「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太

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第一章

第19話 VS連撃のゴメス

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 階段のそばで冒険者と思われる若い二人の男女が倒れていて、そのそばで40代ぐらいの別の男女が何やらゴソゴソと荷物を漁っていた。僕は直感的に、これはまずいやつだと思った。荷物を漁っている二人は十中八九、強盗犯的な人たちだろう。

 すると、男の方がこちらに気づき、女に何やら耳打ちをする。そして、男はニヤニヤしながら立ち上がってこちらの方へと歩いてきた。女の方は薄ら笑いを浮かべながらその場に立ったが、こちらには向かってこなかった。

「くっくっく、今日はツイてるな。新しい獲物だ」

 男はそう言って腰に差していたメイスを抜いた。

「お前ら、見たところランク1か2あたりの冒険者か? このダンジョンから出るには通行料がいるんだよ。魔石と金目のものを全部ここに置いていけ。そうすれば危害は加えねぇ。……もし拒否するってんなら、こいつらみたいになるぜ?」

 男はそう言って顎で倒れている二人を指す。

「……冒険者狩りね。くそみたいな奴ら」

 ミサキはそう言って剣を抜いた。明らかにやる気だった。

「ち、ちょ、ミサキ!? 本気なの!?」

「当たり前でしょ。返り討ちにしてやる」

 ミサキはそう言った。僕は正直どうすればいいのかわからなかったけど、ミサキがやる気なので僕もそれに従うことにした。

「くっ! そ、そっちが手を出してくるなら、こっちだってやり返すぞ!」

 僕はそう言って男の方を向き、剣を抜いた。人間相手の戦いは僕の人生で初めてのことだったけど、僕は不思議と冷静だった。

「くくく、威勢がいいねぇ。言っておくが、俺たちはランク3の冒険者ですら時々狩ることがあるんだぜ? ランク2のこんな楽なダンジョンに潜ってるお前らに勝ち目なんてねぇよ」

 男はそう言うと女の方を向いて「やれ」と言った。すると女はうなずき、懐から小さな笛を取り出した。

「――【眠りの調べ】」

 女はそう言って奇妙な音色の曲を奏でる。そして、僕はその音色を聞くと急に眠くなり意識が飛んだ――


 ――と思ったら、意識が飛んだのは一瞬でその後は音色を聞いても特に問題はなかった。横でドサっという音が聞こえたのでそちらを見ると、ミサキが地面に倒れていた。

「……ちっ、片方は【睡眠耐性】持ちか。雑魚のくせに一丁前に耐性スキルなんか持ちやがって……。お前はここで待ってろ。俺が直にやってくる」

 男は女にそう言うと、メイスを片手にこちらに近づいてくる。

「さーて、ちょっと痛いが眠らないお前が悪いんだぜ? 力づくでも気絶してもらおうか!」

 男はそう言って僕に襲いかかり、メイスを振り下ろしてきた。僕はその一撃を剣で弾く。

 ガキィン!

 男はその後も何度も攻撃をしてきた。

 キィン! ガキィン! キィン! キィン!

 僕は全ての攻撃を弾いた。

「……ほう、なかなかやるじゃねえか。ならこっちも少し本気で行かせてもらうぜ――【加速】」

 男はそう言うと先程とは比べ物にならないほど速い攻撃を繰り出してきた。

「――【受け流し】」

 僕はそう呟いて【受け流し】を発動する。

 キンキンガキン! ガキンキンガキン!

 僕は全ての攻撃を弾き返した。このとき僕は、直感的に【受け流し】が僕のレベルの影響を受けてどういうものになるのか理解していた。

「ッ!? 【加速】後でもついてくるとは一体どうなってやがるッ!?」

「…………」

 男はそう言って一瞬うろたえた。僕はその隙を見逃さず、男に向かって渾身の蹴りを繰り出す。

「はぁッ!」

 ドスッ!

「ぐおっ!」

 蹴りは男の腹にクリーンヒットし、男は腹を押さえて膝をついた。

「ぐ……こ、このてめぇ……」

 男はうめきながら立ち上がる。見かけ通り、なかなかタフなようだ。

「お、俺を怒らせたな……。業界じゃ『連撃のゴメス』として有名なこの俺を……!」

 ゴメスはそう言って立ち上がると、口元のよだれを拭き、再度メイスを構える。

「お前みたいな雑魚にこのスキルを使うことになるとは思わなかったぜ。……だが、いいだろう。これを避けられるものなら避けてみろ――【具現追撃】!!」

 ゴメスはそう叫ぶと再度こちらにメイスを振り下ろしてくる。僕はそれを剣で弾く。

 ――しかし、弾いた瞬間、横方向に妙な気配を感じたので、僕はとっさに左腕で防御をした。

 ゴッ!

 ――刹那、何もない空間から突如メイスが現れ、僕の左腕にヒットする。メイスはこちらを打ちつけると霧のように消えてなくなった。

「ぐッ!」

 威力はそれほどでもなかったが、普通にかなり痛かった。もしかしたら骨にヒビとか入ったかもしれない。

「くくく、この【具現追撃】はな、攻撃が当たった瞬間、予測不可能な方向からの追撃が発生するスキルなんだよッ! ちょっとは剣に自信があるようだが、瞬時に発生するこの追撃は防ぐことはできまい!」

 ゴメスは薄ら笑いを浮かべて言った。

「ついでに言うとな、【加速】のスキルは【具現追撃】にも乗るんだよッ! 【加速】でさらに速度を増した追撃を、防げるものなら防いでみろッ!! ……いくぞッ! 【加速】!!」

 ゴメスはそう言うと、先程よりもさらに速いスピードでメイスを打ちつけに来た。ゴメスは完全に自身の勝利を確信しているようだった。

 ――だけど、ゴメスは何もわかっていない。

 確かに僕は、ついこの前、冒険者になったばかりの超初心者な冒険者だ。

 ――でも、僕のレベルは。

 ――300あるんだ。

 ――レベル300ある僕が、本気で【受け流し】を使うとどうなるか。その眼で見るといい。

「――【受け流し】」

 僕は特に変わることなく【受け流し】を発動する。

「無駄だッ!! そんな基本スキルで俺の追撃が防げるものかッ!!」

 ゴメスはそう言ってメイスを僕に振り下ろした。僕はそれを剣で軽く弾く。

 ――瞬間、さらに追撃が来る。

 ――しかし、僕の【受け流し】は格段に速度の上がった【具現追撃】すらもその対処の範囲内だった。

 キキィン!

 ゴメスのメイスが僕に当たることはなかった。

「なッ! ば、馬鹿な……馬鹿なッ!!」

 ゴメスはそう言って何度も何度もメイスを叩きつけてくる。しかし、僕はその全ての攻撃を受け流し、さらに発生した全ての追撃をも弾き返した。

 キキィン! キキィン! キキィン! キキィン!!

(……これが、レベルの差か)

 もうゴメスの攻撃が僕に届くことはないだろう。

「あ、ありえん……。こ、こんなことは……ありえない!! て、てめぇ、一体、何者だ!?」

 全力の攻撃を全て防がれたゴメスが、驚きに顔を歪ませながらそう言った。

「――僕は、ただの新人冒険者だ。それ以上でも、それ以下でもない」

 僕はそう言うとゴメスの顎に向かって思いっきり剣の柄頭を叩きつける。

「ぐぼぉっ!!」

 ゴメスの顎に柄頭がクリーンヒットすると、ゴメスはよろよろと地面に倒れた。気絶してピクピクしているけど、タフそうだしきっと大丈夫だろう。

「ふぅ、なんとかなった……」

 僕はそう言って軽く息を吐くと、残った女の方を見た。女は信じられないという顔で口をパクパクさせている。僕が剣を構えると、女は悲鳴を上げてその場から一目散に逃げ出した。

 ――そして、残ったのは僕だけになった。思った以上に身体が動いたけど、やっぱりこれもレベルが高いからだろうか……?

 僕は眠ったままのミサキを起こして今の状況を説明した。ミサキには「……ユイト一人で倒したの?」と聞かれたけど、たまたま運がよかったことにして色々とはぐらかした。

 その後、ゴメスにやられていた冒険者二人も起こした。二人に話を聞く限りでは、自分たちも【眠りの調べ】で眠らされたとのことだった。僕たちは気絶しているゴメスの両手を後ろ手に縛り、ダンジョンから運び出してダンジョン入り口の近くに生えていた木に縛り付けた。

 冒険者二人はゴメスの見張りとして残り、僕たちは冒険者ギルドに報告に向かった。
 しばらくして、ゴメスは冒険者ギルドによって連行されていき、僕たちには冒険者狩りを捕まえた報奨として結構な額の謝礼金が出た。それに加えて大量の魔石も換金できたのでもうウハウハと言ってよかった。


 僕たちはその後も何度かランク2のダンジョンに潜り、モンスターを狩りまくって魔石を荒稼ぎした。ただセネリーは魔導具開発で忙しいらしく、ダンジョン探索に加わることはなかった。もうすぐしたら魔導具が完成するらしいので、完成したらダンジョン探索に加わるとのことだった。
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