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はじめての外国
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ラティファ様をお城にお連れしました。ブラウンは控えの間に通されます。
え、もうすぐ帰るから、お気遣いは無用ですよ。
といっても、ただじゃ返してはもらえませんでした。
「お待ちください」
王妃直属のお付きの方が絶対帰るなよと私を睨みます。ふふふ。帰れるわけないじゃないですか。どうやったら王妃のお誘いから逃げることができるのか教えてほしい。
おしりがムズムズして、椅子に座っているのが苦痛です。やっぱり逃げたい。逃がしてくれ……。
数分後、カジュアルなサロンのほうへお招きいただいたのでした。
王妃様がこそっと私に耳打ちされました。
「ごめんなさいね。アンソニーはいま視察にでているの」
うちの領地の視察は終わったので、おそらく王都で何が起きているか、自分の目で確かめているに違いありません。
そもそも王子なんかいなくたって、平気ですから! お気遣い無用ですよ。
「大丈夫です。王妃様」
私は静かに答えました。
王妃様は「あの子は、まだまだね」とぶつくさ言っていますが、何のことでしょう。
「ラティファを送っていただいてありがとう」
「いえ、ご訪問、楽しかったです」
「タウルスは……、あの子も途中でいなくなったのね。ご迷惑をおかけしました」
「……、まあ、タウルス様ですから」
王妃は苦笑しています。
「いま、お茶を用意させています。少し休んでいってね」
王妃様はラティファ様を見ながら、微笑みます。王妃様も美しい方なんだよね。神々しいわ。
廊下で話し声が聞こえます。だんだん、大きな声がしますけど。お茶を持ってきてくれているから? いや、これは例のパターン……の可能性があります。
外の騒ぎにラティファ様は怪訝な表情です。
またお騒がせするかも。
私がドアの方に視線をやると、王妃様が眉間に皺を寄せました。
ノックと同時に
「アリス様、お久しぶりでございます」
王の愛人であるリリアーヌ様と王子の現・婚約者のカトリーヌ様がいらっしゃいました。
リリアーヌ様は、チュール生地とレースを重ねた、淡い色のドレスです。可愛らしい、妖精ちっくな雰囲気です。これは……、リリアーヌ様にしか似合いませんよ。ちょっと間違ったら、舞台衣装です。
リリアーヌ様は自分に合った独自のセンスをお持ちで、それを貫くスタイルのファッションですが、そのリリアーヌ様がカトリーヌ様にご指導されたら……、カトリーヌ様には珍妙な服になってしまうのでしょう。
今日のカトリーヌ様のファッションは大きな赤い花柄オン大きな青い花柄で、パニエで腰を膨らませ、大きなリボンがあちらこちらについています。本日もなかなかの組み合わせでいらっしゃいます。
自分に合ったスタイルって大切だよね……。ああ、控えの間にいるブラウンに生・カトリーヌ様を合わせてあげたいと思いました。ブラウンならきっとカトリーヌ様に似合うドレスを選べると思うけど……。
いや、やっぱり合わせない方がいいかも。ブラウンの驚愕の顔のフォローが大変だからとも思います。
「アリス様がいらしたというので、あわてて参上しましたのよ」
カトリーヌ様がほほ笑まれました。悪い方ではきっとないんだと思うんです。ただ、タイミングとか環境が悪かっただけで……。普通に学園で会っていたら、お友達になっていたかもしれません。
「ああ、この方が……」
ラティファ様が目視します。
残念なことに、私たちは元婚約者、現婚約者です。交流は控えるべきかと思うんですけどね。
うわ、怖い、怖い、怖い。ラティファ様とカトリーヌ様、お二人とも、にらみ合わないで!
ああ、さっさと退散したい。
いっそのこと、お父様の家へ一気に帰ってしまいたい。
私の強い思いが後ずさりとして表れていたようで……、ラティファ様にスカートをがっしりとつかまれました。
逃がさないわよとその眼は言っていました。
こういう女の闘いは苦手なんですぅ。帰らせて~~~。
ラティファ様とカトリーヌ様、リリアーヌ様が水面下の闘いを始めました。
高貴な人たちの会話は、聞いていても、どういう意味なのか分かりません。雰囲気的にみると、カトリーヌ様が真っ赤な顔をして怒っていることから、きっとラティファ様が勝ったのでしょう。
ラティファ様強し!
涼しい顔をして、王妃様は私にもう一杯の紅茶をいかがと勧めます。勝手にカトリーヌ様とリリアーヌ様は来たのだから、見ない、聞かないというスタンスのようで……。
王妃様はリリアーヌ様もカトリーヌ様も放っておいています。
落ち着かない私は紅茶をいただきながら、
「早く本屋に行きたいのに」
ちょっと心の声が漏れてしまいました。王妃様の前でやばい、やらかした。額から大汗が……。
王妃様は気になさっていなさそうな顔です。もしかして聞こえなかったのかもしれません。しかし、とんだ失態です。
私と王妃様の間に静かな空気が漂います。
紅茶のカップを手に取り、飲もうとしますが、熱かった! ひー、舌をやけどしましたよ。悲しい……。
「いま、何の本を読んでらっしゃるの?」
王妃がにこりと微笑みます。
やっぱり聞こえていたんですよね。額から冷や汗がたらんと頬まで垂れてきました。舌のやけども引っ込みます。
ハンカチをそっと取り出し、扇で隠しながら、汗をぬぐいます。
「最近、町ではやっている、『エドワード王子の恋の物語~僕の運命の恋人は~』を読んでいまして……。続きが気になって仕方がないのです」
やけくそです。もういいです。王妃様に嫌われたら、私は新領地に引きこもるもん。
この長いタイトル、若干恥ずかしいんですけど、王妃様に正直に言いましたよ。
ははは。もう知りません。
「まあ……、ふふふ」
王妃様は頬を紅潮させました。
なぜ王妃様が赤くなる? え? どうかされました?
「その本の、どんなところがお好きですか?」
「ええと。エドワード王子が小さいころから大好きな女の子を一途に追いかけているところです。エドワード王子、かっこいいですよねえ」
「ええ、ええ? そうですか? ふふふ。エドワード王子がアリス様はお好きなのね。あとは?」
王妃様がにっこりと機嫌がよさそうですよ。嫌われてない感じがします。これでラッセル領も安泰です。あああ、怖かった。
いや、王族だからなあ。本当に、機嫌がいいんですよね……? 高貴な人たちは気持ちを表情に表さないため、本心が読みづらいんです。恐る恐る本の感想を伝えます。
「登場人物が美男美女っていうところも魅力なんですけど、今エドワード王子が試練の時を迎えていて、気になって気になって……、早く続きがよみたいのです」
「そうなんですの? うれしいですわ。エドワード王子は、本当に大変なんですよね」
王妃が身を乗り出しました。あれ? もしかして王妃様もこの本をご存知っぽい。
「勝手に王子は他の人と婚約がすすめられてしまうんですけれど、なんとか好きな女の子に振り向いてもらいたくて、王子が奮闘するところが、キュンキュンしちゃうんです。王子には好きな子と結ばれてほしいなぁって思ってます」
「まあ……。アリス様、ほんとうに王子が好きでいらっしゃるのね」
王妃様はにこりと口角を上げて、ケーキをあるだけ持ってくるように、お付きの女性に命じます。
わーい。お替わりの甘いものだあ。心の中で大喜びします。表に出しちゃうと、意地汚いってバレちゃいますからね。
「さあ、アリス様。王城自慢のケーキですの。おいしいですわよ。好きなだけ召し上がってください」
王妃様が神々しく微笑みました。
え、もうすぐ帰るから、お気遣いは無用ですよ。
といっても、ただじゃ返してはもらえませんでした。
「お待ちください」
王妃直属のお付きの方が絶対帰るなよと私を睨みます。ふふふ。帰れるわけないじゃないですか。どうやったら王妃のお誘いから逃げることができるのか教えてほしい。
おしりがムズムズして、椅子に座っているのが苦痛です。やっぱり逃げたい。逃がしてくれ……。
数分後、カジュアルなサロンのほうへお招きいただいたのでした。
王妃様がこそっと私に耳打ちされました。
「ごめんなさいね。アンソニーはいま視察にでているの」
うちの領地の視察は終わったので、おそらく王都で何が起きているか、自分の目で確かめているに違いありません。
そもそも王子なんかいなくたって、平気ですから! お気遣い無用ですよ。
「大丈夫です。王妃様」
私は静かに答えました。
王妃様は「あの子は、まだまだね」とぶつくさ言っていますが、何のことでしょう。
「ラティファを送っていただいてありがとう」
「いえ、ご訪問、楽しかったです」
「タウルスは……、あの子も途中でいなくなったのね。ご迷惑をおかけしました」
「……、まあ、タウルス様ですから」
王妃は苦笑しています。
「いま、お茶を用意させています。少し休んでいってね」
王妃様はラティファ様を見ながら、微笑みます。王妃様も美しい方なんだよね。神々しいわ。
廊下で話し声が聞こえます。だんだん、大きな声がしますけど。お茶を持ってきてくれているから? いや、これは例のパターン……の可能性があります。
外の騒ぎにラティファ様は怪訝な表情です。
またお騒がせするかも。
私がドアの方に視線をやると、王妃様が眉間に皺を寄せました。
ノックと同時に
「アリス様、お久しぶりでございます」
王の愛人であるリリアーヌ様と王子の現・婚約者のカトリーヌ様がいらっしゃいました。
リリアーヌ様は、チュール生地とレースを重ねた、淡い色のドレスです。可愛らしい、妖精ちっくな雰囲気です。これは……、リリアーヌ様にしか似合いませんよ。ちょっと間違ったら、舞台衣装です。
リリアーヌ様は自分に合った独自のセンスをお持ちで、それを貫くスタイルのファッションですが、そのリリアーヌ様がカトリーヌ様にご指導されたら……、カトリーヌ様には珍妙な服になってしまうのでしょう。
今日のカトリーヌ様のファッションは大きな赤い花柄オン大きな青い花柄で、パニエで腰を膨らませ、大きなリボンがあちらこちらについています。本日もなかなかの組み合わせでいらっしゃいます。
自分に合ったスタイルって大切だよね……。ああ、控えの間にいるブラウンに生・カトリーヌ様を合わせてあげたいと思いました。ブラウンならきっとカトリーヌ様に似合うドレスを選べると思うけど……。
いや、やっぱり合わせない方がいいかも。ブラウンの驚愕の顔のフォローが大変だからとも思います。
「アリス様がいらしたというので、あわてて参上しましたのよ」
カトリーヌ様がほほ笑まれました。悪い方ではきっとないんだと思うんです。ただ、タイミングとか環境が悪かっただけで……。普通に学園で会っていたら、お友達になっていたかもしれません。
「ああ、この方が……」
ラティファ様が目視します。
残念なことに、私たちは元婚約者、現婚約者です。交流は控えるべきかと思うんですけどね。
うわ、怖い、怖い、怖い。ラティファ様とカトリーヌ様、お二人とも、にらみ合わないで!
ああ、さっさと退散したい。
いっそのこと、お父様の家へ一気に帰ってしまいたい。
私の強い思いが後ずさりとして表れていたようで……、ラティファ様にスカートをがっしりとつかまれました。
逃がさないわよとその眼は言っていました。
こういう女の闘いは苦手なんですぅ。帰らせて~~~。
ラティファ様とカトリーヌ様、リリアーヌ様が水面下の闘いを始めました。
高貴な人たちの会話は、聞いていても、どういう意味なのか分かりません。雰囲気的にみると、カトリーヌ様が真っ赤な顔をして怒っていることから、きっとラティファ様が勝ったのでしょう。
ラティファ様強し!
涼しい顔をして、王妃様は私にもう一杯の紅茶をいかがと勧めます。勝手にカトリーヌ様とリリアーヌ様は来たのだから、見ない、聞かないというスタンスのようで……。
王妃様はリリアーヌ様もカトリーヌ様も放っておいています。
落ち着かない私は紅茶をいただきながら、
「早く本屋に行きたいのに」
ちょっと心の声が漏れてしまいました。王妃様の前でやばい、やらかした。額から大汗が……。
王妃様は気になさっていなさそうな顔です。もしかして聞こえなかったのかもしれません。しかし、とんだ失態です。
私と王妃様の間に静かな空気が漂います。
紅茶のカップを手に取り、飲もうとしますが、熱かった! ひー、舌をやけどしましたよ。悲しい……。
「いま、何の本を読んでらっしゃるの?」
王妃がにこりと微笑みます。
やっぱり聞こえていたんですよね。額から冷や汗がたらんと頬まで垂れてきました。舌のやけども引っ込みます。
ハンカチをそっと取り出し、扇で隠しながら、汗をぬぐいます。
「最近、町ではやっている、『エドワード王子の恋の物語~僕の運命の恋人は~』を読んでいまして……。続きが気になって仕方がないのです」
やけくそです。もういいです。王妃様に嫌われたら、私は新領地に引きこもるもん。
この長いタイトル、若干恥ずかしいんですけど、王妃様に正直に言いましたよ。
ははは。もう知りません。
「まあ……、ふふふ」
王妃様は頬を紅潮させました。
なぜ王妃様が赤くなる? え? どうかされました?
「その本の、どんなところがお好きですか?」
「ええと。エドワード王子が小さいころから大好きな女の子を一途に追いかけているところです。エドワード王子、かっこいいですよねえ」
「ええ、ええ? そうですか? ふふふ。エドワード王子がアリス様はお好きなのね。あとは?」
王妃様がにっこりと機嫌がよさそうですよ。嫌われてない感じがします。これでラッセル領も安泰です。あああ、怖かった。
いや、王族だからなあ。本当に、機嫌がいいんですよね……? 高貴な人たちは気持ちを表情に表さないため、本心が読みづらいんです。恐る恐る本の感想を伝えます。
「登場人物が美男美女っていうところも魅力なんですけど、今エドワード王子が試練の時を迎えていて、気になって気になって……、早く続きがよみたいのです」
「そうなんですの? うれしいですわ。エドワード王子は、本当に大変なんですよね」
王妃が身を乗り出しました。あれ? もしかして王妃様もこの本をご存知っぽい。
「勝手に王子は他の人と婚約がすすめられてしまうんですけれど、なんとか好きな女の子に振り向いてもらいたくて、王子が奮闘するところが、キュンキュンしちゃうんです。王子には好きな子と結ばれてほしいなぁって思ってます」
「まあ……。アリス様、ほんとうに王子が好きでいらっしゃるのね」
王妃様はにこりと口角を上げて、ケーキをあるだけ持ってくるように、お付きの女性に命じます。
わーい。お替わりの甘いものだあ。心の中で大喜びします。表に出しちゃうと、意地汚いってバレちゃいますからね。
「さあ、アリス様。王城自慢のケーキですの。おいしいですわよ。好きなだけ召し上がってください」
王妃様が神々しく微笑みました。
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