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第四世代

光編 自分の感覚がまったく通用しない異なる世界

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『ある日突然、自分の感覚がまったく通用しない異なる世界に放り出された』

そうだな。『人間の赤ん坊としてこの世に生まれる』というのは、結局、そういうことなんだと実感する。

俺がこの惑星朋群ほうむで遭難した時には、エレクシアが傍にいてくれたから、安心しかなかったけどな。

でも、もし、エレクシアもおらず、さらには鵺竜こうりゅうがうろついているところに一人で放り出されたとしたらどうだ? たとえ鵺竜こうりゅうが俺に対してそれほど敵対的でなかったとしても、

『敵対していないことを確かめる』

までにもそれなりに時間が必要だろう。穏やかに柔和に接してきてもらえればまだしも、いつもイライラした様子で何かといえば吠えて牙を剝いて、場合によっては暴力を振るってくるとなればどう感じると思う? 自分の身を守るためにこっちも攻撃的になるしかないだろうが。

もしくは、表面上は従順に振る舞いながら、相手の弱点を探していつか自分の方が優位に立つことを狙ったりしないか?

『暴力的な親の下に生まれる』というのはそういうことなんだろうとつくづく思い知らされる。

それでも野生の獣であれば成長も早くすぐに力を付けられるから、早々に対等な立場にもなれるだろうけどな。

しかし人間の場合、中学生になるくらいまでは、たいていの子供は親にはまったく敵わないだろう。それだけ恨みを溜める時間も長くなるし、何より人間はその高い知能ゆえに恨みを忘れない。それどころか恨みを拗らせていったりすることさえある。

だから何十年も経ってから報復されることもあるんだろうな。

それを考えれば、最初から丁寧に穏やかに物腰柔らかく接しておく方が結局は良好な関係を築けるとは思わないか?

いや、実際にそうなんだよ。俺がひかりあかりと良好な親子関係を築けたのは、それが理由なんだ。こんな恐ろし気な世界にいきなり連れ出したんだから、その世界で最も確かな<味方>として俺の存在を認識してもらえるように努めたからこそ、彼女達は俺を信頼してくれている。

その当たり前をすることをなぜ拒む? 『面倒臭い』『手間を掛けたくない』なんて言って手を抜くことばかりを考える? そんなことをしてるから子供に信頼されないんだろう?

これまでも何度も言ってきたように、親だってただの人間だから完璧じゃいられないさ。でも、『子供にとっての味方でいる』ことはできるだろう? 『子供にとって恐ろし気な怪物でいないようにする』程度のことはできるだろう? なぜそうしない?

それをする努力もせずに、

『子供が懐いてくれない』

なんてのは、

『甘えるのもほどほどにしろ』

としか思わないぞ。

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