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一
三
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消えた鈴の音はどこに行ったのか。
耳元に聞こえたソレは何なのか。
後ろにいるソレは何なのか。
何が己の肩に乗っているのか。
生臭いその臭いは何なのか。
「オイシソウオイシソウ」
「タベテモイイ?タベテモイイ??」
「ヤワラカソウヤワラカソウ」
排水溝の様な声は一つではなく複数の様だった。
ここは何処でどうして自分は迷い込んでしまって帰り道も分からないままだと言うのに
このまま食べられてしまうのか。
「······ぁ·····ゥ····」
恐怖で足が震えて上手く声が出ない。
「カワイイコエカワイイコエ」
「タベタラコノコエナレルカナ?ナレルカナ?」
なれないよ。
なれるわけないじゃん。
自分の声が可愛いかどうかなんて知らない。ただその不快な声が耳についてただただ恐怖だった。
「········?」
「【繋】ノニオイガスル」
「繋ノニオイ繋ノニオイ」
---繋?
何を言っているのか分からないそれらは「繋」と言う言葉を言いながら結から離れていく。
「·····何····なのよ?」
食い殺されるかもしれなかった恐怖感からの解放とともに結は腰が抜けペタリとへたりこんでしまった。
こんな所にいるわけにはいかないとわかっている。
けれど足に力が入らないのだ。
また、さっきのナニかがやって来たらどうしようかと思いながらも動けないまま考えていると····
「ねぇ」
「きゃああああ!!」
誰かに話をかけられ悲鳴があがる。
「あ····驚かせちゃった?ごめんね?」
後ろから話しかけてきたのは着物を着た可愛い女の子だった。
違うのは·····
「君、人の子だよね?」
頭についた猫耳と二つの長い尻尾が動いていると言う事。
「····ちょっと失礼。長の所に連れていくよ?長に聞けば元の世界に戻れると思うから」
猫耳の少女は腰の抜けた結を抱き上げて歩き始めた。
「え?」
思いの外少女の腕力にも驚かされるが、己が抱き上げられた事に一番驚愕し混乱する。
そんな結の事を気にも留めていない少女はこの林について話し出す。
「さっき君のそばにいたのは怨念の集合体が具現化したもの。この辺はそういう奴らが多いんだ」
怨念が具現化したものとは?
「ここが何処なのか先ずは教えてあげる」
少女は自分の事を【むぎ】と名乗った。
ここは神と妖が住まう世界。
「·····神···妖?」
自分がいた人間の居る世界とは違う事は何となくわかっていたが
まさかそんな世界に紛れ込んだなんて結は耳を疑いたくなった。
耳元に聞こえたソレは何なのか。
後ろにいるソレは何なのか。
何が己の肩に乗っているのか。
生臭いその臭いは何なのか。
「オイシソウオイシソウ」
「タベテモイイ?タベテモイイ??」
「ヤワラカソウヤワラカソウ」
排水溝の様な声は一つではなく複数の様だった。
ここは何処でどうして自分は迷い込んでしまって帰り道も分からないままだと言うのに
このまま食べられてしまうのか。
「······ぁ·····ゥ····」
恐怖で足が震えて上手く声が出ない。
「カワイイコエカワイイコエ」
「タベタラコノコエナレルカナ?ナレルカナ?」
なれないよ。
なれるわけないじゃん。
自分の声が可愛いかどうかなんて知らない。ただその不快な声が耳についてただただ恐怖だった。
「········?」
「【繋】ノニオイガスル」
「繋ノニオイ繋ノニオイ」
---繋?
何を言っているのか分からないそれらは「繋」と言う言葉を言いながら結から離れていく。
「·····何····なのよ?」
食い殺されるかもしれなかった恐怖感からの解放とともに結は腰が抜けペタリとへたりこんでしまった。
こんな所にいるわけにはいかないとわかっている。
けれど足に力が入らないのだ。
また、さっきのナニかがやって来たらどうしようかと思いながらも動けないまま考えていると····
「ねぇ」
「きゃああああ!!」
誰かに話をかけられ悲鳴があがる。
「あ····驚かせちゃった?ごめんね?」
後ろから話しかけてきたのは着物を着た可愛い女の子だった。
違うのは·····
「君、人の子だよね?」
頭についた猫耳と二つの長い尻尾が動いていると言う事。
「····ちょっと失礼。長の所に連れていくよ?長に聞けば元の世界に戻れると思うから」
猫耳の少女は腰の抜けた結を抱き上げて歩き始めた。
「え?」
思いの外少女の腕力にも驚かされるが、己が抱き上げられた事に一番驚愕し混乱する。
そんな結の事を気にも留めていない少女はこの林について話し出す。
「さっき君のそばにいたのは怨念の集合体が具現化したもの。この辺はそういう奴らが多いんだ」
怨念が具現化したものとは?
「ここが何処なのか先ずは教えてあげる」
少女は自分の事を【むぎ】と名乗った。
ここは神と妖が住まう世界。
「·····神···妖?」
自分がいた人間の居る世界とは違う事は何となくわかっていたが
まさかそんな世界に紛れ込んだなんて結は耳を疑いたくなった。
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