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8人だから
腹が空いた
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そうだ、これ以上飲まず食わずで倒れることが無いように迎えに行く。これが俺の仕事だ。しかしそう簡単に来てくれそうな雰囲気ではないな。
「……そうだ颯、信長を抱っこして4階まで戻れるか?」
「え? えっと、鈴木さん小柄で体重も軽そうだし、なんとかなるかと」
「そうか、じゃあ行くぞ。純次颯が帰るためのライト係。俺は床に散乱している使えそうな道具を全部回収したらすぐ4階に戻ってくるから。俺のスマホにもライト機能あるから心配するな」
「アイアイサーっス!」
「……なんだか悪寒がする気が」
よからぬ雰囲気を感じ取った信長だが時すでに遅し。続きは明日にしてくれた言わんばかりに颯が信長を抱え込んだ。しかも俺が想定していた俵抱きじゃなくて、まさかのお姫様抱っこだった。あの時ふと見えた信長の顔はなんていうのだろう、どうゆう感情だ。男にお姫様抱っこされた衝撃が、それとも考えに耽っているところを邪魔された驚きなのか。
……ともかくこれで倒れるという心配は無くなった。幸いこの部屋に電気は付いていたから気にすることなく床に散らかっているものも、散乱を免れたもの物も集め……ようとしたが2つほど重くて仕方ないものがあり、そいつらだけ放っておいて持てそうなやつだけ持って4階へ走った。俺もなんだかんだ暗闇は怖いから全力疾走だった気がする。
……
…………
……………………
「成程、この感覚は空腹という事だったのか」
「気が付かなかったんだ……」
「元々信長くん自分の体に疎いけんな、しゃあないわ」
「遭難してからまだ何も食べてなかったの!?」
「ああ、昼前は知っての通り逃したし、皆の者とは違って間食も摂取していない」
「え……2人ともよくそれで平気だったね」
「というより緊急事態で食べるのを忘れていたというか、今になってようやく腹が空いてきました」
正宗さんが信じられないような顔して黙りこくってしまった。みんなそれぞれ思うところはあるのだろうが、1年サバイバル生活と聞いて真っ先に思い浮かぶであろう食料問題に関しては、なんだかんだ大食いの正宗さんが1番頭を悩ませているところだろう。
「さあ何を摂取しようか。自動販売機にある食料は炭水化物が主であるな」
とは言えお腹を空かせているみんなはさっさと飯の準備を始めた。桐郎がお茶の準備をしている間に何を食べるのかそれぞれで考えているようだった。
「カップラーメン、うどん、粉物、カレーライスに冷凍寿司、ハンバーガー……」
「そうやって聞くと呪文みたいやな」
「お肉がない……」
「あ、でもハンバーグあるよ!」
「アレはお肉というより焼いたガム……まあ高いチェーン店だとそれなりに美味しいけど」
「いや美味しいっスよアレ! やっすいジャンクフードの良さがわからんとは人生損していますよ!」
「そうは言ってもねえ! 俺が求めているのはもっとこう、自然を感じるようなお肉だよ!」
「こ、この状況下で贅沢はダメだよ颯くん……」
おいおいくだらん理由での衝突はよせ。颯は肉に対してのこだわりが強いのだろうか。思えば実行しようとしているのは信長だが、最初に動物を狩りたいと提案したのは颯だったのを思い出す。まず周りそして自分な颯にしてはやけに頑固だった。これは早いとこ信長と2人で協力し肉を獲ってもらわんとな。
「これがせめてロッ○リアみたいなお肉だったらいいんだけどなぁ、ボタン押すのが怖い」
「ふむ……ではまず私がハンバーガーを食べてみよう。格安チェーンの様な安価なパティだった場合は食べるのをやめればいいだけの話だ」
信長はそう言って、なんの躊躇いもなくボタンを押した。取り出し口から出てきたのはホカホカのチーズバーガー。肉は……ちゃんとしている。格安チェーンみたいなのじゃなくてロッ○リアとかそんな感じのやつだ。
「どうだ、高橋さんの提示した条件に合致した肉だぞ」
「あ、ありがとう。ごめんな俺の好みのために……」
「構わないさ。自給自足生活において、短時間で高カロリーを摂取できるこの食物は重点的に選ぶべきだと判断した。つまりは、元よりハンバーガーを食べるつもりだったということだ」
びっくりするぐらい合理的な対応をされている。ちょっと複雑そうにしながらも颯もハンバーガーにした。俺はそうだな……カップラーメンにしようか。
「僕はやっぱり、カレーライスかな。1番多そうだし……」
「島っちパイセン相変わらず大食いっすね。俺はうどんにします、無難な感じで」
「ならぼくもそうしようかな」
「わしゃ冷凍寿司にチャレンジしてみようか」
「ナタはこれでいいよ、スパゲッティ!」
こうして各々好きなものを買い、食べ始めた。颯のハンバーガーは信長のと違ってチーズではなくベーコンだった、本人は大喜びだから何よりだ。カップ麺はお湯を入れた状態のものが出てきたし、うどんもパスタも温かい。カレーはシンプルな薄切りの豚肉がいっぱい入ってるポークカレーだったし、冷凍寿司も解凍済みながら鮮度は保たれていた。桐郎はお茶を入れたコップを手に持ちながら口を開く。
「しかし驚いたね。まさかこんなサバイバル生活を強いられるなんて……船に住む時点で普通のサバイバルとは全然違うけど」
「……そうだ颯、信長を抱っこして4階まで戻れるか?」
「え? えっと、鈴木さん小柄で体重も軽そうだし、なんとかなるかと」
「そうか、じゃあ行くぞ。純次颯が帰るためのライト係。俺は床に散乱している使えそうな道具を全部回収したらすぐ4階に戻ってくるから。俺のスマホにもライト機能あるから心配するな」
「アイアイサーっス!」
「……なんだか悪寒がする気が」
よからぬ雰囲気を感じ取った信長だが時すでに遅し。続きは明日にしてくれた言わんばかりに颯が信長を抱え込んだ。しかも俺が想定していた俵抱きじゃなくて、まさかのお姫様抱っこだった。あの時ふと見えた信長の顔はなんていうのだろう、どうゆう感情だ。男にお姫様抱っこされた衝撃が、それとも考えに耽っているところを邪魔された驚きなのか。
……ともかくこれで倒れるという心配は無くなった。幸いこの部屋に電気は付いていたから気にすることなく床に散らかっているものも、散乱を免れたもの物も集め……ようとしたが2つほど重くて仕方ないものがあり、そいつらだけ放っておいて持てそうなやつだけ持って4階へ走った。俺もなんだかんだ暗闇は怖いから全力疾走だった気がする。
……
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「成程、この感覚は空腹という事だったのか」
「気が付かなかったんだ……」
「元々信長くん自分の体に疎いけんな、しゃあないわ」
「遭難してからまだ何も食べてなかったの!?」
「ああ、昼前は知っての通り逃したし、皆の者とは違って間食も摂取していない」
「え……2人ともよくそれで平気だったね」
「というより緊急事態で食べるのを忘れていたというか、今になってようやく腹が空いてきました」
正宗さんが信じられないような顔して黙りこくってしまった。みんなそれぞれ思うところはあるのだろうが、1年サバイバル生活と聞いて真っ先に思い浮かぶであろう食料問題に関しては、なんだかんだ大食いの正宗さんが1番頭を悩ませているところだろう。
「さあ何を摂取しようか。自動販売機にある食料は炭水化物が主であるな」
とは言えお腹を空かせているみんなはさっさと飯の準備を始めた。桐郎がお茶の準備をしている間に何を食べるのかそれぞれで考えているようだった。
「カップラーメン、うどん、粉物、カレーライスに冷凍寿司、ハンバーガー……」
「そうやって聞くと呪文みたいやな」
「お肉がない……」
「あ、でもハンバーグあるよ!」
「アレはお肉というより焼いたガム……まあ高いチェーン店だとそれなりに美味しいけど」
「いや美味しいっスよアレ! やっすいジャンクフードの良さがわからんとは人生損していますよ!」
「そうは言ってもねえ! 俺が求めているのはもっとこう、自然を感じるようなお肉だよ!」
「こ、この状況下で贅沢はダメだよ颯くん……」
おいおいくだらん理由での衝突はよせ。颯は肉に対してのこだわりが強いのだろうか。思えば実行しようとしているのは信長だが、最初に動物を狩りたいと提案したのは颯だったのを思い出す。まず周りそして自分な颯にしてはやけに頑固だった。これは早いとこ信長と2人で協力し肉を獲ってもらわんとな。
「これがせめてロッ○リアみたいなお肉だったらいいんだけどなぁ、ボタン押すのが怖い」
「ふむ……ではまず私がハンバーガーを食べてみよう。格安チェーンの様な安価なパティだった場合は食べるのをやめればいいだけの話だ」
信長はそう言って、なんの躊躇いもなくボタンを押した。取り出し口から出てきたのはホカホカのチーズバーガー。肉は……ちゃんとしている。格安チェーンみたいなのじゃなくてロッ○リアとかそんな感じのやつだ。
「どうだ、高橋さんの提示した条件に合致した肉だぞ」
「あ、ありがとう。ごめんな俺の好みのために……」
「構わないさ。自給自足生活において、短時間で高カロリーを摂取できるこの食物は重点的に選ぶべきだと判断した。つまりは、元よりハンバーガーを食べるつもりだったということだ」
びっくりするぐらい合理的な対応をされている。ちょっと複雑そうにしながらも颯もハンバーガーにした。俺はそうだな……カップラーメンにしようか。
「僕はやっぱり、カレーライスかな。1番多そうだし……」
「島っちパイセン相変わらず大食いっすね。俺はうどんにします、無難な感じで」
「ならぼくもそうしようかな」
「わしゃ冷凍寿司にチャレンジしてみようか」
「ナタはこれでいいよ、スパゲッティ!」
こうして各々好きなものを買い、食べ始めた。颯のハンバーガーは信長のと違ってチーズではなくベーコンだった、本人は大喜びだから何よりだ。カップ麺はお湯を入れた状態のものが出てきたし、うどんもパスタも温かい。カレーはシンプルな薄切りの豚肉がいっぱい入ってるポークカレーだったし、冷凍寿司も解凍済みながら鮮度は保たれていた。桐郎はお茶を入れたコップを手に持ちながら口を開く。
「しかし驚いたね。まさかこんなサバイバル生活を強いられるなんて……船に住む時点で普通のサバイバルとは全然違うけど」
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