兄たちが弟を可愛がりすぎです

私たちのウィル王子

「えっ？レオン様いつの間に……」
メイドのマリアはさっきまで隣で、シェル王子の護衛騎士の存在感の凄さに動けずにいたレオン騎士が四人の護衛騎士の側で立っている事に驚いていた。
「ん？何だね君は護衛騎士のようだが何か用でもあるのか？」
シェル王子の護衛ロベール騎士がレオン騎士に尋ねていた。
「貴殿方に用はありませんシェル団長に用があり来たのです」
キッと睨むように見せた顔に騎士四人は驚いて居るようだった。
今まで自分達に対してそんな顔をする騎士は見た事も無く、シェル王子の護衛騎士と聞いただけで騎士達は慌てて頭を下げるか、憧れるかのような目を騎士四人に見せる者が多かった。
メイド達もシモン騎士とディオン騎士を知っているメイド達はシェル王子付きの騎士だと分かった上で接近するメイドもいる。
「なっ！？私達にそのような態度を取って良いのか？」
「ハハハ、そうっすよね俺も初めて見ました俺達を前にして動じない騎士がいるなんて」
「シェル様に目通りするには私達に用件を教えるのが礼儀という事を教わって居ないのか？何処の部所なのだ名前を聞こう」
ロベール騎士はレオン騎士の態度が気に入らないと責めるように問いかけていた。
「失礼致しました……わたくしはレオン・クライムと申します。本日よりウィル王子の護衛騎士を務める事に成りました」
「「「「！！」」」」
「な…ウ、ウィル王子の護衛騎士と言ったのか……？」
「はい、本日よりウィル王子の護衛を任されシェル団長に御挨拶と思い伺ったのです」
レオン騎士は騎士四人に軽く礼を交わし睨むような目を見せず平常心を保っようにしていた。
「……そ、そうか御苦労…ウィル王子の護衛は大変だと思うが宜しく頼む……」
「……有り難う御座います…あの…先ほどの会話が耳に入りまして訂正したいと思いますお話しが在ります」
「え、あ……その、先ほどの会話とは何の事だ」
ロベール騎士は顔を強張らせ無理に笑顔を見せレオン騎士に尋ねていた。
その様子を見ていた騎士三人はコソッと話しをしていた。
「レオン騎士と言っていたな…ウィル王子の護衛騎士だったのか……」
「やばっ！俺何か言ったかも、先ほどの会話ってウィル王子の事めちゃくちゃ言っていた事かな……」
「……」
「わたくしはウィル王子の護衛騎士になり、楽に成りたいとか金銭の事でウィル王子の護衛に成った訳では在りません、心からウィル王子に御使いし御守りすると決めているのです。その事を訂正して下さい、それに巡回に回されましたニック・ライナス騎士はシェル団長の指示の元で動いて居るのです。理由も無く色々と御話しをするのはどうかと思います」
（ああっ、言ってしまいました……シェル団長の護衛騎士の方に……どうしても許せませんでしたあの方を悪いように言われる事に……）
レオン騎士は慣れない事を言ってしまった為、手には汗をかき身体の中では心臓がドキドキと鳴っていた。
「……す、済まなかった……悪く言うつもりは…シェル様の事で色々とあったもので……」
ドンッ！
「なっ！？」
ヨロッと前に倒れそうに成ったロベール騎士に一人のメイドが接触した。
「痛いですわ、ごめんなさい騎士様廊下にいましたら邪魔で御座いますわ～」
（マリアさん！？……もしかしてわざとぶつかり……）
「な、邪魔だと申したのか？ぶつかったのはそなただろう」
「シェル様の護衛騎士の方がメイドがぶつかりましたくらいで取り乱してはいけませんわ～」
「何！」
「ち、ちょっとロベールさん熱くなりすぎっす落ち着いて」
「私達が廊下を通る道を塞いで居るのです、私達も悪いと……」
「シモン、メイドの肩を持つのか」
「ええっ、何故そんな怖い顔を私に見せるのですか？」
メイドのマリアの乱入で慌ただしく成った時一人の騎士が後ろから声を掛けていた。
「どうしたんだ？シェル王子の部屋の前で何騒いでんだ？」
シェル王子の部屋に近付いた騎士はカイザック王子だった。