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事情聴取。
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ちとせside
無事にエスカレーターから助け出してもらえた私は、救急車に乗せられて病院に搬送された。
大したケガもしてない私は落ちたときにできた擦り傷を消毒してもらい、今は事情聴取・・のようなものを受けてる。
「一条警察署の檜山です。いくつかお聞きさせていただきますが・・・気分が悪くなったりしたらすぐ中断しますので・・・ご協力お願いいたします。」
「はい・・・。」
二人いる警察官さんのうちの一人が、私に質問をし始めた。
「点検中のエスカレーターの、外していた足板に落ちたとのことですが・・・どういう状況だったのでしょうか?」
「えっと・・・・」
私はあの時のことを思い出しながら警察官さんに話した。
私のことを知ってる人に声をかけられて・・・質問攻めにあったことを。
「なるほど・・・。その時に後ずさりして落ちた・・・と。」
「はい・・・。バリケードみたいなものに足を引っかけちゃって・・・。」
「確認したところ背の低いタイプのバリケードだったようです。業者にも業務上過失傷害でーーーー」
警察官さんの話によると、業者側の過失ということで話が進むようだった。
私に非があるものだけど、『事故』というものが法的に処理される過程は・・・私には難しすぎるものだった。
「そうですか・・・。」
「・・・。」
よくわからない話に俯いてると、警察官さんは咳ばらいを一つして帽子をかぶりなおした。
「えー・・以上になります。ここからの話は独り言なのですが・・・弁護士を立てて業者とお話しされたほうがいいと思います。治療費なんかは全て業者側が払ってくれると思いますので・・・。」
「へっ・・!?」
「・・・以上、独り言でした。ご協力、ありがとうございました。失礼したします。」
そう言って警察官さんたちは帰って行ってしまった。
何が起こったのかわからずにぼーっとその後姿を見送ってると、リュックの中でスマホが鳴りだした。
陽平さんが貸してくれたスマホだ。
「電話・・・!」
リュックを開けてスマホを取り出すと、画面には『一条消防署』の文字が出ていた。
「も・・もしもし・・・?」
そう言って電話に出ると、相手は陽平さんだった。
『ちとせ?大丈夫か?』
「うん・・。消毒してもらって・・もう終わってる。」
『どこの病院?迎えに行く。』
「えっと・・・国立救急センター・・・。」
『国立救急センターか。1時間くらいかかるけど待ってて?わかった?』
「うん・・・ごめんね?ありがとう・・・。」
『買えそうなら甘いの何か買って飲んどきな?落ち着くと思うから。』
「うん。」
『じゃああとでな。』
電話が切られ、私は陽平さんのスマホをリュックにしまった。
スマホを借りて助かったけど、陽平さんはそれでよかったのかが疑問だ。
(スマホを家に忘れてほんとすみません・・・。)
私は心の中で謝りながら、陽平さんが来てくれるのを待った。
ちとせside
無事にエスカレーターから助け出してもらえた私は、救急車に乗せられて病院に搬送された。
大したケガもしてない私は落ちたときにできた擦り傷を消毒してもらい、今は事情聴取・・のようなものを受けてる。
「一条警察署の檜山です。いくつかお聞きさせていただきますが・・・気分が悪くなったりしたらすぐ中断しますので・・・ご協力お願いいたします。」
「はい・・・。」
二人いる警察官さんのうちの一人が、私に質問をし始めた。
「点検中のエスカレーターの、外していた足板に落ちたとのことですが・・・どういう状況だったのでしょうか?」
「えっと・・・・」
私はあの時のことを思い出しながら警察官さんに話した。
私のことを知ってる人に声をかけられて・・・質問攻めにあったことを。
「なるほど・・・。その時に後ずさりして落ちた・・・と。」
「はい・・・。バリケードみたいなものに足を引っかけちゃって・・・。」
「確認したところ背の低いタイプのバリケードだったようです。業者にも業務上過失傷害でーーーー」
警察官さんの話によると、業者側の過失ということで話が進むようだった。
私に非があるものだけど、『事故』というものが法的に処理される過程は・・・私には難しすぎるものだった。
「そうですか・・・。」
「・・・。」
よくわからない話に俯いてると、警察官さんは咳ばらいを一つして帽子をかぶりなおした。
「えー・・以上になります。ここからの話は独り言なのですが・・・弁護士を立てて業者とお話しされたほうがいいと思います。治療費なんかは全て業者側が払ってくれると思いますので・・・。」
「へっ・・!?」
「・・・以上、独り言でした。ご協力、ありがとうございました。失礼したします。」
そう言って警察官さんたちは帰って行ってしまった。
何が起こったのかわからずにぼーっとその後姿を見送ってると、リュックの中でスマホが鳴りだした。
陽平さんが貸してくれたスマホだ。
「電話・・・!」
リュックを開けてスマホを取り出すと、画面には『一条消防署』の文字が出ていた。
「も・・もしもし・・・?」
そう言って電話に出ると、相手は陽平さんだった。
『ちとせ?大丈夫か?』
「うん・・。消毒してもらって・・もう終わってる。」
『どこの病院?迎えに行く。』
「えっと・・・国立救急センター・・・。」
『国立救急センターか。1時間くらいかかるけど待ってて?わかった?』
「うん・・・ごめんね?ありがとう・・・。」
『買えそうなら甘いの何か買って飲んどきな?落ち着くと思うから。』
「うん。」
『じゃああとでな。』
電話が切られ、私は陽平さんのスマホをリュックにしまった。
スマホを借りて助かったけど、陽平さんはそれでよかったのかが疑問だ。
(スマホを家に忘れてほんとすみません・・・。)
私は心の中で謝りながら、陽平さんが来てくれるのを待った。
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