817 / 2,387
新世代
翔編 由来は?
しおりを挟む
新暦〇〇三十一年八月二十八日。
あの不定形生物の危険については、猛獣と同じ種類の『捕食される』系のそれは元より、グンタイ竜や蛟や嶽といった、規格外の生物を生み出すことに加え、それを倒すごとにさらに強力な<怪物>の出現に繋がるという推測がされてることはこれまでにも触れてきた。
なので俺は敢えてそれとは正面切って戦うことは避け、アリスとドライツェンが管理する<ダミーの集落>を作ってそちらにおびき寄せることにより自衛する方法を考えて、それに向けた準備を着々と進めてるわけだが、それが実際に効果を発揮するかどうかは、当然、やってみないと分からない。
「なあ、上手くいくと思うか?」
膨大なシミュレーションを、その高性能なAIを用いて行えるエレクシアにそう尋ねてみても、
「可能性の点だけで言うのなら上手くいく可能性は十分にあります。ですが、確定的なことを申し上げるにはデータが不足しています」
と、木で鼻を括ったような彼女らしい答えしか返ってこない。
だが、『可能性は十分にある』とエレクシアが言うのなら、もうそれで試す価値はある。
アリゼドラゼ村とアリニドラニ村の開発はそれに向けた準備でもある。
というわけで、コーネリアス号には、アリス参号機とドライツェン参号機の製造を急いでもらってる。
そしてその製造には、アリス初号機とドライツェン初号機にも協力してもらってるんだ。
で、メンテナンスを受けに行くセシリアに同行してビアンカがコーネリアス号に行った時、
「零号機と弐号機にはそれぞれ名前を付けたのに、初号機はそのままっていうのもかわいそうですよね」
そんなことを言い出したので、
「なんだったらビアンカが名前を付けてくれていいぞ」
と言ったら、
「私でいいんですか?」
とか遠慮するから、
「いい。と言うか、付けてくれ」
って、敢えて指示させてもらった。でないととにかく遠慮するからな。彼女の場合。
「あ、はい! 分かりました。
え~…と、じゃあ、モニカとハートマンでどうでしょう?」
彼女の提案に、
「いいけど、由来は?」
思わず問い返した俺に、ビアンカは、
「昔、実家で飼ってた猫の名前です」
と。
「そ、そうか。うん。なら、それでいこう。モニカとハートマンだ。
そんなわけで、アリス初号機の名前は<モニカ>。ドライツェン初号機の名前は<ハートマン>ということで決定となった。
そうだ。別にそんな凝った名前でなくていい。俺達の仲間として気軽に呼べればそれでいいんだ。
「よろしくね、モニカ、ハートマン」
タブレットの中で、ビアンカが、モニカとハートマンに笑顔で声を掛けていたのだった。
あの不定形生物の危険については、猛獣と同じ種類の『捕食される』系のそれは元より、グンタイ竜や蛟や嶽といった、規格外の生物を生み出すことに加え、それを倒すごとにさらに強力な<怪物>の出現に繋がるという推測がされてることはこれまでにも触れてきた。
なので俺は敢えてそれとは正面切って戦うことは避け、アリスとドライツェンが管理する<ダミーの集落>を作ってそちらにおびき寄せることにより自衛する方法を考えて、それに向けた準備を着々と進めてるわけだが、それが実際に効果を発揮するかどうかは、当然、やってみないと分からない。
「なあ、上手くいくと思うか?」
膨大なシミュレーションを、その高性能なAIを用いて行えるエレクシアにそう尋ねてみても、
「可能性の点だけで言うのなら上手くいく可能性は十分にあります。ですが、確定的なことを申し上げるにはデータが不足しています」
と、木で鼻を括ったような彼女らしい答えしか返ってこない。
だが、『可能性は十分にある』とエレクシアが言うのなら、もうそれで試す価値はある。
アリゼドラゼ村とアリニドラニ村の開発はそれに向けた準備でもある。
というわけで、コーネリアス号には、アリス参号機とドライツェン参号機の製造を急いでもらってる。
そしてその製造には、アリス初号機とドライツェン初号機にも協力してもらってるんだ。
で、メンテナンスを受けに行くセシリアに同行してビアンカがコーネリアス号に行った時、
「零号機と弐号機にはそれぞれ名前を付けたのに、初号機はそのままっていうのもかわいそうですよね」
そんなことを言い出したので、
「なんだったらビアンカが名前を付けてくれていいぞ」
と言ったら、
「私でいいんですか?」
とか遠慮するから、
「いい。と言うか、付けてくれ」
って、敢えて指示させてもらった。でないととにかく遠慮するからな。彼女の場合。
「あ、はい! 分かりました。
え~…と、じゃあ、モニカとハートマンでどうでしょう?」
彼女の提案に、
「いいけど、由来は?」
思わず問い返した俺に、ビアンカは、
「昔、実家で飼ってた猫の名前です」
と。
「そ、そうか。うん。なら、それでいこう。モニカとハートマンだ。
そんなわけで、アリス初号機の名前は<モニカ>。ドライツェン初号機の名前は<ハートマン>ということで決定となった。
そうだ。別にそんな凝った名前でなくていい。俺達の仲間として気軽に呼べればそれでいいんだ。
「よろしくね、モニカ、ハートマン」
タブレットの中で、ビアンカが、モニカとハートマンに笑顔で声を掛けていたのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
163
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる