412 / 2,387
幸せ
來と彗(これまでもあまり絡むことはなかったな)
しおりを挟む
來が池に来たから、俺は釣りをやめて、甘えてくる密と一緒に彼女の様子を何気なく眺めていた。すると、來は池の魚を捕らえて貪り始めた。やはり食事の為に来たようだ。
ただ、小さくて動きの素早い魚を捕らえるのはワニ人間にとっても容易ではないらしい。力は強いので大型の魚がいくら暴れてもそれを圧倒できるものの、小さな魚が相手だとそれも簡単ではなく、それなりに苦労をしている様子が見える。
これを見る限り、ここに来るのは食事の為というのが大きい気もするな。わざわざ手間のかかる小さな魚を捕まえようとしてるくらいだから、腹が減ってるんだろう。
ワニ人間は仲間同士でも餌を奪い合うという習性があるからな。來も決して弱いわけじゃないが、力も体格も彼女以上の個体がゴロゴロいる中では十分なアドバンテージにはならないか。
「ん…?」
するとその時、俺は別の気配を感じてそちらに視線を移した。
「彗……?」
ぱっと見が姉の翔以上に母親そっくりだから時々ハッとなってしまうが、それは彗だった。彗が家の屋根に降り立ったんだ。しかも池にいる來を眺めるかのように見下ろしてる。
タカ人間である彗にとってワニ人間は天敵の一種である。河で魚を捕まえようとした時に水中に潜んでいて、襲い掛かってくることがあるからだ。
それで捕らえられてしまうと水中に引きずり込まれて一巻の終わりである。水中ではタカ人間の羽はただただ邪魔なばかりで足を引っ張る形にしかならないしな。
だが、ここではそんなことはなく、彗も力や悠、來や晃のことは<敵>とは見做してない。
それでも、巣立ってからは河にいるワニ人間に、同じタカ人間の仲間が襲われて命を落とすところを何度も目撃したこともあってか、來達以外のワニ人間についてはしっかり敵だと認識している。
でないと、來達と同じとみて迂闊に近付けば死ぬのは彗の方だからな。その辺りをわきまえてくれたのは俺も胸を撫で下ろしたよ。
その彗が、來を見ている。それがどういう意図を持ってのことなのか、それともたまたま來がいるから様子を窺っているだけなのかは分からないものの、とにかく池の方を見ていた。
ちなみに、彗はこの池では狩りはしない。だから魚を狙ってるわけでもないと思うんだが、はてさて、何を思ってるのやら。
ただ、小さくて動きの素早い魚を捕らえるのはワニ人間にとっても容易ではないらしい。力は強いので大型の魚がいくら暴れてもそれを圧倒できるものの、小さな魚が相手だとそれも簡単ではなく、それなりに苦労をしている様子が見える。
これを見る限り、ここに来るのは食事の為というのが大きい気もするな。わざわざ手間のかかる小さな魚を捕まえようとしてるくらいだから、腹が減ってるんだろう。
ワニ人間は仲間同士でも餌を奪い合うという習性があるからな。來も決して弱いわけじゃないが、力も体格も彼女以上の個体がゴロゴロいる中では十分なアドバンテージにはならないか。
「ん…?」
するとその時、俺は別の気配を感じてそちらに視線を移した。
「彗……?」
ぱっと見が姉の翔以上に母親そっくりだから時々ハッとなってしまうが、それは彗だった。彗が家の屋根に降り立ったんだ。しかも池にいる來を眺めるかのように見下ろしてる。
タカ人間である彗にとってワニ人間は天敵の一種である。河で魚を捕まえようとした時に水中に潜んでいて、襲い掛かってくることがあるからだ。
それで捕らえられてしまうと水中に引きずり込まれて一巻の終わりである。水中ではタカ人間の羽はただただ邪魔なばかりで足を引っ張る形にしかならないしな。
だが、ここではそんなことはなく、彗も力や悠、來や晃のことは<敵>とは見做してない。
それでも、巣立ってからは河にいるワニ人間に、同じタカ人間の仲間が襲われて命を落とすところを何度も目撃したこともあってか、來達以外のワニ人間についてはしっかり敵だと認識している。
でないと、來達と同じとみて迂闊に近付けば死ぬのは彗の方だからな。その辺りをわきまえてくれたのは俺も胸を撫で下ろしたよ。
その彗が、來を見ている。それがどういう意図を持ってのことなのか、それともたまたま來がいるから様子を窺っているだけなのかは分からないものの、とにかく池の方を見ていた。
ちなみに、彗はこの池では狩りはしない。だから魚を狙ってるわけでもないと思うんだが、はてさて、何を思ってるのやら。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
163
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる