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第三世代

新編 家族を見捨てるつもりは

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新暦〇〇三四年二月二十四日



そんなこんなであらたはこの集落を去り、うららあらたにフラれることとなった。

本当に、人生ってのはままならんな。うららの落ち込みぶりは、見ていて痛々しくさえなる。群れでのイジメから逃げだして、ここに来たうらら。その彼女にとってあらたは、心の支えだっただろう。

けれど、それを<パートナー候補>と認識するようになったことで、歯車が狂ってしまった感じか。

とは言え、俺だって最初はあらたうららつがうに違いないと思ってた。だからうららを責めるのも違うと思う。

うららにとってあらたは、それだけ魅力的だったということだろう。

他の誰よりもうららを見てくれてたしな。

となれば、うららをフォローするのが俺達の役目だ。

ただ、そんなうららの傍に寄り添う影。

ひなただった。これまでずっと、うららと姉弟のように育ってきたひなたにとっても、彼女の落ち込みぶりは放っておけなかったんだろう。

今はまだ姉弟としての情かもしれないが、こちらも先のことは分からないな。

一方、うららにしつこくアピールしてくる若い雄も、実は何度か中断したことがあった。自分が属する群れの他の雌にアプローチしてた時期があったんだ。が、そっちでもフラれて雌が他の雄と番うと、思い出したかのようにうららにアプローチしてくると。

これまた地球人なら顰蹙ものの行いだろうが、それも当然、パパニアンとしては別に間違ったことをしてるわけでもない。可能性があると思う方に行くのは当たり前のことだからだ。

だからそれを責めるつもりもない。ないが、正直、うららを任せる気にはなれないなあ。



いずれにせよ、うららについてはひなたに任せることになりそうだ。うららも、ひなたが傍にいる分には落ち着いているしな。

ただ、これまでのように、じゅんに連れられて密林に入っていくだけの気力はないらしく、

うらら…!」

うらら、おいで…!」

ひなたまどかに声を掛けられても、屋根の上から動こうとしなかった。

しかたなくひなたは、いつもの果実を採ってきて、うららに手渡した。

「……」

彼女も、最初は『いらない』とばかりに投げ捨ててたが、それをイレーネがキャッチしてたりしてたが、さすがに落ち込んでても腹は減るのか、その日の夕方にはひなたから受け取った果実を少しずつ齧るようにはなっていった。

こういうことについても、

『面倒臭い! 放っときゃいいだろ!』

とか言うのもいるだろうが、俺の家族のことに他人が口出しするのはやめてもらいたいな。自分が落ち込んでても家族が気遣ってくれなかったことで嫉妬してるのかもしれないにしても、それはそっちの家族の問題であって、俺達には何の関係もない。

俺は、『面倒臭い』で自分の家族を見捨てるつもりはないんだよ。

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