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第三世代

メイガス編 本人がそれを

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ここに残った方が、普通は楽な生活ができるような気がするだろう。

しかし、味覚の変化が示すように、彼女の体は、自然の中で生きることに完全に適応してしまっている。

普通に調理されたものはあまり美味しいと思えない。<家>に住むわけでもない。服も着ない。この台地の上は豊かだから食料の調達で困ることもあまりない。

万が一困ることがあれば、その時は頼ってくれたらいい。

その程度だから、ここにいなきゃいけない理由があまりないんだ。顔が見たくなったらいつでも来てくれていいし。ここの池に通じている川を遡ってくれば、ほとんど地上を歩かなくても来られる。

まあ、結婚して家庭を築いて実家から少し離れたところで住んでる程度の感覚かもしれないな。

「本当に世話になった。ルコアのこと、幸せにしてやってくれ」

池の中から伸ばされた手を取って、がっしりと握手を交わした。が、力では俺はまったく敵わない。しかも鱗が刺さって痛い。なるほどこの手じゃ、迂闊にルコアを撫でてやることもできないか。

同じクロコディアであるラケシスには何ともなくても。

そういう諸々を総合的に勘案すれば、<ルコアの母親>になるのが難しいのも当然か。

「じゃあな。シモーヌ、ビアンカ、久利生くりう。もし、私らみたいのを見掛けたら、その時はドローンかプローブに合図して報せる。あんたらなら任せられるしね」

相変わらず不明瞭な発声ではあるものの、俺達自身、すっかり慣れて普通に聞き取れている。

「うん。メイガスも何か困ったことがあったらすぐに報せて」

シモーヌが応え、ビアンカと久利生くりうが敬礼で送る。

「じゃ、そういうことで」

帰りは、本当にあっさりしたものだった。振り返ることもなく、ラケシスを背負って川を下っていく。まあ、実家に帰省してたのを今の家に帰るみたいな感覚だとすれば、そんなものだろう。

俺達としても、別に寂しくはなかった。会おうと思えばいつでも会えるしな。と言うか、ドローンやプローブでいつでも姿は見られる。

でもまあ、地球人としての感覚もそれなりに残ってるから、覗き見みたいな真似はやめようと思う。



が、その後も、メイガスはわざと自分の姿を見せ付けるかのように、ドローンやプローブの前に姿を現した。

しかも、

「ヨリを戻したのか…!?」

プローブが捉えた映像には、あたると一緒に行動するメイガスの姿。

いや、一度離れたクロコディアのつがいが、雌の子育てが終わった後に再び番う事例がないわけじゃないが、メイガスは今まさにラケシスを育ててる真っ最中だ。だとすればあたるの方からアプローチしたということか。

まったく、お人好しと言うか何と言うか。

でもまあ、本人がそれを選択したんなら、別にいいさ。

幸せにな、メイガス、ラケシス、あたる

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