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僕の家族

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あまり遅くなるのもいけないと思って、話もそこそで切り上げ邸へと戻ると、アデルバード様とエーデルシュタイン公爵様がラウンジで寛ぎながら話をしていた。

「ああ、戻ったんだね。沢山話しはできたかい?」

公爵様がエレノアに尋ねると、エレノアは満面の笑みで頷いて、また僕の手を取った。

「お義兄様は私のお義兄様になってくれるんですって!」
「……リュカ、それは本当かい?」

エレノアの言葉に反応したアデルバード様が、心配気に聞いてきた。僕はそれにしっかりと頷き返す。それから、大丈夫だって伝えたくてじっと彼の目を見返した。

「そうか、決心できたんだね」

安心したようにほっと息をついたアデルバード様の様子に、ものすごく心配してくれてたんだって気づいて、申し訳ない気持ちになる。同時に、心配してくれていたことに嬉しさも感じた。

アデルバード様から公爵様に視線を移すと、公爵様のタレ目がちの優しげな瞳が僕を捉えた。

「僕はなにも持っていません。お金もないし、この公爵家のお役に立てるかも分かりません……。でも、そんな僕でも…ただのリュカでも…僕のこと受け入れてくださいますか?」

僕の言葉を受けた公爵様は、口元を緩めると僕とエレノアを交互に見てから満足気に微笑んだ。

「良い出会いがあったようだね。リュカ君、元々私達は君と家族になりたいと思っていたんだ。だから、君がそう決心してくれて嬉しいな」

落ち着いた穏やかな声で、了承してくれた公爵様に、くしゃりと顔を歪めてお礼を伝える。この国に来て何度も流した涙は、今はただ温かい。アデルバード様とエレノアが僕の左右の手をそれぞれとって寄り添ってくれる。

皆、優し気な微笑みを向けてくれる。その中心で嬉し涙を流しながら、この宝物のような空間を大切に育んでいきたいって心の底から思った。
きっと僕は今、人生で1番幸せだと思う。

前は自分以上に惨めな花人は居ないって思っていたけれど、今は、こんなに幸せな花人は自分くらいじゃないかなんて思ってしまいそう。

「これからよろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
「お義兄様、沢山色んな所に行きましょうねっ!」

ああ、温かいな……。
本当にこの人たちは温かい。
できることならずっと、皆の傍に居させてくださいって、いるかも分からない神様に願った。
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