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第四世代

丈編 ロボットならではの戦い方

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新暦〇〇三八年六月十一日



新たに配備されたホビットMk-Ⅱは、先にも触れたようにドーベルマンDK-aとリンクしてその指揮下で、と言うか、ドーベルマンDK-aの一部として機能している。

そして、じょうりくの縄張りがある区域を管轄してるのが、ドーベルマンDK-a拾弐じゅうに号機だった。

定期的にメンテナンスを受けてるとはいっても、人間のように休息を取るわけでもなく常に活動していては、すぐに汚れてきてしまう。

今も、細かな汚れや、木々の枝葉、下草の一部がちぎれて引っかかっていたりする。

だから、人間の目には薄汚れても見えるんだが、野生の生き物にはやっぱり異様に見えるらしく、強く警戒されている。

すでに、生まれた時からドーベルマンDK-aの姿を見てきている生き物も多くなったはずでありつつ、見慣れてきたりはしてるのかもしれないのもありつつ、異物感がある上に、生き物の感覚からすれば『途轍もなく強すぎる』というのもあるのかもしれない。

猪竜シシなんかは割と無謀なところがあるから襲い掛かってきたりもするものの、今のドーベルマンDK-aなら危なげなく退けることもできる。

それこそ命までは奪わない形で手加減をしてでもな。

ただ、これがホビットMk-Ⅱとなると事情は違って、ここまでにもアップデートを繰り返してきたことで確実に強くはなってきてるとはいえ、いかんせん機体を構成する材料の強度が十分じゃないから出力を上げられず、しかも強い衝撃を受けると機体に歪みが出てしまうのもあり、真正面からぶつかることもできないんだよな。

とはいえ、そこもロボットならではの戦い方で対処もできる。

猪竜シシのデータもかなり蓄積されてきているから、動きを予測して、しかもその場の実際のデータも加味して補正しつつ対応するんだ。

動物なんかでも瞬間的に反応してみせる者もいるが、すべての個体が同じようにできるとは限らない。しかし、今のホビットMk-Ⅱなら、機体にトラブルでも生じていない限りは、すべての機体で同じことができる。

実際この時、猪竜シシと遭遇したホビットMk-Ⅱが、ひらりひらりと突撃を躱しつつ、脚のタイヤの一撃を食らわしてみせていた。

他の獣であればそれでもう撃退できたりするほどの攻撃ではあるものの、猪竜シシは特に頑健な肉体を持ってることもあってか、なかなか引き下がってくれない。

人間の場合はスタミナが続かず、それで負けたりもするにしても、ロボットはその心配もない。

俺達の集落とその周辺をいくつもの無線給電機でカバーしてるから、エネルギー切れを気にする必要もないしな。

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