最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

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2章

60話 運命共同体

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 イベント用マップの村は、村人が大人子供合わせて大体100人程度。それなりに賑わっていると言うか、建物や家屋はそこそこある。
 で、その村の外れに大体300人くらいのプレイヤー。

「村の怪異っていうけどなあ……」
「何したらいいんだ?」
「基本的にここの運営放り投げるの多くね?」
「5時間拘束きつくね」

 そうやってがやがやと言っている間にメニューを開いて状況を確認する。時限性なら残り時間とかどこかに書いてないかな?と調べてみたら普通に表示されてた。とりあえずこんな所で騒いでいてもしょうがないので300人の雑踏から離れて村の方へと歩き出す。

 5万ユーザーもいるのに300人しかないっておかしくないか?と思ったけど、単純に参加者を人数で分けただけだろう、じゃないとそもそもこんな小さい村に何万もプレイヤー投入した所で人数過多でいっぱいいっぱいになるし。

「しかしまあ、これはあのスーツ着て行動なんてできんわ」

 ただでさえ目立つというんだから、しょうがないな。まあ、普段着はローブだし、前に考えている通り戦闘中だけ着替えておけばいいだろう。
 そんな事を考えつつ、あっという間に村に到着、とりあえず怪異と言う事だから何かしらのモンスターなり、事件なり厄介事が起きているのは違いない。村人から話を聞ければ一番いいだろうから、手頃な家屋に行き、「すいません」と言いながら戸を叩く。
 少し時間が経ってから老人が戸を軽く開けて此方の様子を伺ってくる。

「なんじゃね……」

 やっぱりここも対話型NPCか、やっぱりAIもかなり高度に入れてるんだろうな、

「ここで何かしらの異変が起きていると聞いたんだが?」
「ふむ……冒険者か……そんな事は起きとらんが?」
「……聞いてた話と違うな」
「そういわれてものう……心当たりのない事を言われても」

 戸越しに話しつつ、ふむ、と顎に手を当てて考える。まだイベントが進行していないのか、村人がグルなのか、情報不足でまだ何とも言えないな。
 
「いや、それならいいんだ、一応調査をしたいから村長とかは?」
「向こうの、一番大きい家じゃ」

 指で示した方向を見れば確かに一回り程、大きい家屋が見える。そうなると情報は足で稼ぐしかないな。とりあえず目の前の老人には時間を取らせた事と礼をし、その場を後にする。
 こういうNPC相手なら気を使わなくていいから平気で会話はできるのに対人になると途端に拒否反応出るのも今後、直して行かないと…っていうか今すぐ?知り合いもいないし、ランダム選出のプレイヤーで組んで、しかもレイド系のボスってなると勝手にやって足並み揃えれずに戦うなんて愚の骨頂だし。

「だからってすぐに性格がなおりゃ苦労しないわな」

 自分で言っておいて無理無理と自分の事を笑う。何にせよ今はそっちより村長の家に行くのが先だ。
 このイベント用の村、村長の家を中心として円形に広がっており、一番外には申し訳程度の柵が張られている。モンスター用というよりも害獣避けと言った感じだな。

 とりあえず話は村長に聞けばいいと言う事だから、先に村の散策とマッピングを済ませる。半径500mくらいのそこそこの広さで、一応村のショップとして鍛冶屋と雑貨屋が1件ずつ。鍛冶屋は武器とかよりも農具とかそっちの手入れが中心なのだろう。雑貨屋は文字通り回復アイテムや食材、細々した道具類が中心だ。買い忘れていたナイフと縄を補充できるのはでかい。

 あとはNPCの住居が点在と、村の端から端まで走ってゲーム内時間数分って所か。射線はそれなりに通ってるし、村での戦闘に関しても問題なさそうだ。

「先に周辺情報を確保するのもありだな」

 マップを確認しつつ、周りの確認を終わらせている間に、他のプレイヤーも結構村の中にやってきて各々情報収集を始めている。ざっと見る限りでは半分程度が村に、残りは周辺マップで狩りなり探索をしているようだ。
 この辺もプレイヤーの差が出やすいな、攻略前線組はどちらかというと探査エリアを広げて、それ以外のイベントやRPを重視しているのは村を中心とした行動。私もどちらかと言うと後者よりになるわけだが。

「んー……村全体の好感度をあげつつ、5日間のうちにどうにか事件を解決するってのが流れっぽいわね……レイドだとは思うけど、イベントだから順位付けとかも詳しいの出てたかな」

 一応村長の所に話を聞くという第一段階に辿り着いたのはかなりいるのか、纏めて一緒に村長に話を聞いている、で、その話を聞くために結構な列ができているので、落ち着くまでイベント内容をもう一度確認しておく。


 基本的にはレイドで、集まった300人で協力して事件を解決に導くというのが大きい目標になる。
 さらに細かい所で報酬の増減に関しては。


1:300人チーム毎の全体貢献度順位
2:イベント参加者全体での個人貢献度順位
3:300人内での個人貢献度順位



 この3パターンが報酬に絡んでくる。順位付けはどうなんだと言われそうだが、とりあえず参加して何となくクリアってだけではあまりうま味が無いと言う事だろう。クリア前提で、イベントをやりつくせば報酬が良くなるとと言う風に考えているんだろう。
 ワンマンプレイばかりになると全体順位は下がっていく、かといって全員一致団結しすぎると個人順位は上がらない。適度に協力しつつ、頑張るというのが今回のイベントの肝なんだろう。

 後はその貢献度の稼ぎ方だが、NPCとの好感度や、イベントの進行、モンスター狩り、などなど……イベントの積極参加って言った所だ。

 そういえば懸念してた5時間ログイン、一時的なログアウト方法はゲーム内で寝る事だった。別に寝なくてもバットステータスが付いたりはしなかったが、一応回復速度を上げるってのはあった、まあ今回だけの処置なんだろう。
 
「ふむ、全体でどれくらいいるのか分からんが、これはこれで大変だな」

 個人よりも全体の総合順位の方が良い物は確実に貰えそうだ、って言うかどういう物を貰えるのかは知らんし、記載されていないわけだが。
 とにかく、色々と行動を起こして貢献度を稼いで、イベントをクリアして、報酬をゲットしよう!って事だ。

「何ともわかりやすいイベントだ……とりあえず今は村長に話を聞かないといけないな」

 イベント概要を確認している間に、村長の家に人はかなり減っていた。
 人のさばけ具合をみると、多分大した情報は無かったんだろう、もしくは話し方のアプローチを間違えているかのどっちかだ。こういう時の選択肢や会話は基本的に下に出ておかないといけない。
 と言うか、冒険者扱いされるんだな、その辺の設定ってあまり興味なかったから、そんな風にNPCに認識されているとは思わなかったな。


「で、まあ……何度も話してるだろうけど、この村で何が起こっているかを話してもらいたい」
「そうだな、特には起こっていないが……なぜ、この村に?」
「……そう、ね……何事も、最悪を想定して動くから、かしらね。それで一応調査と滞在の許可をもらいたいんだけど」
「それは構いませんが……本当に何もないですよ」
「何もなければそれで良し、何かあれば解決に、村の平和を考えれば悪い話ではないと思うが」
「確かにそうですね、村人との揉め事は勘弁してもらいたいですが」

 それにしてもどうやってギルドは怪異と断定したんだろうか。もう少し情報と言うか若い子にも話を聞いておかないと判断できないな、中年~老人の間しか話を聞いてないし。
 何にせよ情報はまだまだ足りないな。
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