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一
二
しおりを挟む縁の顔が頭を過った。
顔を上げて後ろを振り向いた時だ。
「·······は?」
今まで居たはずの公園は何処にに消えて
ここは何処なのだろう。
知らない神社の境内が目の前に映る。
「何···ここ?」
フラフラと神社の鳥居の前まで歩いて外を見る。
ここの神社は高台にあり結の瞳に映るその景色は見知らぬ場所だった。
見知らぬ世界だった。
江戸時代の様な風景が残っているのに木材の大きな建物が幾つも並び、町の中心部には巨大な大樹。
その周りに光る何かが飛んでいる。
公園で泣いて変な祠を見つけて縁が頭をよぎって顔を上げれば訳の分からない場所に来ていた。
意味がわからない。
意味が分からないからスマホを取りだしてしらべてみようとすれば····
「圏外?!」
ここは自分のいた町なら電波は入るはずなのに
「····はぁ····」
信じられない光景に鳥居の傍で結は座り込んでしまった。
ここはどこ?
どうやって帰ればいいの?
異世界にでも迷い込んでしまった様だと非現実的な事を考える。
とにかく一度下に降りて見るべきだろうか。
いつまでもここに居て元の公園に帰る保証も無い。
結は神社の階段をゆっくりと降りてみる事にした。
石畳の長い階段を降りて土を踏んで地上に降りた事を実感し前を向く。
神社で見えた町から少し遠いな···と、思いながら明かりが見える方へ足を進める。
神社の下は薄暗い林の中だった。
薄気味悪く肌寒い。
空は夕暮れで直ぐにでも周りは暗くなるだろう。
こんな所で一人で歩くなんて普通思わない。
「········あ」
ポツリポツリと林のあちらこちらからぼんやりと何かが光っていた。
手の広サイズの花びらの大きな花。
まるで道はこっちだと教えてくれているようだった。
花がある場所を進んで行く。
不思議とその花は信頼できる。そう感じた。
---シャン
----シャン
-------シャン·····
後ろから鈴の音が聞こえる。
何の音だろうか。
音は徐々に徐々に此方へと近づいて来ている。
振り返るべきなのか
振り返らない方が良いのだろうか。
---シャン
-----シャン
鈴の音が不気味に響く。
「···············ニンゲン?」
耳元で聞こえたのは排水溝の水が流れる様な歪な音。
なのにそれが言葉として聞こえた。
ニンゲン?って聞こえた。
「············ヒュ·····」
恐怖のあまり身体が動かない。
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