121 / 135
第3章4部
引き継ぐ闘志
しおりを挟む
茫然とするファルナの前にコツっと控えめな音がした。見ればこの戦場には到底そぐわない革靴が見える。それは嫌味なほど磨かれていて、顔を見なくてもそれが誰のものなのかすぐに理解した。
「来てたんだな、レシ。」
「やぁ、ファルナ。ご機嫌は・・・あまりよろしくないようだね。」
レシはファルナの腕に抱かれている亡骸を覗き込んだ。
「シトリーか。随分と派手にやられたね。」
同情よりも誂いのある声音に、ファルナは鋭くレシを睨む。
「残念だね。彼女は僕と一緒で柱石五妖魔を使役する咎人だったのに。仲間がいなくなって寂しいかぎりだよ。」
思ってもいないことを、と怒りに震える拳をファルナは何とか抑え込んだ。
「その柱石五妖魔は一緒じゃないのか?噂では随分と可愛がっていると聞いたが。」
「うん、かわいいよ。リタっていう名前でね。可憐な見た目とは裏腹に膨大な魔法力と資質を備えてる子なんだ。
だから捕まえる時はちょっと頑張ったかな。あまりに全力で抵抗するから僕もムキになってね。でも、嫌がる女の子を屈服させる時の快感といったら・・・。」
レシは恍惚の表情を浮かべた。
「最後は半ば強制的にラボに連れて行って、融合霊魔にしたのさ。壊れちゃうかなって思ったけど、やっぱり魔法力の大きさや意思の強さっていうのは融合霊魔に適してるんだってことが分かったよ。」
「抵抗する人間を融合霊魔にするのは困難を極めると聞く。シトリーが使役していたイカゲは、自らの身体を差し出すほどにコイツに惚れ込んでいたから柱石五妖魔までのぼりつめることができたんだ。なのにどうやって――」
「リタは賢い子でね。逃げられないことが分かると、急増している融合霊魔への変身条件を身をもって探ろうとしたんだ。自分には誰にも折れない強い気持ちがあるから全てを明け渡すことはないといってね。でも、大したことはなかったよ。抵抗する子が少しずつ従順に頭を垂れる姿は・・・」
レシはビクビクっと身体を震わせる。
「興奮したよね。」
変態が・・・とファルナは胸の内で毒づいた。
「向こうにハエが飛んでたからリタに任せてきたんだ。クラルトが来てるみたいだったから。」
「クラルト様ならゼロと虚空界におかえりになったぞ。」
「そうなの?せっかく久しぶりに会えると思ったのに一足遅かったか。じゃあこれはクラトルの・・・」
レシは空を見上げてニィっと笑った。
「立派な残滓だね。」
空を見上げたファルナは思わず言葉を失う。頭上には巨大なドラゴンが悠々と羽を広げていたからだ。
「あ、あれは・・・」
「クラルトという存在が引き寄せたモンスターだね。見るのは初めてかい?」
ファルナはゴクリと唾を呑む。レシはそれを肯定の意味と解釈した。
「クラルトの放つ負のオーラは人間界に大きな影響を与えるのさ。彼の溢れ出る空気は濃くて重すぎる。その空気に感化された巨獣が集まりさらに瘴気をばらまく。クラルトは常に負の空気の中心にいる人物ということだね。」
「あんな巨獣、どうするつもりだよ・・・!」
「さぁね。想定外のことが起きているけど、学園はこのとおり壊滅状態だ。これであいつが暴れたら、この場所は跡形も無くなるだろうね。計画どお――」
不自然に途切れた会話にファルナは顔を上げた。そこには珍しく目を見開き驚くレシの姿があった。
「リタが――」
「は?」
「リタと霊魔が分離した・・・?」
言っていることが分からなかった。霊魔と人間を混ぜた融合霊魔《ヒュシュオ》の分離なんてゼロやクラルトでさえ開発できていない。ましてやリタは柱石五妖魔だ。そう簡単に劣勢に追いやられるはずがない。
その時、ファルナの頭をかすめたのは長い髪をまとめる赤いリボンだった。しかし首を振る。例えセリカがイレギュラーな存在でも、虚空界にさえ存在しない魔法を使えるはずがないのだ。
派手な音が響く。見れば足元の瓦礫が無惨に崩れていた。どうやらレシが怒りに任せ瓦礫を蹴ったのだろう。
「ゆ、許さない・・・僕から逃げるなんて・・・絶対に許さない・・・!!」
ワナワナと震えるレシは勢いよく広げた手を空へ向ける。そこにはドラゴンがゆっくりと空を旋回していた。
「許さないぞ、リタッッッッ!!!!」
手から放たれた魔法は、リタとの使役権限が解除されたことを証明するのに十分だった。
「やっぱり魔法が還ったか。だが、リタのエレメントを感じない。やっぱりリタはまだ生きているっ!」
「そんなことより、どうすんだよアイツは!」
魔法が直撃したドラゴンが苦しみもがいている。しかしレシは余裕の表情を浮かべた。
「まあ見てなよ。」
怒りのこもった眼差しが向けられるも、ドラゴンが2人に襲いかかる様子はない。ただ、激しく羽をバタつかせ鼻息はどんどんと荒くなっていっている。
「リタを失った僕の悲しみを分けてあげたんだ。共通の負の意識を持っている僕に襲いかかることは無い。さぁ、その憎しみを思い切りぶつけてくるんだ!」
まるでレシの言葉を理解しているかのように、ドラゴンは勢いよく羽を広げ飛び出していく。それを確認したレシはファルナに背を向けた。
「どこ行くんだよ?」
「虚空界に戻るんだよ。」
「リタって融合霊魔はもういいのか?」
「まさか。リタは必ず奪い返すさ。キツイお仕置きも必要だしね。それよりも、クラルトに融合霊魔の分離を報告するのが先だ。もし本当に分離が実現できたのであれば――」
「あれば・・・?」
「それは魔術師と咎人にとって良くも悪くも大きな分岐となる。」
「分岐・・・?」
質問に答えることなく、レシはあっという間に姿を消してしまった。残されたファルナは、腕に抱くシトリーを抱きしめるほかなかった。
「喜んでいるところ悪いが、退避の準備を。」
いち早く気づいたのはセリカだった。リタの回復を喜ぶ3人に背を向け、その色濃い気配を全身で受け止めている。
その視線を追いかけたジンたちは、空より突進してくる巨大な存在に声を呑んだ。
即座に広範囲な氷壁を作り出したセリカは、ジンたちとドラゴンの間に僅かな時間を作り出した。
「今のうちにリタと安全な場所へ!」
「おまえはどうするんだ!?」
「戦う。」
「あんなでかいドラゴンを1人でか!?」
ドラゴンの強さはうかがいしれない。それでも上級魔術師が数名で討伐するレベルだということはすぐに分かった。
この場に上級魔術師は3人いるが、すでにクロウとフルソラはほとんど魔法力を使い果たしていた。
「2人はリタを頼む。ここは俺が残る。」
「ジン義兄さん・・・!義兄さんも、もうほとんど魔法力が・・・」
「それでも、自分の生徒を1人残して逃げるわけにはいかないさ。」
指をポキポキと鳴らし、ジンはセリカと同じ位置に立った。
「ジン!リタが待っているんだから絶対に帰ってこいよ!」
「セリカもですよ!」
リタを連れた2人はすぐにその場を離脱する。それを確認したセリカは、自分の手のひらをじっと凝視した。
「本当に俺の精霊が入るとはな。自由気ままなヤツだから、扱うのに苦労するぞ。」
「ええ、分かります。でも、結構やる気みたいですよ。」
「ははは。そこは俺とリンクしているみたいだな。だが――」
言葉を濁らせたジンは眉間にシワを寄せた。
「邪魔にならないようにするのが精一杯かもしれん。」
フルソラたちの前では強がってみせたが、すでに全力で戦う余力は残っていない。
「大丈夫です。ジン先生の意思は私たちが引き受けます。」
残る巨大な気配はあの一体だけ。学園の日常を壊した存在に決着を付けるべく、拳を強く握ったセリカは、迫りくるドラゴンを視界に捉え呼吸を整えた。
「来てたんだな、レシ。」
「やぁ、ファルナ。ご機嫌は・・・あまりよろしくないようだね。」
レシはファルナの腕に抱かれている亡骸を覗き込んだ。
「シトリーか。随分と派手にやられたね。」
同情よりも誂いのある声音に、ファルナは鋭くレシを睨む。
「残念だね。彼女は僕と一緒で柱石五妖魔を使役する咎人だったのに。仲間がいなくなって寂しいかぎりだよ。」
思ってもいないことを、と怒りに震える拳をファルナは何とか抑え込んだ。
「その柱石五妖魔は一緒じゃないのか?噂では随分と可愛がっていると聞いたが。」
「うん、かわいいよ。リタっていう名前でね。可憐な見た目とは裏腹に膨大な魔法力と資質を備えてる子なんだ。
だから捕まえる時はちょっと頑張ったかな。あまりに全力で抵抗するから僕もムキになってね。でも、嫌がる女の子を屈服させる時の快感といったら・・・。」
レシは恍惚の表情を浮かべた。
「最後は半ば強制的にラボに連れて行って、融合霊魔にしたのさ。壊れちゃうかなって思ったけど、やっぱり魔法力の大きさや意思の強さっていうのは融合霊魔に適してるんだってことが分かったよ。」
「抵抗する人間を融合霊魔にするのは困難を極めると聞く。シトリーが使役していたイカゲは、自らの身体を差し出すほどにコイツに惚れ込んでいたから柱石五妖魔までのぼりつめることができたんだ。なのにどうやって――」
「リタは賢い子でね。逃げられないことが分かると、急増している融合霊魔への変身条件を身をもって探ろうとしたんだ。自分には誰にも折れない強い気持ちがあるから全てを明け渡すことはないといってね。でも、大したことはなかったよ。抵抗する子が少しずつ従順に頭を垂れる姿は・・・」
レシはビクビクっと身体を震わせる。
「興奮したよね。」
変態が・・・とファルナは胸の内で毒づいた。
「向こうにハエが飛んでたからリタに任せてきたんだ。クラルトが来てるみたいだったから。」
「クラルト様ならゼロと虚空界におかえりになったぞ。」
「そうなの?せっかく久しぶりに会えると思ったのに一足遅かったか。じゃあこれはクラトルの・・・」
レシは空を見上げてニィっと笑った。
「立派な残滓だね。」
空を見上げたファルナは思わず言葉を失う。頭上には巨大なドラゴンが悠々と羽を広げていたからだ。
「あ、あれは・・・」
「クラルトという存在が引き寄せたモンスターだね。見るのは初めてかい?」
ファルナはゴクリと唾を呑む。レシはそれを肯定の意味と解釈した。
「クラルトの放つ負のオーラは人間界に大きな影響を与えるのさ。彼の溢れ出る空気は濃くて重すぎる。その空気に感化された巨獣が集まりさらに瘴気をばらまく。クラルトは常に負の空気の中心にいる人物ということだね。」
「あんな巨獣、どうするつもりだよ・・・!」
「さぁね。想定外のことが起きているけど、学園はこのとおり壊滅状態だ。これであいつが暴れたら、この場所は跡形も無くなるだろうね。計画どお――」
不自然に途切れた会話にファルナは顔を上げた。そこには珍しく目を見開き驚くレシの姿があった。
「リタが――」
「は?」
「リタと霊魔が分離した・・・?」
言っていることが分からなかった。霊魔と人間を混ぜた融合霊魔《ヒュシュオ》の分離なんてゼロやクラルトでさえ開発できていない。ましてやリタは柱石五妖魔だ。そう簡単に劣勢に追いやられるはずがない。
その時、ファルナの頭をかすめたのは長い髪をまとめる赤いリボンだった。しかし首を振る。例えセリカがイレギュラーな存在でも、虚空界にさえ存在しない魔法を使えるはずがないのだ。
派手な音が響く。見れば足元の瓦礫が無惨に崩れていた。どうやらレシが怒りに任せ瓦礫を蹴ったのだろう。
「ゆ、許さない・・・僕から逃げるなんて・・・絶対に許さない・・・!!」
ワナワナと震えるレシは勢いよく広げた手を空へ向ける。そこにはドラゴンがゆっくりと空を旋回していた。
「許さないぞ、リタッッッッ!!!!」
手から放たれた魔法は、リタとの使役権限が解除されたことを証明するのに十分だった。
「やっぱり魔法が還ったか。だが、リタのエレメントを感じない。やっぱりリタはまだ生きているっ!」
「そんなことより、どうすんだよアイツは!」
魔法が直撃したドラゴンが苦しみもがいている。しかしレシは余裕の表情を浮かべた。
「まあ見てなよ。」
怒りのこもった眼差しが向けられるも、ドラゴンが2人に襲いかかる様子はない。ただ、激しく羽をバタつかせ鼻息はどんどんと荒くなっていっている。
「リタを失った僕の悲しみを分けてあげたんだ。共通の負の意識を持っている僕に襲いかかることは無い。さぁ、その憎しみを思い切りぶつけてくるんだ!」
まるでレシの言葉を理解しているかのように、ドラゴンは勢いよく羽を広げ飛び出していく。それを確認したレシはファルナに背を向けた。
「どこ行くんだよ?」
「虚空界に戻るんだよ。」
「リタって融合霊魔はもういいのか?」
「まさか。リタは必ず奪い返すさ。キツイお仕置きも必要だしね。それよりも、クラルトに融合霊魔の分離を報告するのが先だ。もし本当に分離が実現できたのであれば――」
「あれば・・・?」
「それは魔術師と咎人にとって良くも悪くも大きな分岐となる。」
「分岐・・・?」
質問に答えることなく、レシはあっという間に姿を消してしまった。残されたファルナは、腕に抱くシトリーを抱きしめるほかなかった。
「喜んでいるところ悪いが、退避の準備を。」
いち早く気づいたのはセリカだった。リタの回復を喜ぶ3人に背を向け、その色濃い気配を全身で受け止めている。
その視線を追いかけたジンたちは、空より突進してくる巨大な存在に声を呑んだ。
即座に広範囲な氷壁を作り出したセリカは、ジンたちとドラゴンの間に僅かな時間を作り出した。
「今のうちにリタと安全な場所へ!」
「おまえはどうするんだ!?」
「戦う。」
「あんなでかいドラゴンを1人でか!?」
ドラゴンの強さはうかがいしれない。それでも上級魔術師が数名で討伐するレベルだということはすぐに分かった。
この場に上級魔術師は3人いるが、すでにクロウとフルソラはほとんど魔法力を使い果たしていた。
「2人はリタを頼む。ここは俺が残る。」
「ジン義兄さん・・・!義兄さんも、もうほとんど魔法力が・・・」
「それでも、自分の生徒を1人残して逃げるわけにはいかないさ。」
指をポキポキと鳴らし、ジンはセリカと同じ位置に立った。
「ジン!リタが待っているんだから絶対に帰ってこいよ!」
「セリカもですよ!」
リタを連れた2人はすぐにその場を離脱する。それを確認したセリカは、自分の手のひらをじっと凝視した。
「本当に俺の精霊が入るとはな。自由気ままなヤツだから、扱うのに苦労するぞ。」
「ええ、分かります。でも、結構やる気みたいですよ。」
「ははは。そこは俺とリンクしているみたいだな。だが――」
言葉を濁らせたジンは眉間にシワを寄せた。
「邪魔にならないようにするのが精一杯かもしれん。」
フルソラたちの前では強がってみせたが、すでに全力で戦う余力は残っていない。
「大丈夫です。ジン先生の意思は私たちが引き受けます。」
残る巨大な気配はあの一体だけ。学園の日常を壊した存在に決着を付けるべく、拳を強く握ったセリカは、迫りくるドラゴンを視界に捉え呼吸を整えた。
0
あなたにおすすめの小説
弁えすぎた令嬢
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。彼女が父親を亡くしてからの爵位は、叔父(父親の弟)が管理してくれていた。
彼女には亡き父親の決めた婚約者がいたのだが、叔父の娘が彼を好きだと言う。
彼女は思った。
(今の公爵は叔父なのだから、その娘がこの家を継ぐ方が良いのではないか)と。
今後は彼らの世話にならず、一人で生きていくことにしよう。そんな気持ちで家を出たコロネだった。
小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。
【第一章改稿中】転生したヒロインと、人と魔の物語 ~召喚された勇者は前世の夫と息子でした~
田尾風香
ファンタジー
ある日、リィカの住む村が大量の魔物に襲われた。恐怖から魔力を暴走させそうになったとき前世の記憶が蘇り、奇跡的に暴走を制御する。その後、国立の学園へと入学。王族や貴族と遭遇しつつも無事に一年が過ぎたとき、魔王が誕生した。そして、召喚された勇者が、前世の夫と息子であったことに驚くことになる。
【改稿】2026/01/01、第一章の36話までを大幅改稿しました。
これまで一人称だった第一章を三人称へと改稿。その後の話も徐々に三人称へ改稿していきます。話の展開など色々変わっていますが、大きな話の流れは変更ありません。
・都合により、リィカの前世「凪沙」を「渚沙」へ変更していきます(徐々に変更予定)。
・12から16話までにあったレーナニアの過去編は、第十六章(第二部)へ移動となりました。
転生皇女はフライパンで生き延びる
渡里あずま
恋愛
平民の母から生まれた皇女・クララベル。
使用人として生きてきた彼女だったが、蛮族との戦に勝利した辺境伯・ウィラードに下賜されることになった。
……だが、クララベルは五歳の時に思い出していた。
自分は家族に恵まれずに死んだ日本人で、ここはウィラードを主人公にした小説の世界だと。
そして自分は、父である皇帝の差し金でウィラードの弱みを握る為に殺され、小説冒頭で死体として登場するのだと。
「大丈夫。何回も、シミュレーションしてきたわ……絶対に、生き残る。そして本当に、辺境伯に嫁ぐわよ!」
※※※
死にかけて、辛い前世と殺されることを思い出した主人公が、生き延びて幸せになろうとする話。
※重複投稿作品※
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
猫なので、もう働きません。
具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。
やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!?
しかもここは女性が極端に少ない世界。
イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。
「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。
これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。
※表紙はAI画像です
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる