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第四世代

玲編 肉パーティー

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こうして、<体重二百キロの猪竜シシ>を獲物として得たビクキアテグ村では、自分達の糧となってくれた猪竜シシに感謝しその死を悼みつつ、せっかくなので<宴>になった。

<肉>、<肉>、<肉>の<肉パーティー>だ。

基本的に肉食系が多いビクキアテグ村では、まさにごちそうだな。

イザベラとキャサリンも、新鮮な生肉に大喜びで齧りついてる。一方、ケインは、生肉よりも調理された肉を好む傾向が。しかも野菜も好きだ。同じアラニーズでありながら明らかに個体差が大きい。

未来みらいもガツガツと、ローストされた猪竜シシの肉の塊に食らい付いている。実にパワフルだ。

ルコアでさえ、しっかりと食べてくれる。

もちろん、あかりとビアンカもだ。

久利生くりうが一番少食だな。

「あはは。見てるだけでおなかが膨れるよ」

と笑う。

その一方で、<自分の寝床>で猪竜シシ肉の塊を齧る素戔嗚すさのおは、どこか不満げでありつつも、まあ、食えるのはありがたかったようだ。



ってな感じで、向こうは向こうで楽しそうだが、こっちはこっちで平穏な毎日が続いている。

めいも相変わらず絵本を読んでもらいに来る。ただ、そうやって穏やかな毎日を過ごしているからこそ、明らかにめいが衰えて行ってるのが分かってしまう。凶悪とも言えるマンティアンとしての振る舞いをしてないからだな。体がどんどん鈍っていってるんだろう。

それが<衰え>として見た目の印象にも現れている。

<怖さ>を感じないんだ。明らかに『近付いたらヤバイ』という雰囲気を放っていたのが、すっかり感じ取れなくなってる。めいはもう、自分の命が最終盤に差し掛かり、後は燃え尽きるのを待っているだけだというのを受け入れてるみたいだな。

野生では、生きることを諦めた奴から死んでいくという面もある。普通に生きてるマンティアンなら、めいもとっくに命を落としてるだろう。俺達の傍にいることで生きながらえているだけだ。

この生き方自体が、

『俺の子だから』

というのは間違いなくあると思う。だったらもう、それを受け止めるだけだ。この子をこの世界に送り出した者の責任として。

めい、ありがとう。俺の子として生まれてきてくれて……」

絵本を読み終えて密林に帰っていく彼女に、俺はそう声を掛けた。

「……」

めいはそんな俺をただ黙ってしばらく見つめた後、ふい、と顔を逸らせて去って行く。

薄情に思えても、普通のマンティアンはそんなことはしない。そうやって俺を見るだけでも、彼女は<普通のマンティアン>じゃないってことだよ。

俺にとってはそれで十分だった。

めい、嬉しそうだったね」

ひかりがそう声を掛けてくれる。俺以上に彼女のことを知ってるひかりには、そう見えたということだ。

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