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1章

33話 計画2 装備強化(準備編)

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 一つ気が付いた事がある。
 銃を装備しているしていないという部分でのステータスの大幅弱体化は無かった。つまり銃弾を撃てない、銃剣を使えない状態で銃を攻撃に使ったりすると弱体化補正が掛かると言う事。
 まあたまたまと言うか、慌てて銃を装備していない状態で東エリア1を走り回ったおかげなのだが……四六時中銃を装備しておく必要はないと分かったが、それはそれで隠し事しているような気がするので、常に装備してやる。

「それにしても攻略とか前線組ってどんなレベリングしてんだろ、PT前提でごり押すというのは分かるけど」

 とりあえず今からやる事はひたすら鍛冶だ。丁度よくナイフも無くなってるし銃剣も破損して無くなっている。

「っていうか自作するならアタッチメント部分にも手をだすか?」

 と、あれやこれやと作るものをとりあえずメモ帳に記入していく途中で立ち止まり、しばし考える。こうやってあれもこれもやってるから全く先に進んでないんだろうが、と。

「だから一個ずつやれって!私!」

 余計な考えをとりあえず叫んで払う。道端で急に叫んでいかつい顔しているドラゴニアンとか危なすぎる。とにかく能力的な部分でのレベリングは目標していた所まで上げたので貯め込んだ素材を使いこんで、鍛冶と裁縫を進めて装備を強化、そしたらダンジョンの情報を探してアタック。よし、まあ計画通り。




 そういえば今までギルドに所属するというのを考えていなかった。
 今後の事を考えると鍛冶、木工、錬金に入って成功補正に少しでもプラスを入れておくのがセオリーだろうか。とにかく一つ目は鍛冶で決定だし、ナイフに代わるものを作らなければならないので、優先事項は高いだろう。
 これからやる事もまず鍛冶だし?
 そう思ってさっさと鍛冶ギルドの受付に、ショップ店員以外と話すのって久々かもしれない。

「ここは鍛冶ギルドじゃ、何の用かの?」

 髭面の爺さんが受付で出迎えてくれる。やっぱりファンタジー系の鍛冶職人って言えばドワーフとかこういう髭面の職人気質な人だよね、ものすごく例に漏れない人選すぎて逆に感動する。
 ただこのゲームの捻くれてる所は低身長のよくあるドワーフと言う感じではなく、ムキムキマッチョの長身髭面爺と言う所だろう、しかも何故か上半身裸だし。

「ギルド所属したいんだけど」
「おお、ギルド員希望か、では此方にまずサインを」

 いつものメニュー画面が目の前に開いてくるが、契約書のような形をしている。


『鍛冶ギルドに所属する事を此処に誓いますか?』


 と言った文面の下に名前を書く空欄がある。単純なYes/Noの選択肢で決定させない所はちょっと面白い。って思ったのだがこれ、普通に指で書けばいいのだろうか?試しに「アカメ」とカタカナで画面上に指で書いてみる。


『認証されました。ようこそ鍛冶ギルドへ』


 光の粒子が舞い上がりながら表示されていた画面が消えていく。こういうゲーム演出とか結構楽しいし、面白い。ぽちぽち押してオッケーってのも早くて嫌いではないのだが細かい演出って大事だって痛感するわ。

「これで手続きは完了じゃ、施設の案内は必要かの」
「それじゃあ、聞いておこうかしら」
「うむ、殊勝な心意気じゃのう、まずここの受付右にあるのがギルド用のクエスト掲示板じゃ、鍛冶ギルドで受けられる物は他の街に行っても共通じゃし、ギルドでしか報告と受注はできんから注意するんじゃぞ」

 びしっと掲示板の方を指し示す。納品とか生産系のクエストだろう、あれ作ってこいとか、あれ持ってこいとかそういう奴。後で目を通しておけば問題ないだろう。

「逆に受付左に進めば炉や金敷、生産施設が使えるのはしっておるかの、ギルド所属になったからギルド員専用施設も解放されるが、ギルドのランクが低いと普通の奴に毛が生えた程度しか良くはないものしか使えんがのう」

 髭をもしゃもしゃと触りながら笑ってる。この爺、何か知らんが気にいるわ。

「ギルドランクはギルドクエストを進めていけば上げる事が可能じゃ、上げる事で質のいい施設を使えるようになるぞ」
「私、本当に何やってんだろな」

 説明を聞くたび、ガンナーって何なんだろうか。遠回りしているのは確かに私のせいなんだけど。いや、そもそも運営がこの縛りを……見越してないよね。

「続けるぞ、受付の隣にはショップもあって、そっちで道具や素材も買える。ギルドランクも上がればショップの品揃えも良くなるし、割引も掛かるから頑張るんじゃぞ」
「とにかくランクを上げて快適に、って感じね」
「うむ、察しのいい若者は嫌いじゃないぞ!」
 
 豪快に笑いながら私の肩をばしばしと叩く。ああ痛い。NPCからのスキンシップとか接触に関してはハラスメントブロックの適用外になる。
 こういうのでクエストの進行や好感度の度合いが分かるらしい。
 NPCなりのスキンシップだし、悪気はないのでしょうがない。悪気のある奴は大体イベントかクエスト絡みだ。

「大体こんな所じゃの、頑張ったらワシからご褒美でもやらんとな!」
「まあ、宜しく」

 このままこの爺さんのペースで話しているとしばらく解放されない気がするので、良い所で話を切ってクエストの方へと。とりあえず装備に関しては店売りナイフよりも強くてあまり重くのない物を作れれば幸いだ。かといってレア素材がいるとか量産できない物なら破損を考えれば必要がない。
 カスタマイズのレベルが上がれば破損率が落ちたり、使った装備が元に戻ったりするのだろうか。全部自前でやらなきゃならないというのはこう言う所で弊害が起きる。
 人口が少ないというか私しかいないから専用スキルは全部自前で上げて確認してみないといけないわけだが、SPのやりくりも課題になる。まったく、悩ませてくれる。

「とにかく今は鍛冶クエストやらんとね」


クエスト名:鍛冶ギルドへようこそ
詳細:受付で説明を受ける
報酬:鍛冶ハンマー


 もらえるんかい!金払って買ったよ、私は!くそ、貰ったら速攻で売ってやる。速攻で受注して受付に行って説明を……と思ったが。

「さっき説明したじゃろ?ほれ、持っていけい」

 報酬の鍛冶ハンマーを貰う。AI搭載NPCなだけであって融通が利くの、凄い便利。和ゲーだともう一回説明聞いてうだうだ時間掛かったりするのに。
 ちなみに貰った鍛冶ハンマーは以前購入したものとなんら変わりはない、デスペナで所持金無くすのを考えたら今売らなくてもいいか。

「入門クエスト終わらせたらいっぱい出てきたわ……納品に作成物を見せるのが基本みたいね」

 とりあえず達成できそうなものをさっくりと受けておく。


クエスト名:製錬をしてみよう
詳細:金属インゴットを1個作成 種類は問わない
報酬:鉄の延べ棒×2 ギルド貢献度2


 この報酬のギルド貢献度がギルドのランクを上げるポイントになるわけだ。どれくらいの数値がいるのかは分からないが、稼いでおいて損はないから稼ぎまくるよね。これもすでに自分で作ってるのでさっさと受付にいる爺さんに見せて達成報告完了。鉄延べ棒2本も貰っちゃったよ。

「今までやってた事、無駄じゃなかったわ、ほんと」


クエスト名:鍛冶をしてみよう
詳細:鍛冶で装備品を1個作成 種類は問わない
報酬:鉄の延べ棒×2 ギルド貢献度2


 新しいクエストを受けてから、そういえばと思って受付の爺さんに尋ねる。

「レシピとかないの?」
「ほほう、もう気になるのか、よしそれじゃあおしえちゃる……基本的にショップで購入するか、レシピ自体を見つけたり聞いたりすればそれを作れる、勿論自由に作って形になればそれもレシピとして登録されるんじゃ」
「ふむ……やっぱ自由に作るのは難易度高いのか」
「なれていたりレシピを元に作るのが成功率が高いじゃろうな」

 やっぱりいきなり銃身作ろうとするのは難易度高いわけだ。そもそも鍛冶ギルドは装備品中心だから銃器のパーツはまたベクトルが違いそうだけど。

「勉強熱心な若者にはプレゼントもやらんとのう?」


レシピ:金属武器入門
詳細:金属製武器のレシピ詰め合わせ


「やだ、この爺イケメン」
「カッコいいじゃろ、ワシ」

 半裸で筋肉見せつけている爺さんに礼を言いながら、生産施設の方に。とりあえずやる事としてはくず鉄と銅の製錬を済ませてから、武器を作るとしよう。
 火を入れた炉に前と同じように鉱石をぶち込み、しばらく待つ。まだ数回しかやってないけど慣れたもんだ。
 あっという間にくず鉄140個、銅鉱石30個がくず鉄の延べ棒28本、銅の延べ棒6本に。ついでにくず鉄延べ棒を5個炉にぶち込み、精錬してみる。成功すれば多分鉄になるんじゃないかな?
 じっくりと溶けて不純物が飛ぶのを待ってしばらくすると。


名称:鉄の延べ棒
詳細:製錬済みの鉄 鍛冶と言えばこれ


 やっぱりできた。多分製法的にはもっと別の物もあるんだろうけど、くず鉄の延べ棒30本がさらに鉄の延べ棒6本に。やっぱりくず鉄だからって舐めてたらいけないね。

「って言うか色々作れるの楽しいわ……んで、あとは作った鉄の延べ棒で……」

 メニューを開き、レシピを選択。何を作るか選択が出てくるのでとりあえずナイフを作る。炉と金敷を用意して、熱した延べ棒を叩いて成形していく。STRが低いとかは関係ないので普通に装備した鍛冶ハンマーでがんがんと叩いていく。
 こっちもあっという間に出来るので時間的な無駄がない、とっても素敵。


名前:ナイフ 武器種:短剣
必要ステータス:STR1 DEX1
攻撃力:+3 命中:+15
効果:無し
詳細:短剣入門用安いなりの性能
製作者:アカメ


「弱いとは言え自作できると感動出来るわね」

 出来上がったナイフは店売り品となんら変わりはない。本当なら最初は銃であってほしかったが、それはしょうがない。出来上がったのでさっさと受付の爺さんに見せて報告完了。
 上半身裸の筋肉もりもりマッチョマン以外はまともな相手じゃない?今まで散々変な奴にしか絡まれてこなかったから聖人に見えてきた。報酬もくれるし。

「この調子でしばらくここでクエスト受けて自作しようかしらね」

 アカメ、しばらくガンナーやめるってよ。
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