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第四世代
深編 認めてやれる社会
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新暦〇〇三八年四月十日
<そう感じてしまうという感覚>
というのは、残念ながら当人にもどうにもならないことが少なくない。<好き嫌い>ってのはまさしくそれだろう?
『どうしても好きになれない』
ってのは現にあるだろう? 食べ物にしたって、
『自分にとってはどうしても美味いと思えない。だから食べたくない』
ものがあったりするのは、たいていの人間がそうだろう? 加えて、
『この人のことはどうしても好きになれない』
場合があったりするのも別に不自然じゃないだろう? 好きになれない相手を受け入れないことを、
『差別だ!』
みたいに言われて納得できるか?
『この人のことはどうしても好きになれないから付き合いたくない。結婚なんかしたくない』
と思ってるのにそれを差別だと言われて無理矢理付き合わされたり結婚させられることを受け入れられるのか?
できないならそういうことだよな。
そういう感覚が現にあることを認めないというのも、
『多様性を認めない』
って話になってしまうはずだ。自身を認めてもらたいと思うなら、他者も認めなきゃダメなんだよ。もちろんそれは、どちらの立場であってもだ。どちらか一方だけが無制限に認めてもらえるなんてのは、いずれは破綻するし、実際に地球人の歴史上、破綻してきたはずだ。
『喫煙者は、いつでもどこでも好きなように煙草を吸える』
なんてのが認められなくなったのも結局はそれだろうからな。嫌煙の流れに向くようになったのは、いつでもどこでも好き勝手に煙草をふかす喫煙者の振る舞いに耐え切れなくなったのが少なくなかったからだろうし。そしてそういうのが社会の仕組みを作る側にいたからだろうし。
自分にばかり甘かったからしっぺ返しを食らっただけだろうな。元からもっとわきまえた振る舞いができていれば、そこまで嫌われなかっただろうに。
しかもこれは、他にも当てはまるだろうさ。
『自分にばかり都合のいい主張を押し付けようとすれば反発される』
なんてのも分かり切ったことじゃないのか?
だから俺は、誰かにばかり都合のいい社会を作ろうとは思ってないんだ。お互いに少しずつ妥協して折り合って、そうして社会を成り立たせていかなきゃと思ってる。
実の兄妹で愛し合い、今も仲睦まじく暮らしている焔と彩のこともそうだし、結果として別れてしまった新と凛のこともそうだし、性分化疾患で雄でも雌でもない存在として生きて子孫を残せない按のこともそうだ。
あいつらのことを認めてやれる社会を作らなきゃいけないんだよ。
俺はな。
<そう感じてしまうという感覚>
というのは、残念ながら当人にもどうにもならないことが少なくない。<好き嫌い>ってのはまさしくそれだろう?
『どうしても好きになれない』
ってのは現にあるだろう? 食べ物にしたって、
『自分にとってはどうしても美味いと思えない。だから食べたくない』
ものがあったりするのは、たいていの人間がそうだろう? 加えて、
『この人のことはどうしても好きになれない』
場合があったりするのも別に不自然じゃないだろう? 好きになれない相手を受け入れないことを、
『差別だ!』
みたいに言われて納得できるか?
『この人のことはどうしても好きになれないから付き合いたくない。結婚なんかしたくない』
と思ってるのにそれを差別だと言われて無理矢理付き合わされたり結婚させられることを受け入れられるのか?
できないならそういうことだよな。
そういう感覚が現にあることを認めないというのも、
『多様性を認めない』
って話になってしまうはずだ。自身を認めてもらたいと思うなら、他者も認めなきゃダメなんだよ。もちろんそれは、どちらの立場であってもだ。どちらか一方だけが無制限に認めてもらえるなんてのは、いずれは破綻するし、実際に地球人の歴史上、破綻してきたはずだ。
『喫煙者は、いつでもどこでも好きなように煙草を吸える』
なんてのが認められなくなったのも結局はそれだろうからな。嫌煙の流れに向くようになったのは、いつでもどこでも好き勝手に煙草をふかす喫煙者の振る舞いに耐え切れなくなったのが少なくなかったからだろうし。そしてそういうのが社会の仕組みを作る側にいたからだろうし。
自分にばかり甘かったからしっぺ返しを食らっただけだろうな。元からもっとわきまえた振る舞いができていれば、そこまで嫌われなかっただろうに。
しかもこれは、他にも当てはまるだろうさ。
『自分にばかり都合のいい主張を押し付けようとすれば反発される』
なんてのも分かり切ったことじゃないのか?
だから俺は、誰かにばかり都合のいい社会を作ろうとは思ってないんだ。お互いに少しずつ妥協して折り合って、そうして社会を成り立たせていかなきゃと思ってる。
実の兄妹で愛し合い、今も仲睦まじく暮らしている焔と彩のこともそうだし、結果として別れてしまった新と凛のこともそうだし、性分化疾患で雄でも雌でもない存在として生きて子孫を残せない按のこともそうだ。
あいつらのことを認めてやれる社会を作らなきゃいけないんだよ。
俺はな。
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