死に別れた縁と私と異界の繋

海林檎

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 何故、ここに縁に似た妖怪の長が結と同じ布団に入って金色の瞳で此方を見ているのだろう。


「様子を見に来たらお前さんが」


 泣きながら眠っていたからと言う理由らしい。

「··········ぇ·····?」





 慰める為に布団の中に入って抱きしめた?





 いやいやいやいや。
 どんな理由でも女性の布団に無断で入るのはアウトだろうと結が身を捩り逃げようとするが、如何せん。

 ビクともしない。


「何だ?じゃれ合いたいのか?」

「違うっ!」

 男女が同じ布団の中にいる事が問題なのだ。

「·····何が問題なんだ?」

 大問題だ。

 年頃の娘が一つ屋根の下、昨日会ったばかりの男同じ布団に入っているなんて。

 しかも縁に似た妖怪。

 顔が真っ赤になってるのか青くなっているのか自分では分からない結の心の中はカオスを作り出している。


「·····けど、寂しくないだろ?」

 寂しい寂しくないの問題ではない。

 恐怖と恥ずかしさで顔なのか心なのか頭なのかが爆発しそうなのだ。

 それなのにだ。
「良いから寝ろ」と、半ば強引に寝かされる結が「いい加減に····」と、身動ぎを再開しながら講義の声をあげようとした時




「あんまり聞き分けがねぇなら






         身体に覚えさせるぞ」




 繋のその一言で結はピタリと止まる。





 身体に覚えさせるとはどう言う意味なのだろうか。






「·······試してみるか?」


 にんまり笑う繋は結を腕から解放し、覆いかぶさった。




 試してみるとは·······?



「た、試さなくて良いです·····」


 目の前には繋の顔。
 はだけた着物から繋の肌が見え、思わず結は顔を逸らした。



「·············」



「·····ひぅっ!」


 無防備になった首に顔を埋められ唇が当たったのを感じた。


 天狗は人を食らわない。


 そう言っていたのに結の首に頸動脈に口が当たっている。

「っ!」




 チクリとした痛みを感じ、そこに熱が集まるのを感じる。






 あぁ、噛まれたのだろうか。




       



     食われて死ぬのだろうか?







「·····人間は良いな。痕が残りやすくて長く残る」





「···········へ?」




 顔を上げて噛まれたと思った場所を触りながらペロリと舌なめずりをする繋に結は「どう言う意味だろうか」と、ア然としていた。




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