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第三世代
モニカとハートマン編 愛の時間
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新暦〇〇三三年九月十五日。
そうしたモニカとハートマンのサポートもあり、何度も言うようにルコアの<環境適応>は順調に進んでた。多少の行きつ戻りつはもちろんありつつも、ビアンカと離れていられる時間も一時間でも余裕になってきている。
もちろんそれは、ビアンカの代わりにモニカがルコアの傍を離れないからというのもあっての話ではあるが。
とは言え、実際に大丈夫になってきてるわけだから、いよいよ、
『ビアンカだけでビクキアテグ村に一時帰宅する』
ことを本格化する。ここまでにも何度か短時間帰ったことはあるものの、今日からは<半日>だ。
これについては、ルコアにも事前に説明してある。
「ビアンカは久利生のお嫁さんだからね。二人きりの時間を作ってあげたいんだ」
と。
するとルコアも、
「はい……分かります……」
とは言ってくれた。少し寂しそうにしながらもな。
ここで、
『我慢するのが当然だろ!!』
とルコアに強いることで彼女の精神に悪影響が出ることを、俺もビアンカも久利生も誰も望んでない。だからここまで時間を掛けた。
ビアンカには申し訳なかったものの、
「いえ、私は軍人ですから、任務によって家族とある程度の期間離れ離れになることがあるのも覚悟していました。まあそれに、走ればいつでも会いに行けますしね」
さすがの答え。確かに、今の彼女なら、ビクキアテグ村まで、走れば十分と掛からない。
それに普段から、通信で顔を合わすことはできているし、ルコアを連れてなら何度も帰ってる。それが、ビアンカだけでということになるわけだ。
目的は当然、二人に愛の時間を過ごしてもらうためだな。
こういうのも大事なんだぞ? 精神の安定を保つためにはな。ルコアばかり優先しても、ビアンカばかり優先しても、駄目なんだ。ビアンカは<大人>な分、ルコアよりは我慢が利くからそれを考慮に入れた体制にしてるだけで。
これが実現できるのも、モニカとハートマンのおかげだよ。
「それじゃ、行ってくるね。夕方には帰ってくるから」
昼過ぎ。ビアンカはルコアを抱き締めながらそう言った。
「うん。気を付けてね」
まるで仕事に行く母親を見送るように、ルコアもビアンカを抱き締めながら言う。その姿は母娘以外のなにものでもないだろうな。
それぞれが、アラニーズとサーペンティアンだということを除けば。
「じゃ、モニカ、ハートマン、ルコアを頼んだよ」
ルコアの額に<いってきますのキス>をして、ルコアからは左の頬に<いってらっしゃいのキス>をもらったビアンカが、モニカとハートマンを見て言った。
「お任せください」
二体が声を揃えて応える。
それがまた、人間とは明らかに違う姿をしているのに、なんだか<そういう格好をしている人間>にも見えて、微笑ましかったのだった。
そうしたモニカとハートマンのサポートもあり、何度も言うようにルコアの<環境適応>は順調に進んでた。多少の行きつ戻りつはもちろんありつつも、ビアンカと離れていられる時間も一時間でも余裕になってきている。
もちろんそれは、ビアンカの代わりにモニカがルコアの傍を離れないからというのもあっての話ではあるが。
とは言え、実際に大丈夫になってきてるわけだから、いよいよ、
『ビアンカだけでビクキアテグ村に一時帰宅する』
ことを本格化する。ここまでにも何度か短時間帰ったことはあるものの、今日からは<半日>だ。
これについては、ルコアにも事前に説明してある。
「ビアンカは久利生のお嫁さんだからね。二人きりの時間を作ってあげたいんだ」
と。
するとルコアも、
「はい……分かります……」
とは言ってくれた。少し寂しそうにしながらもな。
ここで、
『我慢するのが当然だろ!!』
とルコアに強いることで彼女の精神に悪影響が出ることを、俺もビアンカも久利生も誰も望んでない。だからここまで時間を掛けた。
ビアンカには申し訳なかったものの、
「いえ、私は軍人ですから、任務によって家族とある程度の期間離れ離れになることがあるのも覚悟していました。まあそれに、走ればいつでも会いに行けますしね」
さすがの答え。確かに、今の彼女なら、ビクキアテグ村まで、走れば十分と掛からない。
それに普段から、通信で顔を合わすことはできているし、ルコアを連れてなら何度も帰ってる。それが、ビアンカだけでということになるわけだ。
目的は当然、二人に愛の時間を過ごしてもらうためだな。
こういうのも大事なんだぞ? 精神の安定を保つためにはな。ルコアばかり優先しても、ビアンカばかり優先しても、駄目なんだ。ビアンカは<大人>な分、ルコアよりは我慢が利くからそれを考慮に入れた体制にしてるだけで。
これが実現できるのも、モニカとハートマンのおかげだよ。
「それじゃ、行ってくるね。夕方には帰ってくるから」
昼過ぎ。ビアンカはルコアを抱き締めながらそう言った。
「うん。気を付けてね」
まるで仕事に行く母親を見送るように、ルコアもビアンカを抱き締めながら言う。その姿は母娘以外のなにものでもないだろうな。
それぞれが、アラニーズとサーペンティアンだということを除けば。
「じゃ、モニカ、ハートマン、ルコアを頼んだよ」
ルコアの額に<いってきますのキス>をして、ルコアからは左の頬に<いってらっしゃいのキス>をもらったビアンカが、モニカとハートマンを見て言った。
「お任せください」
二体が声を揃えて応える。
それがまた、人間とは明らかに違う姿をしているのに、なんだか<そういう格好をしている人間>にも見えて、微笑ましかったのだった。
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