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一
一
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華の高校生だとかJKブランドと青春の1ペーだとか【葉山 結】にとってはどうでもいい事だった。
長いストレートな黒髪は肩まで切って、毎日塗っていたリップは最近塗ってなくてガサガサ。カラコンも入れていた時期もあった。
けれどそれもやめてしまった。
青春なんて既に終わってしまったから。
「結ー。近くにできたカフェに一緒に行かない?」
元気の無い結の為に友人達は度々遊びに誘ってくれる。
ありがたい事だが結にとっては今はそっとしておいて欲しいと言うのが本音だった。
「ゴメン。今日は家の事があるから」
適当に理由をつけて断る事もしばしばだった。
そそくさと帰る結に友人達も何とも言えない顔をしていた。
「やっぱりそっとしておこうよ」
「····そうだね。まだ受け入れられないよね」
「私らだって受け入れられないもん···特に結は」
教室で友人達がそんな会話をしている事など結は知ることはなかった。
******
通学路の坂道。
商店街の雑貨屋。
遊具の少ない公園。
ブランコに乗って結は思い出を噛み締める。
「···返事くらい聞いて欲しかったなー···」
もう逢えないの?
声も聞けないの?
そのうちどんな声だったのかどんな顔だったのか、どんな香りだったのか薄れて忘れていくのだろうか。
あれからまだ三ヶ月しかたっていない。
それとももう三ヶ月?
「·····逢いたいょ·····」
時が止まった記憶の中でしか逢えない。
病気が治ったら一緒に遊びに行こうって約束した。
一緒に手を繋いで映画を見て遊園地に行って二人で沢山思い出を作ろうって言ったのに·····
「私を゛·····ひとりに゛しないでぇ····っ!」
置いていかないで
一人にしないで
ボタボタ落とす涙を出す己の顔はきっと酷い顔だろう。
明日はきっと目が腫れて不細工な目をしている。
そんな事も気にもならないくらい結はブランコに座ったまま泣き続けた。
「·······?」
フッと何か視線を感じた気がする。
誰もいないはずの公園に人なのか気配がする。
幽霊にでもなって出てきたのだろうか。
それなら出てきて欲しいし姿を見せてほしい。
「そこに居るの?」
何となく視線を感じる場所へ結は行く。
霊なんて信じてなかったが、今なら信じたい。
視線たどる先、公園の片隅にあったのは
「こんな祠なんてあったっけ?」
古びた小さな祠だった。
「縁の神様?」
祠には縁の神と薄ら彫られていた。
名前の方は擦れてしまって読めなかった。
縁結びの神と言うなら子供の頃ここで出会ったのも縁結びのおかげかもしれないなと結は悲しそうに小さく笑う。
「神様が私達を結び付けてくれたのかな?」
それならありがたい事と同時に
「どうして·····」
引き離されたのだろうかとまた涙が目に溜まって行った。
「縁結びの神だと言うなら····」
また結んでよ。
祠に触って結は顔を俯いたまま小さな声で呟くように願った。
その時フッと頭の中を横切ったのは
「·····【縁】?」
亡くなった彼氏の笑った顔だった。
長いストレートな黒髪は肩まで切って、毎日塗っていたリップは最近塗ってなくてガサガサ。カラコンも入れていた時期もあった。
けれどそれもやめてしまった。
青春なんて既に終わってしまったから。
「結ー。近くにできたカフェに一緒に行かない?」
元気の無い結の為に友人達は度々遊びに誘ってくれる。
ありがたい事だが結にとっては今はそっとしておいて欲しいと言うのが本音だった。
「ゴメン。今日は家の事があるから」
適当に理由をつけて断る事もしばしばだった。
そそくさと帰る結に友人達も何とも言えない顔をしていた。
「やっぱりそっとしておこうよ」
「····そうだね。まだ受け入れられないよね」
「私らだって受け入れられないもん···特に結は」
教室で友人達がそんな会話をしている事など結は知ることはなかった。
******
通学路の坂道。
商店街の雑貨屋。
遊具の少ない公園。
ブランコに乗って結は思い出を噛み締める。
「···返事くらい聞いて欲しかったなー···」
もう逢えないの?
声も聞けないの?
そのうちどんな声だったのかどんな顔だったのか、どんな香りだったのか薄れて忘れていくのだろうか。
あれからまだ三ヶ月しかたっていない。
それとももう三ヶ月?
「·····逢いたいょ·····」
時が止まった記憶の中でしか逢えない。
病気が治ったら一緒に遊びに行こうって約束した。
一緒に手を繋いで映画を見て遊園地に行って二人で沢山思い出を作ろうって言ったのに·····
「私を゛·····ひとりに゛しないでぇ····っ!」
置いていかないで
一人にしないで
ボタボタ落とす涙を出す己の顔はきっと酷い顔だろう。
明日はきっと目が腫れて不細工な目をしている。
そんな事も気にもならないくらい結はブランコに座ったまま泣き続けた。
「·······?」
フッと何か視線を感じた気がする。
誰もいないはずの公園に人なのか気配がする。
幽霊にでもなって出てきたのだろうか。
それなら出てきて欲しいし姿を見せてほしい。
「そこに居るの?」
何となく視線を感じる場所へ結は行く。
霊なんて信じてなかったが、今なら信じたい。
視線たどる先、公園の片隅にあったのは
「こんな祠なんてあったっけ?」
古びた小さな祠だった。
「縁の神様?」
祠には縁の神と薄ら彫られていた。
名前の方は擦れてしまって読めなかった。
縁結びの神と言うなら子供の頃ここで出会ったのも縁結びのおかげかもしれないなと結は悲しそうに小さく笑う。
「神様が私達を結び付けてくれたのかな?」
それならありがたい事と同時に
「どうして·····」
引き離されたのだろうかとまた涙が目に溜まって行った。
「縁結びの神だと言うなら····」
また結んでよ。
祠に触って結は顔を俯いたまま小さな声で呟くように願った。
その時フッと頭の中を横切ったのは
「·····【縁】?」
亡くなった彼氏の笑った顔だった。
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