「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太

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第一章

第10話 異変

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――ただ、第二中継地点の様子は前の中継地点とは明らかに違った。参加者は半分以上が負傷していて試験官たちが必死に治療して回っている。まるでけが人で一杯の野戦病院といった感じだった。僕は状況を把握するために、近くにいた参加者と思われる男に声をかけてみた。

「何があったんですか?」

 すると男は深刻な顔をして答えた。

「【変異種】が出たんだよ」

「【変異種】……?」

「【変異種】っていうのはその名の通り、突然変異したモンスターのこと。大抵の場合、もとの種より格段に強くなる。冒険者にとっては厄介極まりない存在ね。」

 ミサキがよくわかっていない風な僕を見て横から解説する。

「そういうことだ。少し前に、この先でゴブリンの変異種である『ブラッド・ゴブリン』が出たんだとさ。それで先行していた連中は大部分がそいつにやられて、聞くところによると死者も出ているらしい。なんとか逃げ帰って来られた連中もあの有様さ」

 そう言って彼は負傷して手当を受けている一団を指す。

「変異種が出たってんで、この先に行くのは現在は禁止されてる。こりゃ、今回の試験は中止になるかもな……」

 男はやれやれといった様子で肩をすくめた。

「……ブラッド・ゴブリンのレベルは?」

 ミサキが言った。

「さぁな……。誰も【識別】できてないんだからお察しさ。軽く30は超えてるんじゃないか?」

 彼は投げやりな調子で言った。レベル30以上のブラッドゴブリン……あまりこの世界に詳しくない僕でもそのヤバさはわかった。【識別】は自分のレベル以下の相手にしか通用しないとミサキは以前に言っていた。……ということは、【識別】ができないブラッドゴブリンはここにいる参加者の誰よりもレベルが高いということになる。

「レベル30以上ってことはランク3相当のモンスターだ。ランク1がほとんどの俺たちが敵う相手じゃあねぇ……。試験官の中にはランク3の冒険者もいるが、それでも同ランクだ。下手すれば返り討ちにある可能性だってある。今、試験官たちがこれからどうするか話し合ってるところだよ」

「ブラッド・ゴブリンって一匹だけ?」

「目撃情報によると一匹だけだな」

 その言葉を聞いて、ミサキは自身の装備をチェックし始めた。それを見て男は驚きながら言った。

「……あんた、まさかブラッド・ゴブリンを討伐しようなんて考えていないだろうな?」

「……そのつもりだけど。レベル30台なら私よりレベルが低い可能性が高い。それに変異種の魔石はとても高く売れる」

「なっ……。ってことはあんたレベル30以上あるっていうのかい? こりゃたまげたな……」

 男は相当驚いた顔をしてミサキを見る。僕はそれほど驚かなかったけども、やっぱりミサキはだいぶレベルが上だったんだなぁと思った。

「……危険だからユイトはここにいて」

「えっ、で、でも……」

 ミサキは僕にここに残るように告げた。

……ミサキが僕にそう言った理由はよくわかる。下手すれば死ぬかもしれない戦いに、僕のような低レベルの者は連れていけないということだろう。……でも、僕はミサキを一人だけで行かせたくはなかった。もし、ここでついて行かなくてミサキがそれっきり帰ってこなかったら、僕は一生後悔することになると思う。……僕は意を決して言った。

「ぼ、僕も一緒に行くよ。同じパーティだし、君だけ行かせるわけにはいかない!」

……我ながら結構恥ずかしいセリフだと思った。漫画やゲームでよくありそうなセリフを現実で言う機会が来ようとは……。すると、ミサキは真剣な顔をしながらも少し嬉しそうに言った。

「……わかった。でも、絶対に前には出ないで。約束」

「も、もちろん。昨日買った重力魔法のスクロールで後ろから全力でサポートする!」

 僕は力強く言った。その後、僕たちはその場を仕切っていた試験官たちに自分たちがブラッドゴブリンを倒してくる旨を伝えた。試験官たちは最初は危険だからと拒否したが、ミサキがレベル30以上ということがわかると渋々ながらも僕たちの提案を受け入れた。
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