22 / 55
第22話 不老不死の死
しおりを挟む妖精の国にも宿がある。そこでゆっくりしながら一週間が経った。
世界樹のお客人と言うことで、ここに来て、お金を使っていない。
小さい妖精のシフルは、案内役兼監視役だろうか? ノエルの傍を離れようとしない、寝る時もお風呂に入る時も一緒だ。
シフル言わく、気の済むまで居ていいと言うことらしい。
妖精の国は豊かな国だ。転生者の知識が至る所にあり、人の国と同じ水準で便利だし、清潔だ。
妖精とその仲間たちは、もっと不便な生活をしていると思った。世界樹だぞ、もっとファンタジーっぽくしろや。リモコンでクーラーを付けたり、消したりする。
世界樹の近くの宿でコレだぞ。リモコンで電気を付けたり、クーラーを付けたり、加湿器兼除湿機の空気清浄機まであって、カーテンをリモコンで開けたり、閉めたり出来る。
カーテンを動かす奴は俺の屋敷にも無かった。
俺がイメージしていた世界樹、そしてそこに暮らす者たちの風景じゃない。もっと絵本のようなファンタジーっぽいのを期待していた。
まぁ、宿がそういうファンタジーっぽいのだと、嫌なんだけどな。
「今日はどこ行くんだノエル!」
「どこにしましょうか」
シフルはノエルにベッタリだ。ノエルもお姉さんのようにシフルを見ている。
「もうそろそろ妖精の国から出ないとな」
「はい、お兄様」
俺が出ることを告げると、シフルがあからさまに嫌そうな顔をする。
「もう行っちゃうの?」
「お兄様は、もうそろそろと言いました。あと一週間と言ったところでしょうか」
「いや! シフルはノエルといる!」
寝巻きのノエルの胸に埋まったシフル。
ノエルはシフルの頭を人差し指と中指の二本で撫でる。
「今日明日じゃないですよ。あっそうです! 昨日言っていたシフルちゃんの秘密の場所へ行きたいです。ダメですかね?」
「ノエルならいい」
じゃあ俺は宿でお留守番か。
ノエルは俺に申し訳なさそうにしてたから、別に気にするなと言っておいた。
俺はノエルとシフルがいなくなった部屋で、二度寝するかとベットに潜る。
「やっとモブオと二人っきりになれたね」
どこから現れたのか。
二度寝はやめて、ベットから起き上がる。
「世界樹が何用だ」
「用が無いと来ちゃいけないの?」
「あぁ」
俺の淡白な言い様にも気にせずにテトナはノエルのベットに腰掛ける。
「残念なことに用はあるわ」
「ノエルには聞かれたくない話なのか?」
「ノエル本人に聞かせてもいいけど、ノエルが死ぬ話をして大丈夫かしら」
「ノエルが、死ぬ?」
世界樹はそういうなら、そうなんだろう。俺を騙そうとしたら、どうなるかを世界樹は知っているだろうからな。
「妖精の国にいる間は死ぬ速度がゆっくりになっているけど、あと一週間後にノエルは死ぬわ」
「ノエルは不老不死の霊薬を飲んでいるんだぞ。しかも俺がいてノエルが死ぬなんて有り得ない」
そうだ、ノエルは不老不死の霊薬を飲んでいる。死人が来ることはない、来たとしても俺が送り返してやる。
まだ旅をしたばっかりだぞ。なんでノエルが死ぬんだ。
「不老不死の霊薬も、そこに留まる力と極限の再生力が拮抗して出来た奇跡の薬よ。身体のどこかしらを欠損する致命傷になると死ぬわ、心臓とかね。でも死が、寿命の死と勘違いしないで、死は至る所にあるのよ」
「あと一週間だな」
「妖精の国にいる間は半日遅くなってる。けど、必ず来ることよ。絶対に変えられない世界樹からの運命のお告げ」
「変えられない運命なら何故俺に教えた」
テトナはベットから立ち上がり、部屋の出入口の扉に手をかけた。
「何故かしら、私にも分からない。でもノエルは運命とは違う選択をした。私はノエルの願いを叶えられなかったから、モブオに嫌がらせ。友達の助かる可能性は少なからずあった方がいいでしょう」
誰かから狙われているなら一緒にいればいい、でもテトナは死は寿命の死とは限らないと言っていた。
「死の原因は?」
「さぁ」
死の原因が何か聞くと、テトナは一言残して、部屋を後にした。
テトナは未来にノエルの死ぬと分かって、その原因は知らないと。
使えない能力だ。しかもだ、未来予知は外れないと来ている。
一週間後か。
考えても、一週間後になってみないと分からない。
一週間後に何も無かったら、世界樹の木をたたっ斬ることは決めた。
0
あなたにおすすめの小説
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中
あ、まん。
ファンタジー
仕事一筋40年。
結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。
定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。
だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。
唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。
化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。
彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。
現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。
これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる