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大家族

事件(そういうものはどうしても起こるか)

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そんな風に、ほまれの後についていくことで結果として本人の修行にもなってたしんだったが、彼女自身としては、ぜんぜん、そんなつもりはないんだろうなあ。

獲物として捕らえたボクサー竜をガフガフと喰らう様子を、自分で絵本を読むようになったひかりを膝に抱きながら見つつ、俺はそんなことを考えてた。

さらに一年が過ぎて……





新暦〇〇〇七年五月十一日



しん達ライオン人間の本来の生息地は草原だから、ここでは勝手が違ってしまうし、申し訳ないと思ってる。だから最近では、セシリアとメイフェアXN12Aが夜にメンテナンスに行く時に、そうかいも一緒に連れて行ってもらって、コーネリアス号の周囲で遊ばせてやるようにしてもらってた。本来夜行性だからそれでちょうどいいし。

ちなみに、メイフェアXN12Aが留守中はエレクシアがほまれを守るということで了承してもらってる。あいつの傍を離れるのは嫌だろうが、自分より圧倒的に高性能で強いエレクシアが代わりということで納得しようとはしてくれてるようだ。まあ、当のほまれが昼間の修行で疲れて夜はぐっすりだけどな。それでも、たまにヒョウ人間辺りの遠吠えが聞こえたりすると警戒して目を覚ますから、その辺りはさすが野生か。

で、しんに話を戻すと、誉(ほまれ)の傍を離れるのが嫌なのか、メイフェアXN12Aがいるから嫌なのか、彼女はそうかいとは一緒に行こうとはしなかった。お気に入りの玩具で釣っても駄目だった。

だがそんなある日、事件は起こった。

いつものようにほまれについていったしんだったが、その日はたまたま誉(ほまれ)の前に現れた<兵隊>がどうも性格の悪い奴だったらしく、撤退させないように回り込んで挑発したようなのだ。それにメイフェアXN12Aが気を取られた隙に、運悪くしんの前に、あの透明なボクサー竜が現れたのだった。

その透明なボクサー竜は他の奴よりも大きく、そして強かった。

「ガアッ!!」

攻撃を躱して彼女の肩口に食らいつくと、しんが悲鳴を上げた。しかもそれを振り払って逃げたはいいが、密林の奥、ほまれからも俺達の家からも離れる方向へと逃げてしまった。

「マズい!?」

俺がそう声を上げると、気配を察したのか、膝に座ってたひかりが跳び退く。大人しそうに見えてもさすが野生の血を引いてるな。と、今はそれどころじゃない!

「エレ―――――!」

『エレクシア! しんを助けろ!』と俺が命令するよりも早く、家の中から飛び出して密林の中へ駆け込んで行った影があった。

しんの母親、ふくであった。

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