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新世代
來編 分け合えるものは
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しっかりと実力も兼ね備えたイケメンエリート軍人である久利生なら、人間社会にいた頃にはそれこそ女性が放っておかなかっただろう。
<恋の鞘当て>
的なことは文字通り日常茶飯事だったんじゃないのか?って気はする。
だが、その割には、灯のライバル宣言に本気で戸惑っている気配があった。
エレクシアも、
「データ不足で断定はできませんが、声の調子からだけでも明らかに困惑している様子が窺えますね」
とのことだった。
「へえ、意外だな。こういうことにはそれこそ慣れてそうな印象があったんだが」
するとエレクシアは、
「マスターもご存知の通り、人間というのは、仮面を被って自身の<役割>を演じることも多い生き物です。また、<慣れ>というものは当人が苦手としているものに対しては十分に効果を発揮しないことがあるのも事実でしょう」
と付け加える。
彼女の<解説>に、俺もなんだか納得がいってしまったよ。
「なるほど。女性関係については見た目の印象ほどは得意でもないってことか」
「そういうことでしょうね」
あまり久利生を困らせるのも申し訳ないが、かと言って恋愛感情の類は確実に制御が利くようなものでもない。
もし灯がストーカー的なことをするなら放ってはおけないもののそこまでじゃないならあまり口出しするのも野暮というものだろうしなあ。
と言うわけで、その点についてもしばらく様子見だな。
それにここではまだ、一夫一妻制は成立してない。何しろ俺が何人もの<嫁>を囲ってたんだから、その辺についてとやかく言える立場にない。
あとは、ビアンカがどう判断するかだな。彼女がそれを拒み、かつ久利生がビアンカの意見を尊重するなら灯には諦めてもらうしかないだろう。
でもなあ、父親としての正直な気持ちで言わせてもらうと、娘を応援してやりたい気持ちもあるんだよなあ。
ただ、その一方で、相手があの久利生だという部分においては、実は複雑な気持ちもあったりはする。
あの超絶イケメンに対しては、男として嫉妬を禁じえない部分もないわけじゃない。
そういう矛盾する諸々の感情を抱きつつ、それと上手く折り合っていかなきゃな。
これは、ビアンカもそうだろう。友達として灯のことは好きだというのは確実なのは分かってる。かと言って久利生を譲るかといえばそれはまた別の話に違いない。
そこは灯も同じだろうな。久利生のことは気に入ったとしても、ビアンカを苦しめて悲しませてまで自分の想いを果たそうとするような子じゃないことも分かってる。
人間特有の面倒くさい倫理観とかが逆に足枷になってるとは思いつつ、嫉妬や独占欲については野生の動物も実は持ってることは分かってる。それがあるから自分を高めようとするし努力もするんだ。
『まったく競い合うこともせずに皆で仲良く分け合って』
というのも実は不自然なことなんだろうなというのは感じるよ。
分け合えるものは分け合えばいいんだとは思いつつもな。
<恋の鞘当て>
的なことは文字通り日常茶飯事だったんじゃないのか?って気はする。
だが、その割には、灯のライバル宣言に本気で戸惑っている気配があった。
エレクシアも、
「データ不足で断定はできませんが、声の調子からだけでも明らかに困惑している様子が窺えますね」
とのことだった。
「へえ、意外だな。こういうことにはそれこそ慣れてそうな印象があったんだが」
するとエレクシアは、
「マスターもご存知の通り、人間というのは、仮面を被って自身の<役割>を演じることも多い生き物です。また、<慣れ>というものは当人が苦手としているものに対しては十分に効果を発揮しないことがあるのも事実でしょう」
と付け加える。
彼女の<解説>に、俺もなんだか納得がいってしまったよ。
「なるほど。女性関係については見た目の印象ほどは得意でもないってことか」
「そういうことでしょうね」
あまり久利生を困らせるのも申し訳ないが、かと言って恋愛感情の類は確実に制御が利くようなものでもない。
もし灯がストーカー的なことをするなら放ってはおけないもののそこまでじゃないならあまり口出しするのも野暮というものだろうしなあ。
と言うわけで、その点についてもしばらく様子見だな。
それにここではまだ、一夫一妻制は成立してない。何しろ俺が何人もの<嫁>を囲ってたんだから、その辺についてとやかく言える立場にない。
あとは、ビアンカがどう判断するかだな。彼女がそれを拒み、かつ久利生がビアンカの意見を尊重するなら灯には諦めてもらうしかないだろう。
でもなあ、父親としての正直な気持ちで言わせてもらうと、娘を応援してやりたい気持ちもあるんだよなあ。
ただ、その一方で、相手があの久利生だという部分においては、実は複雑な気持ちもあったりはする。
あの超絶イケメンに対しては、男として嫉妬を禁じえない部分もないわけじゃない。
そういう矛盾する諸々の感情を抱きつつ、それと上手く折り合っていかなきゃな。
これは、ビアンカもそうだろう。友達として灯のことは好きだというのは確実なのは分かってる。かと言って久利生を譲るかといえばそれはまた別の話に違いない。
そこは灯も同じだろうな。久利生のことは気に入ったとしても、ビアンカを苦しめて悲しませてまで自分の想いを果たそうとするような子じゃないことも分かってる。
人間特有の面倒くさい倫理観とかが逆に足枷になってるとは思いつつ、嫉妬や独占欲については野生の動物も実は持ってることは分かってる。それがあるから自分を高めようとするし努力もするんだ。
『まったく競い合うこともせずに皆で仲良く分け合って』
というのも実は不自然なことなんだろうなというのは感じるよ。
分け合えるものは分け合えばいいんだとは思いつつもな。
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