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第二章 本部編
64 説明
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「コイツらは第二連隊の隊員で小鬼の……」
「はいはーい! 私は超ウルトラキュートな女の子のシュリちゃんでーす!」
「お、おねぇちゃん、初対面の人にそれは失礼だと思うよ……あの、僕の名前はソウヤです……」
超ハイテンションなお姉ちゃんのシュリとおどおどしっぱなしのソウヤが俺に自己紹介してくれたので俺も自己紹介をする。
「医療班で手伝いをしてるサタローです。よろしくね」
「よろしくおねがいしまーす」
「よ、よろしくです」
姉弟だというのに性格が全然似ていない。しかし見た目はかなり似ている。
なんというかこの世界の女の子はみんな逞しいというか、ぐいぐいくる子が多い気がする。
ソウヤの方はこの世界に来て初めて見るタイプである。自己主張が激しい連中が多い中でこの引っ込み思案な性格は珍しい。
見た感じシュリとソウヤはマオよりも少しだけ年上のようにみえる。
何にせよエロいことばかり考えている連中が多い中での、純粋無垢な子どもたちは俺にとっての癒しだ。
俺は仏のような清らかな心で二人の小鬼を眺めていた。そんな俺にパスカルが話しかけてくる。
「ほれ、これを背負え」
「え……何これ、リュック?」
パスカルが渡してきたのは少し大きめのリュックだった。持ってみると結構な重さがある。中身を見てみるとからのビンがたくさんは入っており、たぶん聖水を入れるためのビンだろう。
パスカルは俺だけでなく、マオやシュリ、ソウヤにも何かを渡している。3人には俺とは違い薬草を入れるための背負かごを渡しているようだ。
「さて、では薬草&聖水を採りにレッツゴー!!」
「「「おー!!」」」
「……おー」
子どもたちのテンションに押されながら、森へ歩みを進めた。気分はまさに引率の保護者だ。
◇◇◇
「はぁ、はぁ……ねぇ、まだなのか」
「なんだもう疲れたのか、情けないな……あいつらを見てみろ」
森に入ってから30分は歩いている気がするが、目的の場所へは一向につかない。普通の道なら俺だってこんなには疲れないが、森の中は木の根が地面から顔を出していたり、大きな石が埋まっていたりしてお世辞にも歩きやすい道とは言えなかった。
息を切らしている俺は前を無邪気に歩く3人のおちびーずに目をやる。
「まてー!」
「きゃーにげろー!」
「こっちくるなー!!」
3人は仲良く鬼ごっこをしていた。こんな悪路でよく鬼ごっこなんてできるものだ。さっきまでは木登りしていたというのに子どもってとんでもない体力をしていると驚かされる。
もしかしたら俺が体力無さすぎるだけなのかもしれないが、できればそうであってほしくない。
まだまだ目的地には着きそうにないので気晴らしにパスカルに聞きたかったことを質問する。
「なぁ、ポーション作りには魔力を使うんだろ。俺がポーション作りしたらせっかくもらった魔力を消費しちゃうんじゃないのか?」
「あぁ、そうだな」
「そうだなって!! それ俺の寿命が縮むってことなんだぞ!!」
あっさり俺の言葉に肯定したパスカルにすぐさまツッコミを入れる。
「わかっておるわい……」
「ならどういうつもり何だよ」
「もしかしたら、ポーションを作ることでサタローが魔力をもらう頻度が少なくなるかもしれないと思ったんだがな……まぁ、別にサタローがアルたちとたくさんエッチしたいんならいいんだけど──」
「!! 何だよそういうことならもっと早く言えよな!さすがパスカル頼りになるんだから」
パスカルの言葉に華麗な手のひら返しをする。
エッチする行為自体は気持ちいいし、嫌いではないんだけど本来ああいう行為は恋人同士でするものであって、気軽にやっていいものではない。それにみんなに迷惑かけているわけだからその頻度が減るのは素直にありがたい。
俺はアルとギルとレオ以外の男とはそういうことはしないと決めているのだ。これ以上軍の人たちに迷惑をかけるわけにはいかないからね。
「それで、何でポーション作りが延命に繋がるんだよ?」
「ポーション作りをすることで、魔力の使い方を覚えるためだ」
「使い方?」
「うむ、魔法が使えないものは基本的に魔力の使い方の感覚がわからないんだ。だから無駄に魔力を使って生活している。別に魔力が作れるものなら減った分だけ作ればいいだけだから問題ないが、サタローお前は違うだろう。」
そうだ。俺は魔力が作れないから使った分だけみんなに補給してもらう必要がある。納得がいくパスカルの説明に疲れていたことも忘れて真剣に話を聞いていた。
「でもポーション作りでは直接鍋に魔力を注ぐから魔法が使えなくても作れる。魔力を注ぐ量の調節をポーション作りで覚えれば効率良く魔力を消費できるようになり、サタローの寿命も伸びるかもしれないというわけだ」
「な、なるほど……」
パスカルのわかりやすく理屈が通っている説明に感心してしまった。何やかんやでこうして俺のことを真剣に考えてくれているパスカルに頭が上がらない。
パスカルにありがとうと伝えようとした瞬間に、天使マオの声が聞こえた。
「クンクン……あっちからいい匂いがするよ!」
鬼ごっこをしていたマオが立ち止まりクンクンと鼻を鳴らしている。
「よーし、あっちだー! ほらソウヤもいくよ!」
「ま、まってよ~、おねぇちゃん、マオ~」
「なっ!! おいお前ら! そっちには薬草はないぞ!!」
3人は俺たちの存在なんか忘れているようで、パスカルの止める声も聞かずに道を外れて森の奥へ走っていく。全く子どもは本当に奇想天外な行動をするものだ。呆れながらも疲れからか感心してしまう。
そんなのんびりしている俺とは違いパスカルはご立腹なご様子。
「ったくあいつら~、連れ戻してくるからサタローはここで待っていろ」
「はーい」
そういったパスカルは、3人が走っていった森の方に向かっていった。
俺は疲れてついていくに気になれず、リュックを下ろし、近くの木陰に座り休憩することにした。
──まさかこの後あんなことになるなんてこの時の俺は想像もしていなかった。
「はいはーい! 私は超ウルトラキュートな女の子のシュリちゃんでーす!」
「お、おねぇちゃん、初対面の人にそれは失礼だと思うよ……あの、僕の名前はソウヤです……」
超ハイテンションなお姉ちゃんのシュリとおどおどしっぱなしのソウヤが俺に自己紹介してくれたので俺も自己紹介をする。
「医療班で手伝いをしてるサタローです。よろしくね」
「よろしくおねがいしまーす」
「よ、よろしくです」
姉弟だというのに性格が全然似ていない。しかし見た目はかなり似ている。
なんというかこの世界の女の子はみんな逞しいというか、ぐいぐいくる子が多い気がする。
ソウヤの方はこの世界に来て初めて見るタイプである。自己主張が激しい連中が多い中でこの引っ込み思案な性格は珍しい。
見た感じシュリとソウヤはマオよりも少しだけ年上のようにみえる。
何にせよエロいことばかり考えている連中が多い中での、純粋無垢な子どもたちは俺にとっての癒しだ。
俺は仏のような清らかな心で二人の小鬼を眺めていた。そんな俺にパスカルが話しかけてくる。
「ほれ、これを背負え」
「え……何これ、リュック?」
パスカルが渡してきたのは少し大きめのリュックだった。持ってみると結構な重さがある。中身を見てみるとからのビンがたくさんは入っており、たぶん聖水を入れるためのビンだろう。
パスカルは俺だけでなく、マオやシュリ、ソウヤにも何かを渡している。3人には俺とは違い薬草を入れるための背負かごを渡しているようだ。
「さて、では薬草&聖水を採りにレッツゴー!!」
「「「おー!!」」」
「……おー」
子どもたちのテンションに押されながら、森へ歩みを進めた。気分はまさに引率の保護者だ。
◇◇◇
「はぁ、はぁ……ねぇ、まだなのか」
「なんだもう疲れたのか、情けないな……あいつらを見てみろ」
森に入ってから30分は歩いている気がするが、目的の場所へは一向につかない。普通の道なら俺だってこんなには疲れないが、森の中は木の根が地面から顔を出していたり、大きな石が埋まっていたりしてお世辞にも歩きやすい道とは言えなかった。
息を切らしている俺は前を無邪気に歩く3人のおちびーずに目をやる。
「まてー!」
「きゃーにげろー!」
「こっちくるなー!!」
3人は仲良く鬼ごっこをしていた。こんな悪路でよく鬼ごっこなんてできるものだ。さっきまでは木登りしていたというのに子どもってとんでもない体力をしていると驚かされる。
もしかしたら俺が体力無さすぎるだけなのかもしれないが、できればそうであってほしくない。
まだまだ目的地には着きそうにないので気晴らしにパスカルに聞きたかったことを質問する。
「なぁ、ポーション作りには魔力を使うんだろ。俺がポーション作りしたらせっかくもらった魔力を消費しちゃうんじゃないのか?」
「あぁ、そうだな」
「そうだなって!! それ俺の寿命が縮むってことなんだぞ!!」
あっさり俺の言葉に肯定したパスカルにすぐさまツッコミを入れる。
「わかっておるわい……」
「ならどういうつもり何だよ」
「もしかしたら、ポーションを作ることでサタローが魔力をもらう頻度が少なくなるかもしれないと思ったんだがな……まぁ、別にサタローがアルたちとたくさんエッチしたいんならいいんだけど──」
「!! 何だよそういうことならもっと早く言えよな!さすがパスカル頼りになるんだから」
パスカルの言葉に華麗な手のひら返しをする。
エッチする行為自体は気持ちいいし、嫌いではないんだけど本来ああいう行為は恋人同士でするものであって、気軽にやっていいものではない。それにみんなに迷惑かけているわけだからその頻度が減るのは素直にありがたい。
俺はアルとギルとレオ以外の男とはそういうことはしないと決めているのだ。これ以上軍の人たちに迷惑をかけるわけにはいかないからね。
「それで、何でポーション作りが延命に繋がるんだよ?」
「ポーション作りをすることで、魔力の使い方を覚えるためだ」
「使い方?」
「うむ、魔法が使えないものは基本的に魔力の使い方の感覚がわからないんだ。だから無駄に魔力を使って生活している。別に魔力が作れるものなら減った分だけ作ればいいだけだから問題ないが、サタローお前は違うだろう。」
そうだ。俺は魔力が作れないから使った分だけみんなに補給してもらう必要がある。納得がいくパスカルの説明に疲れていたことも忘れて真剣に話を聞いていた。
「でもポーション作りでは直接鍋に魔力を注ぐから魔法が使えなくても作れる。魔力を注ぐ量の調節をポーション作りで覚えれば効率良く魔力を消費できるようになり、サタローの寿命も伸びるかもしれないというわけだ」
「な、なるほど……」
パスカルのわかりやすく理屈が通っている説明に感心してしまった。何やかんやでこうして俺のことを真剣に考えてくれているパスカルに頭が上がらない。
パスカルにありがとうと伝えようとした瞬間に、天使マオの声が聞こえた。
「クンクン……あっちからいい匂いがするよ!」
鬼ごっこをしていたマオが立ち止まりクンクンと鼻を鳴らしている。
「よーし、あっちだー! ほらソウヤもいくよ!」
「ま、まってよ~、おねぇちゃん、マオ~」
「なっ!! おいお前ら! そっちには薬草はないぞ!!」
3人は俺たちの存在なんか忘れているようで、パスカルの止める声も聞かずに道を外れて森の奥へ走っていく。全く子どもは本当に奇想天外な行動をするものだ。呆れながらも疲れからか感心してしまう。
そんなのんびりしている俺とは違いパスカルはご立腹なご様子。
「ったくあいつら~、連れ戻してくるからサタローはここで待っていろ」
「はーい」
そういったパスカルは、3人が走っていった森の方に向かっていった。
俺は疲れてついていくに気になれず、リュックを下ろし、近くの木陰に座り休憩することにした。
──まさかこの後あんなことになるなんてこの時の俺は想像もしていなかった。
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