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第四世代
丈編 容赦しなきゃいけない理由
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だが、晴の縄張りに関しては、さすがに彼の寝床になってる岩の窪みがある辺りまでは近付かなかったものの、一部は縄張りが重なってしまっていた。
その辺りには、晴も頻繁に姿を現すわけじゃなかったから、そこまで危険だとも思わなかったんだろう。
しかしそれは、
『安全である』
ことを保証するものじゃない。あくまで、
『比較的危険が少ない』
というだけだ。
だからこの日、パパニアンにとっては悪夢のような危険と鉢合わせてしまった。
群れの斥候役である小集団が、晴が待ち構えていたところにやってきてしまったんだ。
かつて誉も、今の群れに加わった時に経験した役目だ。そこで経験を重ね実績を積むことで群れでの信頼を勝ち取っていった。
そして今回の小集団にも、その時の誉によく似た感じの、まだ幼体と言っていい若い個体が同行していた。ごくごく普通の光景だ。さらには、この後の光景も、ここじゃ別に<普通>なんだ。
まだ未熟な者ばかりの小集団だったらしく、危険に対する備えも甘かった。だから、気配を消していた晴に気付かなかった。俺にはまったく見分けられないマンティアンの<隠形>を見抜くパパニアンもそれなりにいる。確実に常にというわけじゃないにせよ、気付ける時は気付くんだ。
生きるために、生き延びるために、切実に必要な能力だろうからな。しかしそれを身に付けている者はいなかったようだ。だから、
<幼体と言っていい若い個体>
が晴に捕らえられてからようやくマンティアンがいることに気付いて、
「ぎゃあっっ!! ぎゃああっっ!!」
本気の悲鳴を上げながら、それこそ小便を漏らしながら、我先にと必死で逃げていった。
当然、捕らえられた仲間を助けようともしない、まあ、もししようとしてもただの無駄な努力に終わるところだろうというのも事実。むしろ、運の悪い奴が捕らえられて食われているうちに逃げるのは、正しい選択だ。パパニアンとしては。
そして捕らえられた若い個体も、自身に降りかかった事態を察して恐怖のあまり小便を漏らし、糞まで漏らした。これもまた当然の反応だな。
そんなパパニアンの反応に対しても晴は容赦がない。彼にとっては<ただの餌>でしかない以上、容赦しなきゃいけない理由がない。
これがもし、捕らえたマンティアンが俺の家族でも仲間でもなくて、反対にパパニアンの方が俺の家族や仲間だった場合には、間違いなく助けようとしてただろう。そもそもこんな風に遭遇してしまわないように対処するけどな。
その辺りには、晴も頻繁に姿を現すわけじゃなかったから、そこまで危険だとも思わなかったんだろう。
しかしそれは、
『安全である』
ことを保証するものじゃない。あくまで、
『比較的危険が少ない』
というだけだ。
だからこの日、パパニアンにとっては悪夢のような危険と鉢合わせてしまった。
群れの斥候役である小集団が、晴が待ち構えていたところにやってきてしまったんだ。
かつて誉も、今の群れに加わった時に経験した役目だ。そこで経験を重ね実績を積むことで群れでの信頼を勝ち取っていった。
そして今回の小集団にも、その時の誉によく似た感じの、まだ幼体と言っていい若い個体が同行していた。ごくごく普通の光景だ。さらには、この後の光景も、ここじゃ別に<普通>なんだ。
まだ未熟な者ばかりの小集団だったらしく、危険に対する備えも甘かった。だから、気配を消していた晴に気付かなかった。俺にはまったく見分けられないマンティアンの<隠形>を見抜くパパニアンもそれなりにいる。確実に常にというわけじゃないにせよ、気付ける時は気付くんだ。
生きるために、生き延びるために、切実に必要な能力だろうからな。しかしそれを身に付けている者はいなかったようだ。だから、
<幼体と言っていい若い個体>
が晴に捕らえられてからようやくマンティアンがいることに気付いて、
「ぎゃあっっ!! ぎゃああっっ!!」
本気の悲鳴を上げながら、それこそ小便を漏らしながら、我先にと必死で逃げていった。
当然、捕らえられた仲間を助けようともしない、まあ、もししようとしてもただの無駄な努力に終わるところだろうというのも事実。むしろ、運の悪い奴が捕らえられて食われているうちに逃げるのは、正しい選択だ。パパニアンとしては。
そして捕らえられた若い個体も、自身に降りかかった事態を察して恐怖のあまり小便を漏らし、糞まで漏らした。これもまた当然の反応だな。
そんなパパニアンの反応に対しても晴は容赦がない。彼にとっては<ただの餌>でしかない以上、容赦しなきゃいけない理由がない。
これがもし、捕らえたマンティアンが俺の家族でも仲間でもなくて、反対にパパニアンの方が俺の家族や仲間だった場合には、間違いなく助けようとしてただろう。そもそもこんな風に遭遇してしまわないように対処するけどな。
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