「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太

文字の大きさ
11 / 40
第一章

第11話 VSブラッドゴブリン

しおりを挟む
 僕たちは第二中継地点の先へと進んだ。この辺りはもうこのダンジョンの最深部と言っていいエリアだった。いつブラッドゴブリンと遭遇してもおかしくないため、僕たちは警戒しながらゆっくりと前に進んだ。しかし、ミサキの【索敵】にブラッドゴブリンが引っかかることはなかった。

 僕たちはブラッドゴブリンと遭遇することがないまま、遂に樹海の一番奥、リリムの花の群生地まで来てしまった。リリムの花の群生地は広い花畑のようになっていて、そこら中にリリムの花が咲いていた。リリムの花は白くてとてもきれいな花だった。

「……結局、ここまで来ちゃったね」

「うん。本来ならこの花を持って帰ればそれで試験合格なんだけどなぁ……」

 僕は独り言のように呟く。ミサキはリリムの花を取ろうと手を伸ばした。しかし、すぐに何かに気づいたかのように後ろを振り返る。

「……【索敵】に反応があった。気配の大きさからして、ブラッドゴブリンだと思う」

 ミサキはそう言って剣を抜いた。ブラッドゴブリンと聞いて、僕も慌てて剣を抜き、懐から【初級重力呪文】のスクロールを取り出した。


――しばらく待つと、通ってきた樹海の方から一つの大きな影が姿を現した

「フシュルルル」

 それは明らかにブラッドゴブリンと思われるモンスターだった。ブラッドゴブリンは普通のゴブリンと違って体の色が赤く、体躯も普通のゴブリンと比べると相当大きかった。そして、何より特徴的だったのはその大きな手から伸びる巨大な爪だった。爪は刃物のように鋭利で既に何かの血のようなもので真っ赤に濡れていた。

 ブラッドゴブリンは僕たちを認識すると、僕たちのほうに向かって駆け出してきた。ゴブリンらしからぬ速さだった。ミサキが僕の前に出て細剣を構える。僕はすぐに【初級重力呪文】のスクロールを発動させた。

「時空よ、我の命によってその重みを増せ……グラデ!!」

――そう言って詠唱を終えた瞬間、僕の目の前に信じられない光景が広がった。ブラッドゴブリンがすぐにその場に倒れ、強烈に地面に押し付けられていたのだ。まるで見えない巨大な鉄塊に押し潰されているかのように、ブラッドゴブリンはメリメリと地面へ食い込んでいく。

「グォォォォ!!」

 あまりの圧力にブラッドゴブリンは叫び声をあげ、口から血を吐く。さらにブラッドゴブリンの体がバキボキと骨が折れるかのような音をたてて変形していった。さすがにもうこれ以上耐えられなかったのか、ブラッドゴブリンの体はバシュッと霧のように離散して消えてしまった。残ったのはブラッドゴブリンの核であった大きな魔石だけだった。

 僕はそのあまりに衝撃的な光景に、絶句してその場に立ち尽くしていた。確か魔法店の店員は相手の行動が鈍くなるぐらいの効果って言っていた気がするけど、全然言ってることが違うと思った。ミサキの方を見ると、ミサキも唖然とした顔をしていた。

「今の……【上級重力呪文】? 君、【上級重力呪文】のスクロール買ってたんだ?」

「え? い、いや、僕が買ったのは【初級重力呪文】だけど……」

「嘘。初級でこんな威力になるわけない」

「それは僕もそう思うけど……」

 でも、僕が買ったのは確かに【初級重力呪文】のスクロールだったと思う。ただ、初級でこの威力はおかしいというミサキの意見はもっともだと思った。

「も、もしかしたら店員さんが初級と上級を間違えたのかも……?」

 魔法店の店員の人――いや店主だったか?――は確かお婆さんだった。ちょっと失礼だけど、お婆さんなら初級と上級を間違えることもあるかもしれない。…………多分。というか、それ以外に理由が思いつかない……。

「それが一番あり得ると思う。初級呪文であの威力というのは考えられない。例えレベルが50あってもあの威力にはならないと思う」

 ミサキはそう呟くように言った。僕も「そ、そうだよね、あはは」と同調する。僕は重力呪文の威力についてはあまり深く考えないことにした。何にせよ、ブラッドゴブリンは討伐することができたのだからそれでいいだろう。


 僕たちはその後、第二中継地点へと戻って試験官たちにブラッドゴブリンを討伐したことを告げた。ブラッドゴブリンが討伐されたと聞いてその場は歓声に包まれた。さらに僕たちはそのままダンジョンの入り口まで戻り、リリムの花を試験官に手渡した。試験は合格だった。

……こうして僕たちは『最初の試練』を突破し、晴れて冒険者となった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

嫁に来た転生悪役令嬢「破滅します!」 俺「大丈夫だ、問題ない(ドラゴン殴りながら)」~ゲームの常識が通用しない辺境領主の無自覚成り上がり~

ちくでん
ファンタジー
「なぜあなたは、私のゲーム知識をことごとく上回ってしまうのですか!?」 魔物だらけの辺境で暮らす主人公ギリアムのもとに、公爵家令嬢ミューゼアが嫁として追放されてきた。実はこのお嫁さん、ゲーム世界に転生してきた転生悪役令嬢だったのです。 本来のゲームでは外道の悪役貴族だったはずのギリアム。ミューゼアは外道貴族に蹂躙される破滅エンドだったはずなのに、なぜかこの世界線では彼ギリアムは想定外に頑張り屋の好青年。彼はミューゼアのゲーム知識をことごとく超えて彼女を仰天させるイレギュラー、『ゲーム世界のルールブレイカー』でした。 ギリアムとミューゼアは、破滅回避のために力を合わせて領地開拓をしていきます。 スローライフ+悪役転生+領地開拓。これは、ゆったりと生活しながらもだんだんと世の中に(意図せず)影響力を発揮していってしまう二人の物語です。

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る

伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。 それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。 兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。 何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

処理中です...