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第四世代

光編 血まみれの歴史

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これまでにも何度も説明したと思うが、AIはあくまで人間(地球人)が運用する道具だから、基本的に人間(地球人)を最優先にするように作られている。それは結局、人間(地球人)も人間(地球人)以外の動物も等しく大切にしようとすると<論理の衝突>が起こるからだ。回避しようのない矛盾が生じるからだ。

だから徹底して人間(地球人)の身体生命を優先し、人間(地球人)以外の動物のそれについては、人間(地球人)を犠牲にしないことを条件に保護するという形になっているんだよ。

ただし、人間(地球人)の側が法に背いて動物を虐げようとすればそれについては法に基づいて対処するけどな。どこまでも法の範囲で。

ゆえにここ惑星朋群ほうむでも、ひかり達が人間(地球人)である俺を害しようとしない限りはしっかりと保護されるし、人間(地球人)に対するそれに準じた対応もしてくれる。普段の生活であればその違いを認識できない程度には。

AIには人間(地球人)のような感情がないから、人間(地球人)以外の動物を蔑むような意識も存在しないしな。

『人間(地球人)の身体生命に影響のない範囲で保護しろ』

と言われればその通りにする。そこになんの疑問も不満も抱かない。接し方に極端な差異も生じない。人間(地球人)ではなくともほとんど人間(地球人)と違わない生態を持つならそれにきちんと合わせてくれる。守ってくれる。

だから、現状、地球人社会製AIであっても現実的な問題は生じていない。あくまで人間として、

『<朋群ほうむ人>として、どう在るか?』

という問題なんだ。

『人間を人間として扱わない』

そんな感覚を一度根付かせてしまうと、それを払拭するのに地球人がどれほどの血を流し不幸を生み出し時間を費やしてきたか。

『子供は人間じゃないから躾けて人間にする』

なんて考えを何の疑問もなく持つような常識を成立させてしまうと、

『都合の悪い相手は人間扱いしなくていい』

という感性が染みついてしまうんだ。そんな甘ったれた、

<自分だけが優遇されたい。いい思いをしたい輩>

を生み出してしまうと、それがあっという間に定着してしまうだろう。地球人が辿った<血まみれの歴史>をここでも繰り返すことになる。そんなものを見たいとは俺は思わない。

<力>や<攻撃性>は、自分達<人間>を守るために使えばいい。そのために人間は人間として扱うことを厳格に規定しなきゃならない。

とは言え、締め付けるだけじゃ人間ってのは従ってくれないからな。

<そうする方が得だという実感>

が必要なんだよ。

『子供は人間だから、人間を育てるためにサポートが受けられる』

ってのが必要ってことだな。

人間を育てるわけじゃないなら別にきめ細かいサポートは必要ないし。

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