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ルカス、再びジェルバ国へ
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しおりを挟むマシュリーを連れて5日掛けた旅を、3日で終わらせジェルバ国に着いたルカス達。街には寄るだけで、宿泊もせずに野宿で旅をして来たのだ。
「モルディア皇国皇太子ルカスだ………ジェルバ国王女マシュリーはモルディア皇国の城内で安全に過ごしている。民達の移住準備は順調か?」
門兵に確認するルカス。モルディア皇国との国境の大門の兵士達は、事情を知っており素直に門を開けルカス達を受入れた。
「はい、準備が出来た者から順に出発を待っております」
「では、予定通りモルディア皇国の兵の荷車に家族毎にまとめながら荷物を乗せ、病弱な者、子供達を優先に乗せる様に、健康体な者な出来るだけ歩く様に移動してくれ………出来るだけ多くの荷を乗せるんだ!」
「荷車は、東西南北に分かれて配置しろ!残された日はないんだ!」
「慌てなくていい!今日乗れなくても、また荷車は来る!荷車を持っている民はそのまま、モルディア皇国への国境門へ行け!」
ルカスやマーク、モルディア皇国の兵士達は、ジェルバ国の民へ指示を出して行く。順調に移動を開始し、各隊長達の誘導で出発する者もチラホラあった。
「俺は城に行く、マークは民達の先導を頼んだ」
「落ち着いたら俺も城に行きます」
「ああ」
あっという間に、第一陣が行く分の荷台がいっぱいになると、第二陣を待つ為に残された民達は、いつもの暮らしをしながら待つ事になる。
「次はいつ来るんだ?」
「コルセアやアガルタから襲われやしないんだろうか………」
「順にモルディアから荷台を持ってくる!そんなに待つ必要は無い!」
首都モルディアー二とジェルバ皇国の間の街にも空いている荷台を向かわせていたのもあり、1日で民の4分の1程が移動が出来た。
城に着いたルカスは、ジェルバ国王へ会いに行く。
「無事、マシュリー王女はモルディア城にお預かりしており、体調も崩す事なく、ジェルバ国の民に心を寄せ、民達の移住を待っています」
「感謝します、ルカス殿………其方は、直ぐにモルディア皇国に戻るのか?」
「いえ、予定としてはコルセアの使者を待って、モルディアに帰る予定ですが」
「モルディアから見たコルセアは何か変わってはおらぬだろうか?」
「思惑は、ある程度分かりましたよ」
「思惑?」
ルカスはジェルバ国王へ説明する。その説明を臣下達も食い入る様に聞いていた。
「我々の宝石にその様な事が………」
「ダイヤモンドを採掘するより、手っ取り早いですからね………コルセアやアガルタはダイヤモンドが取れませんし、その代用で使えると知った2国に同盟を組ませる訳にはいかないので、動向を探る為にも、何方も隣接するジェルバ国の土地に立つ壁に、モルディア皇国の兵士をジェルバ国の兵士に扮装させ見張りを付けましょう………対抗出来る武器なら一緒に持って来ていますので、ジェルバ国の兵士にも持たせて下さい………弓だけでは対処出来ない……許可を頂ければ、移住が完了した暁には、この地を城塞に変えようと思っています………」
「城塞!?」
「ただ、この地にはジェルバ国の民達の墓もある………棺の移動も必要になるので、直ぐにとは言いませんが」
「…………なるほど……いいでしょう」
「陛下!!移住に難色を示している民も居るのです!その者達の居住地を奪う事に!」
「えぇ、それも考慮はします………ジェルバ国内に居たい者は出る事は想定内……引越しは必要でしょうが、国内には居られるので異論は出るとは思えません………そして、若干数のジェルバ国民は残ってもらう方が、城塞を作ったとしても地の利の経験者からの言葉を聞けるというもの」
「……………うむ……そこ迄考えていたのか……」
ルカスの手腕に感心を寄せる。
ルカスは出来る事なら、コルセア国の使者が来る迄、決めておきたい事もあった。
「出来る事なら、ジェルバ国の重鎮の何方か数人はこちらに留まり、自治をして頂きたいと思っています。そして、モルディア皇国からも大臣クラスの者を入れたいと思っていますので、その許可を………この地はジェルバ国の土地……モルディア皇国が奪う地ではない………何れは帰れる土地として共に守らせて頂きたい」
「書面での締結書を残して頂きたい………私の代では無理かもしれぬが、マシュリーの子、孫の代以降にも分かるように……」
「用意はしています…………モルディア皇国皇帝である父の元に」
用意周到のルカス。それだけ時間を掛けて計画してきていた事だと知るジェルバ国王。
「良かろう……締結書を読み、異論する事が無ければ信用し、書名をしよう………良いな?お主達も」
「はっ」
「陛下の仰せのままに……」
臣下達も納得した様で、国王が出立する迄に、誰か臣下に残るか、度重なる議論がなる。
「国王………少し個人的な話があるのですが……」
「………では、執務室に移動しよう」
その議論は臣下達に任せ、ジェルバ国王はルカスを連れ、部屋を移動した。
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