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18章
473話 たまの本気
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3Fの途中で離脱し、そこから丸1日ログインする事が出来なかった。
単純に仕事が忙しく、帰って家事なりを済ませて一息付いたら倒れて速攻寝ていたのが原因になるのだが、犬野郎の奴にはちょっと悪い事した気がするって、思ったけどそもそもゲーム内だけの約束だし、確約じゃないから何一つとして悪いわけなかったわ。
「そういう訳で、1人で攻略しなきゃならんくなったわけだが、改めてあいつの防御力が高いってわかるな」
飛び出して攻撃してくる相手に対して銃受けからの反撃、これもこれでお馴染みって感じの戦い方だな。なんともワンパターンな動き方だわ。って言うか、これ以上の防御からの切り返しの解答が無い。もうちょっと戦い方を考えてもいい頃か。
「そういう訳だからサクッと倒れてちょーだい」
くるりと銃を回して脇に構えると共に射撃。何とも言えない悲鳴を上げてポリゴン状に消失していくモンスターを見てから一息入れて煙草を咥える。さて……この海底火山だが、3Fはちょっと前に説明した通りのギミックが追加されたうえで基本構造は特に変わらず。ただ、犬野郎がいた時とは戦闘回数が減っている。あいつがガンガン動いて動体検知に引っかかりまくったのかな。
「最小の動きで、なおかつ最大の攻撃力を発揮させないといけないわけだけど、そうなるとAR持ってきたのは失敗だな」
大型系銃器以外のスキルも増やすのはありだな。いい加減レベルとスキル周りも新調って言うか、見直しが必要な時期になってきた。装備を新しく周りの環境も新しくしたとは言え、まだやる事はある。そもそも3ヵ月でやる事なくなるゲームってそれはそれでダメだってな。
「まずは此処の攻略が先だってな」
下手にモンスターを刺激しない様に微動だにしない状態でマップを開き、多分そっちだろうって所に進んでいく。
正直言って、このダンジョンはひたすらにめんどくさかった。敵は強いわギミックは複雑になるわ広いわ。階層もピラミッド式で5階まであるうえに、最後は最後でボスが待ち構えている。もう道中もきついし消耗するし、なんだかんだで一番奥まで来たのに結局ウランは見つからないしでフラストレーション溜まりまくり。
「八つ当たりするにしても、相手がでかいし強いってのはどーもなあ」
咥えていた煙草を揺らしながら目の前にいるボスを見上げつつ、ガンベルトに差しているマガジンやら銃弾、グレネードをチェックして一息。紫煙を燻らせながらどう戦うかを考える。
目の前にでかく構えているボス、今までいたような魚に手足を生やしていたような中途半端な奴ではなく、しっかり人型、顔は魚っぽいけど全身鱗のマッチョマンって感じかな。獲物はトライデント、お供の雑魚は無し。
別にボスを倒しに来たって訳じゃないんだけど、もっと奥に良い採掘ポイントがあるかもしれないっていう希望的観測込みで倒す覚悟を決めたってのがあるわけだが……久々にこんな強敵と相手するような気がする。
と、色々あれこれと考えていると咆哮一つ。トライデントの一撃が鋭く突きだしてくるので身をよじって回避。ちゅんっとレーザー音のような物を聞くと、鮮血が飛ぶ。しっかり回避したと思ったけど、右頬から右耳まで裂傷が走る。
「クソ、横幅と返しか……やってくれるよ」
突き戻しの間にバースト射撃で反撃をしながらバックステップで距離を取るが、トライデントを使い金属音をさせながら銃弾を防いでくる。あんな細めの柄で弾けるってすげーな。だてに良いレベルしてない。その上で、あの攻撃を銃受けするのは無理だ。つまり向こうのやたらと速い攻撃を必死こいて避け、良い感じに射撃を食らわせて相手を倒す。
「いつもこんな感じだな」
びしっとトライデントを構えてこっちを見据えてくる相手に対して少しだけ口角を上げて息を漏らす。2、3発くらいなら多分大丈夫だろうけど、そこはもうゴリマッチョの奴の装備に対して信用しなきゃならん。それでも基本は被弾=負けだ。
「ただ、まあ……ひりついた戦いって嫌いじゃない」
グレネードを一つ抜いて緩めに投擲。勿論それを迎撃するようにトライデントで一刀両断。黒色火薬の粉末が飛び上がっているのを見つつ、追撃での射撃。バースト射撃で3連射された弾丸が、一刀両断をした返しで振り回しで叩き落とされる。
ひゅうっと口笛一つしてから更にグレネードを投げ込み迎撃させる。当たり前だが緩めに投げているのであっさり斬られてさっきと同じように粉末が舞う。
「ったく、いい反応速度だよ」
バースト射撃での連射攻撃をし、相手が攻撃を出来ない様に抑えつけた状態を維持、そして装填。その瞬間、顔の横から何か横切ると視界が軽く赤くなる。なるほど、遠距離攻撃として水圧弾?多分だけど水魔法の派生か。
舌打ち一つ、狼狽えて装填に淀みが出るとまずい、此処は落ち着いてすぐに装填を完了させ、またバースト射撃での射撃攻撃。流石に連射をしているのもあって数発に1発はヒットしているので、後はこれを続けて、相手の不意打ち攻撃をいなせば勝てる。
なんて、思っていたら、被弾を気にせずに一気に突っ込んでくる。槍先を捻って回転させながらの突き攻撃。咄嗟に横っ飛びをしつつ、回転の渦に向けて銃で防御。ぎゃりりっと音をさせ、スーツに切れ込みが走る。
「やば、強いわ」
そのままごろごろと転がりながら3本目のグレネードを横っ飛びした地点に置きつつ、尻尾を使い体を起き上がらせながら荒く呼吸を吐き出す。これ、負けるな。
「こうなってくると、採掘がどうとか関係ないな」
半身になり、何度も繰り出してくる突きの攻撃を銃受けをしつつ、細かく左右に振って避けつつ、射撃……なんて事も出来ずに防戦一方。向こうの攻撃パターンって言うか思考が切り替わったみたく、被弾しようがお構いなしに突っ込んでくる。一定の攻撃数を当てたら攻勢に出てくるって感じか?いや、どちらにせよ、そう攻撃してくるなら根競べになるわけだけど、私の手が足りないし、距離を詰められると弱い。近接戦闘が出来るポンコツピンクのようなタイプでもなく、今は銃も1丁しかない。
「つまり……勝てる見込みが薄いって事だな」
何度目かの突き攻撃を避けきれず銃で受けると、トライデントの叉で引っ掛けられくるりと回転、そこから上に弾き飛ばされる。が、私としては手元に銃が無くても問題ないと言えばない。視界内に捉えておけばすぐに操作して手元に戻せる、が……。
「向こうの方が速い」
トライデントの先をくるりと回し、ぴたりと止まると共に、弾かれて体勢が崩れた状態の私にぴったりと狙いを付けている。弾かれた銃を手元に戻す前には向こうの方が速いし、避けながらの操作は精度が悪くなるから、余計な消費も出る。だったら、このまま空中射撃しつつ、仕込みを使う。
銃操作で銃口が下を向いた瞬間に発砲。バースト射撃での攻撃がボスには当たりはしなかったが、黒色火薬が粉末状に舞った所に当たり、摩擦と発射時の高温で発火。導火線の様に舞った所に火が回り、置いておいたグレネードにまで一気に回って爆発。
立ち位置的にはボスの後ろ側で爆発なので直撃するダメージって訳ではないが陽動するには十分だ。
背中に爆風を受け、少しだけ前に体勢を崩したのを見て、銃操作でそのままボスの脳天に向けて突き刺す様に下降させて零距離射撃。手応えは、無い。やっぱ自分で持って撃たないと何とも言えん。
「ここで『やったか!?』なんて言ったらフラグだよな」
当たり前だけど、けろっとした感じでしっかり立ち上がるボスを見てにぃっと口角を上げる。
「楽しませてくれるやんけ」
銃撃で多少なりとふらついたというか、防御状態に移行したのですぐさま手元に自分の銃を戻して煙草を咥え、火を付ける。今日はこんなにガチする気なかったんだけどなあ。
単純に仕事が忙しく、帰って家事なりを済ませて一息付いたら倒れて速攻寝ていたのが原因になるのだが、犬野郎の奴にはちょっと悪い事した気がするって、思ったけどそもそもゲーム内だけの約束だし、確約じゃないから何一つとして悪いわけなかったわ。
「そういう訳で、1人で攻略しなきゃならんくなったわけだが、改めてあいつの防御力が高いってわかるな」
飛び出して攻撃してくる相手に対して銃受けからの反撃、これもこれでお馴染みって感じの戦い方だな。なんともワンパターンな動き方だわ。って言うか、これ以上の防御からの切り返しの解答が無い。もうちょっと戦い方を考えてもいい頃か。
「そういう訳だからサクッと倒れてちょーだい」
くるりと銃を回して脇に構えると共に射撃。何とも言えない悲鳴を上げてポリゴン状に消失していくモンスターを見てから一息入れて煙草を咥える。さて……この海底火山だが、3Fはちょっと前に説明した通りのギミックが追加されたうえで基本構造は特に変わらず。ただ、犬野郎がいた時とは戦闘回数が減っている。あいつがガンガン動いて動体検知に引っかかりまくったのかな。
「最小の動きで、なおかつ最大の攻撃力を発揮させないといけないわけだけど、そうなるとAR持ってきたのは失敗だな」
大型系銃器以外のスキルも増やすのはありだな。いい加減レベルとスキル周りも新調って言うか、見直しが必要な時期になってきた。装備を新しく周りの環境も新しくしたとは言え、まだやる事はある。そもそも3ヵ月でやる事なくなるゲームってそれはそれでダメだってな。
「まずは此処の攻略が先だってな」
下手にモンスターを刺激しない様に微動だにしない状態でマップを開き、多分そっちだろうって所に進んでいく。
正直言って、このダンジョンはひたすらにめんどくさかった。敵は強いわギミックは複雑になるわ広いわ。階層もピラミッド式で5階まであるうえに、最後は最後でボスが待ち構えている。もう道中もきついし消耗するし、なんだかんだで一番奥まで来たのに結局ウランは見つからないしでフラストレーション溜まりまくり。
「八つ当たりするにしても、相手がでかいし強いってのはどーもなあ」
咥えていた煙草を揺らしながら目の前にいるボスを見上げつつ、ガンベルトに差しているマガジンやら銃弾、グレネードをチェックして一息。紫煙を燻らせながらどう戦うかを考える。
目の前にでかく構えているボス、今までいたような魚に手足を生やしていたような中途半端な奴ではなく、しっかり人型、顔は魚っぽいけど全身鱗のマッチョマンって感じかな。獲物はトライデント、お供の雑魚は無し。
別にボスを倒しに来たって訳じゃないんだけど、もっと奥に良い採掘ポイントがあるかもしれないっていう希望的観測込みで倒す覚悟を決めたってのがあるわけだが……久々にこんな強敵と相手するような気がする。
と、色々あれこれと考えていると咆哮一つ。トライデントの一撃が鋭く突きだしてくるので身をよじって回避。ちゅんっとレーザー音のような物を聞くと、鮮血が飛ぶ。しっかり回避したと思ったけど、右頬から右耳まで裂傷が走る。
「クソ、横幅と返しか……やってくれるよ」
突き戻しの間にバースト射撃で反撃をしながらバックステップで距離を取るが、トライデントを使い金属音をさせながら銃弾を防いでくる。あんな細めの柄で弾けるってすげーな。だてに良いレベルしてない。その上で、あの攻撃を銃受けするのは無理だ。つまり向こうのやたらと速い攻撃を必死こいて避け、良い感じに射撃を食らわせて相手を倒す。
「いつもこんな感じだな」
びしっとトライデントを構えてこっちを見据えてくる相手に対して少しだけ口角を上げて息を漏らす。2、3発くらいなら多分大丈夫だろうけど、そこはもうゴリマッチョの奴の装備に対して信用しなきゃならん。それでも基本は被弾=負けだ。
「ただ、まあ……ひりついた戦いって嫌いじゃない」
グレネードを一つ抜いて緩めに投擲。勿論それを迎撃するようにトライデントで一刀両断。黒色火薬の粉末が飛び上がっているのを見つつ、追撃での射撃。バースト射撃で3連射された弾丸が、一刀両断をした返しで振り回しで叩き落とされる。
ひゅうっと口笛一つしてから更にグレネードを投げ込み迎撃させる。当たり前だが緩めに投げているのであっさり斬られてさっきと同じように粉末が舞う。
「ったく、いい反応速度だよ」
バースト射撃での連射攻撃をし、相手が攻撃を出来ない様に抑えつけた状態を維持、そして装填。その瞬間、顔の横から何か横切ると視界が軽く赤くなる。なるほど、遠距離攻撃として水圧弾?多分だけど水魔法の派生か。
舌打ち一つ、狼狽えて装填に淀みが出るとまずい、此処は落ち着いてすぐに装填を完了させ、またバースト射撃での射撃攻撃。流石に連射をしているのもあって数発に1発はヒットしているので、後はこれを続けて、相手の不意打ち攻撃をいなせば勝てる。
なんて、思っていたら、被弾を気にせずに一気に突っ込んでくる。槍先を捻って回転させながらの突き攻撃。咄嗟に横っ飛びをしつつ、回転の渦に向けて銃で防御。ぎゃりりっと音をさせ、スーツに切れ込みが走る。
「やば、強いわ」
そのままごろごろと転がりながら3本目のグレネードを横っ飛びした地点に置きつつ、尻尾を使い体を起き上がらせながら荒く呼吸を吐き出す。これ、負けるな。
「こうなってくると、採掘がどうとか関係ないな」
半身になり、何度も繰り出してくる突きの攻撃を銃受けをしつつ、細かく左右に振って避けつつ、射撃……なんて事も出来ずに防戦一方。向こうの攻撃パターンって言うか思考が切り替わったみたく、被弾しようがお構いなしに突っ込んでくる。一定の攻撃数を当てたら攻勢に出てくるって感じか?いや、どちらにせよ、そう攻撃してくるなら根競べになるわけだけど、私の手が足りないし、距離を詰められると弱い。近接戦闘が出来るポンコツピンクのようなタイプでもなく、今は銃も1丁しかない。
「つまり……勝てる見込みが薄いって事だな」
何度目かの突き攻撃を避けきれず銃で受けると、トライデントの叉で引っ掛けられくるりと回転、そこから上に弾き飛ばされる。が、私としては手元に銃が無くても問題ないと言えばない。視界内に捉えておけばすぐに操作して手元に戻せる、が……。
「向こうの方が速い」
トライデントの先をくるりと回し、ぴたりと止まると共に、弾かれて体勢が崩れた状態の私にぴったりと狙いを付けている。弾かれた銃を手元に戻す前には向こうの方が速いし、避けながらの操作は精度が悪くなるから、余計な消費も出る。だったら、このまま空中射撃しつつ、仕込みを使う。
銃操作で銃口が下を向いた瞬間に発砲。バースト射撃での攻撃がボスには当たりはしなかったが、黒色火薬が粉末状に舞った所に当たり、摩擦と発射時の高温で発火。導火線の様に舞った所に火が回り、置いておいたグレネードにまで一気に回って爆発。
立ち位置的にはボスの後ろ側で爆発なので直撃するダメージって訳ではないが陽動するには十分だ。
背中に爆風を受け、少しだけ前に体勢を崩したのを見て、銃操作でそのままボスの脳天に向けて突き刺す様に下降させて零距離射撃。手応えは、無い。やっぱ自分で持って撃たないと何とも言えん。
「ここで『やったか!?』なんて言ったらフラグだよな」
当たり前だけど、けろっとした感じでしっかり立ち上がるボスを見てにぃっと口角を上げる。
「楽しませてくれるやんけ」
銃撃で多少なりとふらついたというか、防御状態に移行したのですぐさま手元に自分の銃を戻して煙草を咥え、火を付ける。今日はこんなにガチする気なかったんだけどなあ。
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