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新世代
第二部 ~芽生え~
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新暦〇〇二六年十月二日。
「密、誉がとうとうボスになったぞ」
供えられた花がすっかり根付いてまるで花畑のようになった墓の前で、俺は手酌で酒をちびりちびりとやりながら、密達に話しかけていた。
刃に対しては、
「明も元気だし、鋭も大きくなったぞ。しかも丈にも子供が生まれたんだ」
伏に対しては、
「深は相変わらずだよ。ますますお前そっくりになっていってる。走と凱は立派にそれぞれ群れを率いてる。子供も何人も生まれて、どこまでが俺達の孫か分からなくなった。彩と凛も元気だ」
鷹に対しては、
「翔も立派にお母さんしてる。彗はまだパートナーを見付けてないが、あいつもいい男だし、まあ大丈夫だろう」
と、それぞれ子供達の近況について<報告>させてもらう。すっかりそれが俺の日課になっていた。
そんな俺に、
「おとさん、いってきあす」
と声が掛けられる。振り返った先には、光と灯を伴った順が立っていた。
「おう、気を付けてな」
チームBのリーダーは変わらず光が務めてるが、順もすっかり人間っぽくなって見違えるようだ。知らない人間が見たら順がリーダーに見えるくらいに立派になったと思う。
今のところまだ、光に妊娠の兆候は見られないものの、関係は良好である。その一方で、灯との関係については、彼女の方に照れがあるみたいでなかなか進展しないようだが。
それでも、灯も順のことはちゃんと異性として意識しているから、まあ、あとは慣れの問題だろうな。
……たぶん。
ローバーに乗り込もうと歩いていく三人の後ろを、イレーネが付き従う。
彼女の義手義足は、既にバージョン23にまで進み、改良を重ねたことで、左右の足の性能差もあって若干足を引きずるように歩くものの日常生活には全く支障のないレベルになっていた。
ただし、やはりコーネリアス号の工作室の能力では、戦闘用のそれとしての性能は十分に確保できず、その面では、使われている技術に二千年ばかりの開きがあるエレクシアは元より、同時期に製造されたメイフェアにも一歩劣るのは否めない。
もっとも、生物が相手なら今の性能でも何も支障はないだろう。理論上でなら、あの蛟を改めて相手にしても圧倒できるだけの能力は確保できているそうだし。
そんな四人を見送った俺に、エレクシアが近付いてきて、
「メイフェアからの定期報告を受信しました。昨日までの時点で特に異常は見られないとのことです。誉もボスとしての役目を立派にこなしているとのこと」
と告げてきた。
「そうか。ありがとうと伝えておいてくれ」
そう応えて、俺もそろそろデータ整理の仕事をしなくちゃなと、立ち上がったのだった。
「密、誉がとうとうボスになったぞ」
供えられた花がすっかり根付いてまるで花畑のようになった墓の前で、俺は手酌で酒をちびりちびりとやりながら、密達に話しかけていた。
刃に対しては、
「明も元気だし、鋭も大きくなったぞ。しかも丈にも子供が生まれたんだ」
伏に対しては、
「深は相変わらずだよ。ますますお前そっくりになっていってる。走と凱は立派にそれぞれ群れを率いてる。子供も何人も生まれて、どこまでが俺達の孫か分からなくなった。彩と凛も元気だ」
鷹に対しては、
「翔も立派にお母さんしてる。彗はまだパートナーを見付けてないが、あいつもいい男だし、まあ大丈夫だろう」
と、それぞれ子供達の近況について<報告>させてもらう。すっかりそれが俺の日課になっていた。
そんな俺に、
「おとさん、いってきあす」
と声が掛けられる。振り返った先には、光と灯を伴った順が立っていた。
「おう、気を付けてな」
チームBのリーダーは変わらず光が務めてるが、順もすっかり人間っぽくなって見違えるようだ。知らない人間が見たら順がリーダーに見えるくらいに立派になったと思う。
今のところまだ、光に妊娠の兆候は見られないものの、関係は良好である。その一方で、灯との関係については、彼女の方に照れがあるみたいでなかなか進展しないようだが。
それでも、灯も順のことはちゃんと異性として意識しているから、まあ、あとは慣れの問題だろうな。
……たぶん。
ローバーに乗り込もうと歩いていく三人の後ろを、イレーネが付き従う。
彼女の義手義足は、既にバージョン23にまで進み、改良を重ねたことで、左右の足の性能差もあって若干足を引きずるように歩くものの日常生活には全く支障のないレベルになっていた。
ただし、やはりコーネリアス号の工作室の能力では、戦闘用のそれとしての性能は十分に確保できず、その面では、使われている技術に二千年ばかりの開きがあるエレクシアは元より、同時期に製造されたメイフェアにも一歩劣るのは否めない。
もっとも、生物が相手なら今の性能でも何も支障はないだろう。理論上でなら、あの蛟を改めて相手にしても圧倒できるだけの能力は確保できているそうだし。
そんな四人を見送った俺に、エレクシアが近付いてきて、
「メイフェアからの定期報告を受信しました。昨日までの時点で特に異常は見られないとのことです。誉もボスとしての役目を立派にこなしているとのこと」
と告げてきた。
「そうか。ありがとうと伝えておいてくれ」
そう応えて、俺もそろそろデータ整理の仕事をしなくちゃなと、立ち上がったのだった。
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