわじわ削られてたんだろう。
どうにかしないと、あのフィールドにいるだけでダメージくらうことになる……もちろんそのダメージはすぐ治るし、障壁だってすぐ張りなおせる。でも、それで再生を使っちゃうのはまずい。耐久戦になったらこっちが不利になってしまう。むこうは溶岩に潜ってたぐらいだから、熱なんてへっちゃらだろうしさ。
「これは今のままじゃ無理だ……ちょっと戻って構成考えよう。微妙に装備も焦げたし修理しなきゃ」
幸いなことに、このフィールドで使えそうなカードはある。
一度戻って出直しだなこりゃ。
てったーい。
ってことで、休憩所まで戻ったのだけど、ばったり隊員さんたちと出会ってしまった。
うっかり自然発火してしまった俺の姿をみて、隊員さんたちがギョッとした表情を浮かべる。
「こんがりしてるけど、大丈夫?」
「ちょっと焦げただけなんで、だいじょーぶっす」
心配そうに声を掛けてくれた遥さんに、出来るだけなんでもないように手を振り答える。
実際、仲間で焼けたわけじゃないからね。ブレスの直撃なんかと比べたらちょっと熱かった程度だ。
とはいえ見た目はこんがりしてたりするので、ささっと修理してこなきゃだ。
たぶん、戻ってくるの待ってる気がするので寄り道せずに戻らなきゃね。
修理を終えて休憩所に戻ると、予想通り遥さんが待っていた。
他の隊員さんは……いないな。飯でも食いにいったのかなーって思っていたら『今日の成果を報告しにいってるよー』と遥さんが教えてくれた。
んで、遥さんは俺が次の階層目指してるのは知ってるので、どんな敵だったかを情報収集したいとのことだった。
なるほどね。
いくらでも聞いておくんなまし。と言ってもゲートキーパーは遠目で見ただけだから良く分からんのだけど……。
「へー、そんな敵だったんだ……なんだろうね? でっかい芋虫……ミミズ?」
「可能性ありますね」
細長い紐状の敵なんだから、芋虫とかミミズの可能性だってあるだろう。
溶岩に潜る芋虫とかミミズってなんなの話だけど。
まあ、ミミズだろうが芋虫だろうが、倒さなきゃいかん。
あいつを攻略するとなると……真っ赤に光るその見た目と、溶岩フィールドに居るってことからして、ようは氷とかが弱点になるんだろう。
それにフィールドの熱によるダメージをどうするか……幸い手元にはそのどちらにも対応できそうなカードがある。
「とりあえず氷童カード使って攻略できるかー……」
毛がくっつくという理由で、クロに大不評だったあやつだ。
……性能的には悪くないんだよ。シーサーペント? の時にも役立ったし、使いどころさえ間違えなければ本当に優秀。
ただちょっと範囲が広すぎて敵味方関係なく氷漬けにしちゃうだけで、優秀なんだ。
このカードであればフィールドの熱対策も、なんならあの芋虫だかミミズへの攻撃にだって使えるだろう。てか、これを除く氷礫と投げナイフしかないから……投げナイフは一度投げ付けたら溶けてなくなりそうな予感がする。回収大変そうだからちょっと使うのためらうんだよね。
……通常攻撃が通るならこんな心配しなくていいんだけど、あの全身が真っ赤でまるで溶岩そのものみたいな見た目。あれをみちゃうとちょっと不安がある。液体を切りつけるようなもんで、通常攻撃効かないんじゃね? って。
「無理だったらほんとどうしよ」
「オークションでカード集めるっきゃない、かなー?」
「ですよねー!」
それは避けたいところだ。
いつ出品されるか分からないし、そもそも落札できるかも不明だ。
対価にドラゴンカードあたり出せば大抵のは落とせるとは思うけどねえ。
ま、なにはともあれ。
「おっしゃ! いっくぞー!」
一旦戦ってみないことにはね?
とりあえずリベンジだーと、勢い込んで扉を開けて、そーっと溶岩に足をつく。
すると前回は障壁が消えて自然発火したけれど、今回はそんなこともなくついた足を中心に溶岩が一気に冷えて固まっていく。
「お……歩ける! 障壁も大丈夫そう」
表面だけではなく、中の方もきっちり冷えているのだろう。
俺が乗っても冷えて固まった溶岩は割れることはなかった。
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