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4章

107話 金の力ってすげー!

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 私の持論として、ゲームマネーはがんがん使うべきだと思う。
 欲しいアイテムがあるからという理由で貯めるのであればそれはそれでいいと思う。とは言え私としては、ある時に必要な物をがっつり買って後はどうにでもなれという感じだ。金を腐らせるならさっさと使った方が良いって事よ。
 で、何でこういう話をするのかっていうと、残り残金として持っていた25万をつぎ込んで私の家に工房として使える錬金窯と鍛冶用の炉を追加で購入した。
 金がある時にさっさと用意してあとで金がねえって騒いだ方がまだ精神的に楽だし。

「施設1個5万もしたけど、何一つ後悔してねえ」

 庭に炉、1Fの1室に錬金窯を設置、完全に1部屋錬金専用部屋になってしまったが、やっぱり後悔なんてものは何一つない。地下2Fを作ったうえで地下へと生産施設を作って掘り進めるというのも考えたのだが、それはそれでアクセスが悪くなる気がするのでやめておく。どうせ購入した施設はレイアウトでいつでも変更できるので、気分が向いたらそうしよう。

「ぶっちゃけ無計画ともいえるんだけど、しょうがないね」

 あと忘れていたというか、雑木に関してはとりあえず300本用意したので樽用としては十分確保できただろう。どうせ耐久度よりも使いやすさ重視なので作成できればいいし、そもそも酒造、醸造と言っても味に関しては二の次なので、アルコールさえできれば何でもいい。味を求めるのは、まずくても完成した後の話になる。

「ああ、そうだついでに木工の機材も家に入れるか」

 冒険者ギルドに行っては5万Zをぶっこんでさらに庭に木工加工用の鋸とか資材置きのような物も一緒に設置。はい、あと10万。

「金の力ってすげー!」

 やっぱり何でもかんでもやろうと思えば金がかかるな。情報クランに銃弾のレシピ叩きつけてさらに金を搾り上げておいてもよかった。まあ、どっちにしろこれで自宅で色々あれやこれやできるのでいいだろう。あー、そうだ料理スキルもあるし、キッチンもついでに設置しよう。こうなってくると後は裁縫とか細工が出来るような作業場があるといいな。

「計画性が無いな、ほんと」

 施設5個も一気に購入したせいで私の家は一気に作業場として完成したわけだが、家具を置く場所はなくなった。いや、まだ2階があるからそっちを住居系にしたら問題なさそうだ。
 
「これでもうギルドに行く必要はないな。補正貰う時くらいに所属しておけばいいか」

 150万もぶっこんで完成した生産施設と畑と硝石丘を後で見に行くとして……。
 
「やべえー、私すげえ経済まわしてるわー、全部運営に吸われてるけど」

 ただこの通貨量ってゲームによってまちまちなので何とも言えない。他のMMOじゃコスチュームの自由度が高いせいでそっち関係のアイテムがやたら高騰する傾向にある上に最低でもm単位取引というのがザラのもあるし、逆に生産装備はいくら出来が良くても投げ売りに近いのに、需要のある材料の方が高いとか言うのもあるし、ゲームによって変わる。
 そういうのを含めてT2Wの通貨って結構稼ぎやすい気もするし、案外T2Wって通貨価値低いと思う。

「まともな金策を調べた事も聞いた事もないから何とも言えないからあれなのよねえ……情報クランがどうやって稼いでるかも結構気になる」
 
 ほんとT2Wの金策ってどうなってんだろうな。ゲーム内ショップの資産は無限だから高額買取するものを大量に作って店売りするのがいいんだろうけど、それが何なのかって所だが。
 
「チェル辺りがクランハウス買うのに金策してるみたいだし、どうやってるか合わせて聞いてみるか」

 まあ、これ以上買う物は……煙草くらいしかないし、さっさと自宅に戻って樽を作ろう。円形に木材並べて固定して蓋したら出来るんだろ?余裕だよ余裕。



 で、さくっと自宅のエリアに戻ってくる。
 ああ、すげえ私の庭に炉と木材加工場が併設されてるわ。鍛冶ギルドから木工ギルドへのアクセス2歩って所だな。とりあえず雑木を角材にしてから板材にして組み立てて、金属輪で固定してみよう。って言うかさっさとチェルの奴がファーマーと醸造出来るのを見つけて私に連絡を入れるべきだろ。
 ある意味ではあいつのクランって私が立てたと言っても過言ではないわけだし?

「いいや、とりあえず雑木を角材にしよか」

 木材加工場でちゅいーんと音を鳴らし、おがくずを辺りに撒き散らしながら製材して角材に、そこから板材にするためにスライスして、1本の雑木から5枚の板材を作る。太い物を薄く切ってるだけで数が増える不思議。
 とは言えこれでどうやって樽型にするんだろう?よくみる樽ってのは真ん中が膨らんでいる楕円型だけど、このまま組み立てたら円筒状の物が出来るだけだし、ちょっとよれたらばらばらになりそうだ。

「うーん……こればっかりは調べてみないと分からん気がする」

 とりあえず板材は500枚分用意したし、ダメだったら隣にある炉にぶち込んで火力を上げる薪にすりゃいいだけか。なんだったらここから木炭とか作れそうだから無駄にはならないだろう。

「樽、樽かあ……あとで飯時にログアウトしたときに合わせて確認しておくか」

 難易度の高くない樽が欲しい。個人的に日本製の方が木工だけでどうにかできそうな感じがある。あの猿が投げる樽とかはどっちかっていうと海外で使われているイメージ。

「そういえば時代劇とかで死体とか入れる樽とかあったな……感覚的にはああいうのが正解なんだろうけど」

 って言うか樽の蓋の部分って板材集めて固めて丸くカットすればいいのか?火薬とか銃とかはちょっと調べたりとか、ゲームなり漫画なりで仕入れた情報とかがあったから必要な物とかどうやればいいか分かっていたが、木工製品ってやっぱり難易度高いな。

「伝統工芸とかで樽とかあればいいんだけど、とりあえず余計な事して材料無駄にするくらいなら調べて試作しよう、ノウハウも製法も0から作るのは流石にきつい」

 そんなわけでインベントリに作成した板材と角材を突っ込んで完了。なんでも入るインベントリって素敵。RPGとかで大量に食材やアイテムを持てるからそこまで無理な設定じゃないよね。



「樽とかはログアウト後としてジャガイモは……お、芽が出てるし、そこそこ大きくなってきたんじゃない?」

 ゲーム内時間で1日ちょいで作物はできるのかな?やっぱりこの辺のゲーム処理というか、ゲーム時間で換算されるのいいよね。生育が早い作物だけどリアル時間で2か月くらいかかるし、ゲーム内でもそれを食らったらファーマーなんて全滅だよ。

「農業ゲームじゃカブが5日で出来るのは常識に近いし、1日でも出来てもいいよね、時間のバランス調整ってマジ大事」
 
 それにしてもジャガイモの苗1個で何個収穫出来るんだろう。そっちもゲーム的に1:2以上は確定だし、1:1なら最初からその作物を買って来いって話になるからメリットは増やせるって所だしなあ。

「……ちょっと水撒きすぎな気もするけど、乾いてるなら湿らせた方が良いんだっけ?」

 びちゃびちゃにならない様にしつつ水を撒く。そろそろ暗闇洞窟に向かって蝙蝠の群生地の土を集めに行くか。硝石丘もまだ全然進んでないし、材料も集めてない。

「ちょっと寄り道が過ぎた気がする」
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