婚約者の彼から彼女の替わりに嫁いでくれと言われた

クロユキ

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両家の話し合い

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フォスティヌがフランシスの屋敷から帰り、フランシスの父親はフォスティヌの馬車が見えなくなるまで見送ると屋敷の中へと入った。
「……お父さん…フォスティヌは…?」
屋敷の中ではフランシスの母親が寂しげな目を向けていた。
「…ああ、帰ったよ…背も伸びて可愛くなっていた…お前も会えば良かったのに…」
フランシスの母親が首を横に振り両手を重ねて胸に押しあてていた。
「……あの子にどんな顔で会えばいいのか…顔を見ると涙が出てしまいそうで…」
「……そうだな…」
フランシスの父親と母親が話をしていると二階の階段から下りてくるフランシスの姿があった。
「……用意はできたのか?」
「…はい……」
フランシスは沈んだ顔で父親に返事をした。
「……向こうの両親は屋敷にいるそうだ…娘も一緒だ…」
「……」
「…あなたが、好きになった彼女はどんな方なの…」
フランシスの母親がシャロンの事を尋ねていた。
「……素直で優しくて、良く気が付く両親思いの素敵な彼女だよ
父さんや母さんとも上手くやっていけると思うんだ…」
フランシスはシャロンの話を両親にして少し笑顔を見せていた。
「…あなたが好きになった人ですもの…素敵なお嬢さんでしょう…彼女は、あなたが婚約をしているのを知って付き合いをしていたのかしら?」
「え…う…ん……」
フランシスは気まずそうに母親に返事をした。
「そう…あなた達は…フォスティヌが何も知らない事をいいように…楽しんでいたのね……」
「っ……」
フランシスは母親から言われ何も言えずにいた。
「……フォスティヌの事は気になっていたんだ…でも…」
「はぁ…もういいわ…あなたと話していたら頭痛がするわ…」
「……」
フランシスの母親は、頭をかかえフラフラと屋敷の外に止めている馬車まで歩き、父親は妻の後ろ姿を見たあとフランシスに声をかけた。
「……この話し合いで今日決まるか…後日また話し合いがあるのか分からないが…フォスティヌとの婚約破棄は早く伝えた方がいいな…お前を信じ待っているあの子が不憫でならない…」
「……」
フランシスに話終えた父親は、馬車の方へ歩きフランシスはまるで取り残されたように立っていた。
フランシスと家族が向かっている事を知らないシャロンは、数日連絡が取れていないフランシスを心配していた。
「……どうしたのかしら…体調不良と聞いたけれど…こんなに学校を休むなんて……」
シャロンは騎士学校の生徒からフランシスは休みだと聞かされ心配していた。
コンコン!
「シャロン、いいかな?」
「ええ」
シャロンの父親が部屋の中に入り笑顔を見せていた。
「今日は客が来る事になって、お前も一緒だ」
「わたくしも一緒?」
「ああっ、お前も会うのが楽しみなはずだよ」
「?」
「ハハハハ」と笑う父親の姿を見て首を傾げていた。
コンコン!
「旦那様、お客様がお着きになりました」
「おおっ、そうか、シャロン一緒に下へ行こう」
「え…ええ……」
シャロンは父親と一緒に階段を下り客室の部屋へと向かった。



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