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両家の話し合い②

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シャロンの屋敷へ着いたフランシスと両親は客室へ案内され、フランシスはシャロンに会える喜びと不安な気持ちで顔が少し真っ青になっていた。
「……お父さん…」
「…どうした?」
「いえ…この部屋は客室ですよね…?」
母親は部屋の周りを見渡し不機嫌な顔で父親に話していた。
「……ああっ、そうだと思うが…気になる事があるのか?」
「……部屋に飾っています物が、どれも見た事もありません物ばかりだったので…それに、余りにも飾りすぎかと思ったの……」
「…確かに…客室にしては派手にも見える……多分、旅行先で買った物だろう…」
見てくれといわんばかりに飾られた置物にフランシスの両親は大きなため息を吐いていた。
コンコン!
「やあ、お待たせいたしました」
シャロンの両親そしてシャロン本人が客室へ入り、シャロンはフランシスの姿を見て「フラン!?」と思わず声に出し口を手で押さえ、フランシスも「シャ…!!」と言いかけたが言葉に出来ず自分の目の前に座るシャロンをじっと見て、シャロンも驚いていたが、フランシスの姿を見て笑顔を見せていた。
シャロンの父親を見て、フランシスの父親が立ち上がりそれに気付いた母親も一緒に立ち上がったが、フランシスは突然両親が立ち上がった為驚き、見上げているとシャロンの父親がじっとフランシスを見ているようで、慌ててフランシスも立ち上がり両親と一緒に頭を下げた。
「わたくしは、ケヴィン・ランベール子爵と申します…隣にいますのは妻とそして…息子のフランシスで御座います…この度は貴重なお時間をいただき有り難う御座います…」
じっとフランシスの父親の挨拶を聞くシャロンの父親に笑顔がなく、フランシスの父親はそのまま挨拶の続きをした。
「…わたくしの息子がお嬢様に失礼な数々をいたしました事に深くお詫び申し上げます…」
「ぇ……?!」
シャロンはフランシスの父親の挨拶に驚きフランシスの方を見たが、頭を下げたまま動かないフランシスに自分達がしてきた事がバレたんだとシャロンは真っ青な顔になり震えていた。
「シャロン、そんな顔をしなくても良いお前は何も悪くないんだよ。そうでしょう?ランベール子爵」
笑みを見せるシャロンの父親はフランシスの父親に尋ねていた。
「……はい…」
フランシスの父親は頭を下げ赦しを待つしかなかった。
「まあ、謝罪の挨拶は受け取りましたので座ってください」
「…はい、失礼いたします…」
フランシスの両親そしてフランシスは、ソファーに座りメイドが紅茶を入れたカップをテーブルに置くとシャロンの父親が笑顔で会話を始めた。
「さあさあ、冷めない内に飲んでくれ!この紅茶は旅先で買った紅茶だが、甘みと酸味が紅茶独特の味を出していてね私のお気に入りの紅茶なんだ!そのカップも旅先で買った焼き物なんだよ。絵柄が付いていない真っ白なカップだが、ふちが金色に塗られ高級感が出て落ちつきのあるカップだろう?私のお気に入りの一つに入るんだよ」
「このお菓子も美味しいのよ。久しぶりに家族三人で旅行に行きました時に買いましたの!甘みをおさえました上品なお菓子で今度旅行に行きました時にまた買いたいと思っていますのよ」
「……」
「……」
「……」
シャロンの母親も会話に入り旅先で購入したお菓子を自慢していた。
「ランベール子爵どうしました?気にいりませんでしたかな?」
「…い、いえ…いただきます…さぁ、お前達もいただこう……」
「え…ええっ…いただきます…」
「……いただきます……」
「ふふふ、どうぞ!」
笑顔を見せるシャロンの母親に軽く会釈をした三人は味が分からない紅茶を飲み、旅行先の話を聞かされ暫く自慢話が続いていた



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